
1987年にビートルズの英国オリジナル・アルバム全12作13枚(「PLEASE PLEASE ME with Love Me Do and 12 other songs」、「WITH THE BEATLES」、「A HARD DAY'S NIGHT」、「BEATLES FOR SALE」、「HELP!」、「RUBBER SOUL」、「REVOLVER」、「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」、「THE BEATLES」2枚組、「YELLOW SUBMARINE」、「ABBEY ROAD」、「LET IT BE」)に、米国キャピトル編集アルバム「MAGICAL MYSTERY TOUR」を加えた13作14枚が、初CD化されました。しかし、それを全て買ってもビートルズの公式レコーディング全213曲は揃わず、1988年にはシングルやEPのみだった33曲を新たに編集アルバム「PAST MASTERS VOLUME ONE」と「PAST MASTERS VOLUME TWO」に収録して、全15作16枚で全213曲が揃う様になったのです。2009年9月9日のリマスター盤が登場した時には、全てのアルバムがステレオ・ミックスでレギュラー化されて、編集アルバム「PAST MASTERS」は2枚組となりました。となると、アルバム「PLEASE PLEASE ME with Love Me Do and 12 other songs」からアルバム「THE BEATLES」までのモノラル・ミックスがレア音源となるわけですけれど、2009年リマスターはステレオ・ミックスが箱とバラ売りされただけではなく、モノラル・ミックスを一応限定の箱「THE BEATLES IN MONO」としてリリースされたのです。そして、モノラル・ミックスがある楽曲でアルバム未収録曲を集めた編集盤「MONO MASTERS」も、CD2枚組で箱に収録されました。初CD化の時にサー・ジョージ・マーティンがステレオ・リミックスしてレギュラーとなったアルバム「HELP!」とアルバム「RUBBER SOUL」の英国オリジナル・ステレオ・ミックスは、それぞれのモノラル盤にボーナス・トラックとして収録されていて、至れり尽くせりの2009年リマスターでした。
アルバム「MONO MASTERS」の内容は、CD1が、1「LOVE ME DO」、2「FROM ME TO YOU」、3「THANK YOU GIRL」、4「SHE LOVES YOU、5「I'LL GET YOU」、6「I WANT TO HOLD YOUR HAND」、7「THIS BOY」、8「KOMM, GIB MIR DEINE HAND」、9「SIE LIEBT DICH」、10「LONG TALL SALLY」、11「I CALL YOUR NAME」、12「SLOW DOWN」、13「MATCHBOX」、14「I FEEL FINE」、15「SHE'S A WOMAN」、16「BAD BOY」、17「YES IT IS」、18「I'M DOWN」の、全18曲入りです。1「LOVE ME DO」はリンゴ・スターがドラムスを叩いているオリジナル・シングル・ヴァージョンで、コレはアルバム「PAST MASTERS」にもモノラルで収録されていますが、アルバム「PLEASE PLEASE ME with Love Me Do and 12 other songs」などに収録されたヴァージョンはセッション・ドラマーのアンディ・ホワイトがドラムスを担当していて、バカなレコード会社が両者の混同を避ける為に、あろうことか、リンゴ・ヴァージョンのマスター・テープを破棄してしまったのです。故に、リンゴ・ヴァージョンは盤起こしするしかなかったわけですなあ。4「SHE LOVES YOU」と、5「I'LL GET YOU」のモノラル・ミックスもアルバム「PAST MASTERS」と重複していますけれど、これまたバカ丸出しなレコード会社がモノラル・マスター以外のセッション・テープを消して再利用してしまったので、ステレオ・ミックスは存在していませんでした。「SHE LOVES YOU」は英国のシングル売り上げの記録を塗り替えた楽曲なのに、何故にそんなアホな事をやらかしてしまったのでしょうか。現在では、2023年11月10日リリースのベスト・アルバム「THE BEATLES 1962-1966(赤盤)」で、「LOVE ME DO」と「SHE LOVES YOU」がデミックスされてステレオ・リミックスで聴ける様になりました。となると、B面だった「I'LL GET YOU」のステレオ・リミックスはどうなってしまうのでしょうか。CD1に関しては、楽曲はアルバム「PAST MASTERS」のCD1と同じです。
CD2は、1「DAY TRIPPER」、2「WE CAN WORK IT OUT」、3「PAPERBACK WRITER」、4「RAIN」、5「LADY MADONNA」、6「THE INNER LIGHT」、7「HEY JUDE」、8「REVOLUTION」、9「ONLY A NORTHERN SONG」、10「ALL TOGETHER NOW」、11「HEY BULLDOG」、12「IT'S ALL TOO MUCH」、13「GET BACK」、14「DON'T LET ME DOWN」、15「ACROSS THE UNIVERSE」、16「YOU KNOW MY NAME(LOOK UP THE NUMBER)」の、全16曲入りです。こちらは、1「DAY TRIPPER」〜8「REVOLUTION」は、ステレオ盤のアルバム「PAST MASTERS」のCD2と同じですが、そちらでは、9「GET BACK」、10「DON'T LET ME DOWN」となるところが、13「GET BACK」、14「DON'T LET ME DOWN」とずれています。その間と後に収録されたのが、9「ONLY A NORTHERN SONG」、10「ALL TOGETHER NOW」、11「HEY BULLDOG」、12「IT'S ALL TOO MUCH」と、15「ACROSS THE UNIVERSE」の、5曲の真正モノラル・ミックスです。9「ONLY A NORTHERN SONG」〜12「IT'S ALL TOO MUCH」の4曲は、1969年リリースのアルバム「YELLOW SUBMARINE」で蔵出しされた楽曲で、アルバム「YELLOW SUBMARINE」はステレオ盤とモノラル盤がリリースされたものの、そのモノラルはステレオ・ミックスをモノラルにしただけのインチキ・ミックスだったのです。ジョージ作の「ONLY A NORTHERN SONG」は、元々モノラル・ミックスしかなかったので、ステレオ盤には疑似ステレオを入れて、モノラル盤にはその疑似ステレオをモノラルにして収録すると云う、訳が分からない事をやっていました。この4曲に、1968年2月にレコーディングしていた「ACROSS THE UNIVERSE」を加えた5曲でEP盤をリリースする予定があったので、こうしてその5曲の本物のモノラル・ミックスが遺されていたわけです。
その「ACROSS THE UNIVERSE」のモノラル・ミックスですけれど、アルバム「PAST MASTERS」収録のサー・ジョージ・マーティン版とも、アルバム「LET IT BE」収録のフィル・スペクター版とも違っていて、ジョンの声も通常に近く(それでも少し速い)、ズバリ云って、この「ACROSS THE UNIVERSE」モノラル・ミックスの為にアルバム「MONO MASTERS」を買っても損はしない程に良いのです。このアルバム「MONO MASTERS」は箱「THE BEATLES IN MONO」にしか入っていなくて、バラ売りはしていないので、箱を買うしかないんですけれどね。13「GET BACK」と、14「DON'T LET ME DOWN」には、しっかりと「with Billy Preston」と表記されています。ビートルズはシングルを1969年の「GET BACK / DON'T LET ME DOWN」まではモノラル・ミックス(但し、その「GET BACK / DON'T LET ME DOWN」は米国ではステレオ・ミックス)で発売していたので、この「MONO MASTERS」で聴けるのが、リリース当時のシングルです。アルバム「PAST MASTERS」には収録されていた「THE BALLAD OF JOHN AND YOKO」と「OLD BROWN SHOE」と「LET IT BE」が未収録なのは、そもそもモノラル・ミックスが存在しないからです。よくブートレグでは日本盤シングル「LET IT BE」のモノラル・ヴァージョンが入っていたりしますけれど、アレはステレオをモノラルにしただけのインチキ・ミックスなのです。それを「STEREO」と表記して売っていたのですから、酷いもんですよ。アルバムを〆るのは、16「YOU KNOW MY NAME(LOOK UP THE NUMBER)」で、シングル「LET IT BE」のB面で、アルバム「PAST MASTERS」にもモノラル・ミックスで収録されているので重複していますが、コレは何故か完成ヴァージョンのステレオ・ミックスが存在しません。但し、ブライアン・ジョーンズのサックスがたっぷりと聴けるロング・ヴァージョンのステレオ・ミックスはあって、1996年リリースのアルバム「ANTHOLOGY 2」に収録されています。しかしながら、そっちは何故かエンディングが切れているので、ブートレグではそれらを合成したインチキ・ミックスが収録されています。それにしても「PAST MASTERS」や「MONO MASTERS」のジャケットは、もう少し何とかならなかったのでしょうか。
(小島イコ)
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