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2025年11月11日

「ポールの道」#908「THE BEATLES BLACK VOX」
#217「PAST MASTERS VOLUME ONE」

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1987年2月から10月にかけて、ビートルズの英国オリジナル・アルバム12作13枚(「PLEASE PLEASE ME with Love Me Do and 12 other songs」、「WITH THE BEATLES」、「A HARD DAY'S NIGHT」、「BEATLES FOR SALE」、「HELP!」、「RUBBER SOUL」、「REVOLVER」、「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」、「THE BEATLES」2枚組、「YELLOW SUBMARINE」、「ABBEY ROAD」、「LET IT BE」)に、米国キャピトル編集アルバム「MAGICAL MYSTERY TOUR」を加えた13作14枚が初CD化されました。編集アルバム「MAGICAL MYSTERY TOUR」が英国オリジナル・アルバムと肩を並べたのは、英国ではEPとシングルでしかリリースされていなかった曲を収録しているからです。ところが、ビートルズの公式213曲は、そのアルバム13作14枚を買っても全てが揃いません。それは、英国ではシングルやEPのみに収録されていた曲が多かったからです。ビートルズは大ヒットしたシングルもアルバムには収録しない事が多くて、英国オリジナル・アルバムの内、「WITH THE BEATLES」、「BEATLES FOR SALE」、「RUBBER SOUL」、「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」、「THE BEATLES」の5作6枚にはシングル曲が収録されていません。更にアルバム「LET IT BE」に収録された「LET IT BE」と「GET BACK」も、シングル・ヴァージョンではありません。つまり、1963年の「FROM ME TO YOU」や「SHE LOVES YOU」や「I WANT TO HOLD YOUR HAND」や、1964年の「I FEEL FINE」や、1965年の「DAY TRIPPER」や「WE CAN WORK IT OUT」や、1966年の「PAPERBACK WRITER」や、1968年の「LADY MADONNA」や「HEY JUDE」や、1969年の「DON'T LET ME DOWN」などの曲が、英国オリジナル・アルバムには収録されていないのです。これらを聴くには、1966年リリースの英国ベスト・アルバム「A COLLECTION OF BEATLES OLDIES」や、1970年リリースの米国キャピトル編集アルバム「HEY JUDE」や、1979年リリースの英国編集アルバム「RARITIES」などを加えないと、全213曲は揃わない事になってしまい、かと云ってそれらをCD化するのも混乱を招くので、新たな編集アルバムがリリースされました。

それが、1988年3月8日にリリースされた、編集アルバム「PAST MASTERS」です。この編集アルバムは、初CD化の時には2枚がバラ売りされて、「PAST MASTERS VOLUME ONE」と「PAST MASTERS VOLUME TWO」となっていました。それぞれ全18曲と全15曲の合わせて33曲入りで、その2枚を加えた15作16枚で、ビートルズの全213曲が揃う様になったわけです。現在では2009年9月9日にリマスターされたCD2枚組の「PAST MASTERS」になっていますが、ソレは1988年10月24日にリリースされたLP2枚組が元になっていて、初CD化ではバラ売りでした。今回は、その初CD化の時の編集アルバム「PAST MASTERS VOLUME ONE」を取り上げます。内容は、1「LOVE ME DO」、2「FROM ME TO YOU」、3「THANK YOU GIRL」、4「SHE LOVES YOU、5「I'LL GET YOU」、6「I WANT TO HOLD YOUR HAND」、7「THIS BOY」、8「KOMM, GIB MIR DEINE HAND」、9「SIE LIEBT DICH」、10「LONG TALL SALLY」、11「I CALL YOUR NAME」、12「SLOW DOWN」、13「MATCHBOX」、14「I FEEL FINE」、15「SHE'S A WOMAN」、16「BAD BOY」、17「YES IT IS」、18「I'M DOWN」の、全18曲入りです。選曲したのは「THE COMPLETE BEATLES RECORDING SESSIONS」などの著者であるビートルズ研究家のマーク・ルウィーソンですが、まあ、単純にリリースの年代順でアルバム未収録曲を並べただけです。1「LOVE ME DO」〜5「I'LL GET YOU」と、8「KOMMM, GIB MIR DEINE HAND」〜9「SIE LIEBT DICH」の7曲がモノラル・ミックスで、他の11曲はステレオ・ミックスで、これまた全世界統一規格化されました。またしても、1「LOVE ME DO」が1曲目に居座っていますけれど、コレはですね、アルバム「PLEASE PLEASE ME with Love Me Do and 12 other songs」に収録されているのはセッション・ドラマーのアンディ・ホワイトがドラムスを叩いていて、こちらはリンゴ・スターがドラムスを叩いているオリジナル・ヴァージョンなのです。だったら、ヴォーカルがテイク違いの「PLEASE PLEASE ME」のステレオ・ミックスも入れて欲しかったですなあ。

1「LOVE ME DO」は、1962年10月5日リリースのデビュー・シングルで、ポールが主導で書いたレノン=マッカートニー作で、リンゴがドラムスを叩いたヴァージョンです。2「FROM ME TO YOU」と、3「THANK YOU GIRL」は、1963年4月11日リリースの3作目のシングルの両面で、マッカートニー=レノンの共作です。4「SHE LOVES YOU」と、5「I'LL GET YOU」は、1963年8月23日リリースの4作目のシングル両面で、レノン=マッカートニーの共作です。6「I WANT TO HOLD YOUR HAND」と、7「THIS BOY」は、1963年11月29日リリースの5作目のシングル両面で、「I WANT TO HOLD YOUR HAND」はレノン=マッカートニーの共作で、「THIS BOY」はジョンが主導で書いたレノン=マッカートニー作ですが、「THIS BOY」がトゥルー・ステレオ・ミックスで収録されています。8「KOMM, GIB MIR DEINE HAND」と、9「SIE LIEBT DICH」は、1964年3月5日にドイツでリリースされた「I WANT TO HOLD YOUR HAND」と「SHE LOVES YOU」のドイツ語ヴァージョンです。バカなレコード会社が「SHE LOVES YOU」のモノラル・ミックス以外を破棄したので、「SIE LIEBT DICH」は演奏も別ヴァージョンです。10「LONG TALL SALLY」〜13「MATCHBOX」の4曲は、1964年6月19日リリースのEP「LONG TALL SALLY」からで、10「LONG TALL SALLY」はリトル・リチャードのカバーでポールが歌い、11「I CALL YOUR NAME」はジョンが主導で書いたレノン=マッカートニー作でジョンが歌い、12「SLOW DOWN」はラリー・ウィリアムズのカバーでジョンが歌い、13「MATCHBOX」はカール・パーキンスのカバーでリンゴが歌っています。14「I FEEL FINE」と、15「SHE'S A WOMAN」は、1964年11月27日リリースの8作目のシングル両面で、14「I FEEL FINE」はジョンが主導で書いたレノン=マッカートニー作でジョンが歌い、15「SHE'S A WOMAN」はポールが主導で書いたレノン=マッカートニー作でポールが歌っています。この時期のポールのシャウトも良いのですが、ジョンのヴォーカルは、猛獣と云うか、もはや怪獣です。

16「BAD BOY」は、1965年6月14日リリースの米国キャピトル編集アルバム「BEATLES Y」に先出しされたアルバム「HELP!」のアウトテイクで、英国では1966年12月10日リリースのベスト・アルバム「A COLLECTION OF BEATLES OLDIES」に収録された曲で、ラリー・ウィリアムズのカバーでジョンが歌っています。17「YES IT IS」は、1965年4月9日リリースの9作目のシングル「TICKET TO RIDE」のB面曲で、ジョンが主導で書いたレノン=マッカートニー作で、ジョンとポールとジョージによる3声コーラスが綺麗な曲ですが、コレも「THIS BOY」同様に、トゥルー・ステレオ・ミックスで収録されています。それがどうした、と云われるかもしれませんが、ビートルズは、1962年の「LOVE ME DO / P.S. I LOVE YOU」から1968年の「HEY JUDE / REVOLUTION」までは、モノラル・ミックスのみでシングルをリリースしていたのです。つまり、アルバムに収録されなかったシングル曲には、そもそもモノラル・ミックスしか制作していなかった曲があってですね、その中でも有名なのが「THIS BOY」と「YES IT IS」だったのです。シングルB面曲なので英国ではアルバム未収録曲となり、米国キャピトル編集アルバムには疑似ステレオ・ミックスで収録されていたのですから、この「PAST MASTERS VOLUME ONE」にトゥルー・ステレオ・ミックスが収録されたのは、ビートルズ・ファンにとっては大事件でした。コレがステレオであるのならば「ONLY A NORTHERN SONG」や「YOU KNOW MY NAME(LOOK UP THE NUMBER)」辺りもあるだろう、と云われたもんです。最後の、18「I'M DOWN」は、1965年7月23日にリリースされた10作目のシングル「HELP!」のB面曲で、ポールが主導で書いたレノン=マッカートニー作で、ポールが歌っています。ライヴで最後に演奏していた「LONG TALL SALLY」に代わるオリジナル曲としてポールが書いたわけですが、そのまんまで「LONG TALL SALLY」のパクリじゃないですか。この曲は、1965年6月14日に「I'VE JUST SEEN A FACE」と「YESTERDAY」と、3曲が同日にレコーディングされています。1965年6月14日は、ポールの覚醒記念日なのです。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする