
ビートルズがコンサート・ツアーを辞めて、レコーディングに特化した新たなるバンドと化した1967年の活動を、英国オリジナルで追ってみると、まずは2月17日に両A面シングル「STRAWBERRY FIELDS FOREVER / PENNY LANE」をリリースしています。そして、5月26日にはアルバム「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」をリリースして、6月25日に全世界衛星中継生放送番組「OUR WORLD」で披露した「ALL YOU NEED IS LOVE」を、7月7日にシングルとしてリリース(B面は「BABY YOU'RE A RICH MAN」)して、11月24日にはシングル「HELLO GOODBYE」(B面は「I AM THE WARLUS」)をリリースして、12月8日には2枚組EP「MAGICAL MYSTERY TOUR」をリリースして、12月26日にはテレビ映画「MAGICAL MYSTERY TOUR」をBBCで初放送しています。更に、後に1969年1月17日にリリースされるサントラ盤「YELLOW SUBMARINE」に収録された4曲の内3曲(「ONLY A NORTHERN SONG」、「ALL TOGETHER NOW」、「IT'S ALL TOO MUCH」)も、1967年にレコーディングされているし、1970年3月6日にリリースされるシングル「LET IT BE」のB面に収録された「YOU KNOW MY NAME(LOOK UP THE NUMBER)」のベーシック・トラックも、1967年にレコーディングされています。つまり、ビートルズは1967年に24曲の新曲を発表していて、当時は未発表だった4曲も既にレコーディングしていた事になります。前年である1966年はまだツアーもやっていたので、新曲は16曲でした。翌1968年には、なんとシングル2作と2枚組のアルバムをリリースしているので、新曲を34曲も発表しています。
1967年だけで、シングル3作、2枚組EP1作、アルバム1作、テレビ映画1作も発表したわけで、現在の感覚では大物バンドが1年間に発表するにしては多過ぎるとも云えるでしょう。それは、1960年代の他のバンドやミュージシャンでも変わらず、アルバムは年に1作どころか2作出すのが普通で、シングルも年に3〜4作は出していたのです。年にシングルを3作もリリースするなんて、2025年の現在の日本では、櫻坂46や乃木坂46の様なハイペースです。ビートルズはレコード会社とそう云うハイペースなリリースをする契約を交わしていたわけで、1968年11月22日にリリースする英国オリジナルでは9作目だったアルバム「THE BEATLES(ホワイト・アルバム)」を、サー・ジョージ・マーティンが1枚にまとめた方が良いと助言したのにも関わらず、全30曲入りで2枚組で押し通したのは、レコード会社との契約枚数を稼ぐ目論見もあったと云われています。と云うわけで、今回からはアルバム「THE BEATLES」のパイレート盤やブートレグを取り上げてゆきます。アルバム「THE BEATLES」は、そもそも2枚組で30曲も収録されているので、パイレート盤やブートレグの数も多いわけで、似た様な選曲のCDも沢山あるわけで、手持ちの全てを紹介するのではなく、なるべく厳選して余り内容が被らない様に取り上げてゆく心算ではあります。あたくしが持っているブートレグで一番多いのは、1969年1月の「THE GET BACK SESSIONS」関連ですけれど、次に多いのがアルバム「THE BEATLES」関連です。つまり、1968年5月から1969年1月までの期間が、兎に角、多いわけですなあ。
今回紹介するのは、「MONOCHROME」からの「WHITE BOOKENDS」です。このブートレグは、アルバム「THE BEATLES」よりも、前と後(だから「WHITE BOOKENDS」)のアウトテイクを集めたものとなっています。内容は、1〜2「HEY BULLDOG」、3〜4「CRY BABY CRY」、5「ACROSS THE UNIVERSE」、6「CRY BABY CRY」、7「ACROSS THE UNIVERSE」、8「CRY BABY CRY」、9「THE INNER LIGHT」、10〜11「ACROSS THE UNIVERSE」、12〜19「LADY MADONNA」、20〜21「ACROSS THE UNIVERSE」、22「HOW DO YOU DO」、23「BLACKBIRD」、24「THE UNICORN」、25「LALENA」、26「HEATHER」、27「MR. WIND」、28「THE WALRUS AND THE CARPENTER」、29「LAND OF GISH」の、全29曲入りです。まず、1「HEY BULLDOG」〜8「CRY BABY CRY」は、1968年初頭のジョン・レノンによるホーム・デモ音源です。そして、9「THE INNER LIGHT」〜21「ACROSS THE UNIVERSE」が、1968年1月から2月のレコーディング・セッション音源です。このレコーディング・セッションは、1968年3月15日に英国パーロフォンからリリースされたシングル「LADY MADONNA」(B面は「THE INNER LIGHT」)の為に行われていて、まずはジョージ・ハリスン作の9「THE INNER LIGHT」が、1968年1月12日にインドでバッキング・トラックをレコーディングされています。それに同年2月のセッションでヴォーカルを入れたわけですが、そのモニター・ミックスが収録されています。
10〜11と20〜21「ACROSS THE UNIVERSE」は、ジョンが主導で書いたレノン=マッカートニー作品で、1968年2月4日と2月8日にレコーディングされています。シングル候補だったものの、シングルA面が「LADY MADONNA」に決まったので、ジョンはこの曲をボツにしてしまい、B面にジョージ作の「THE INNER LIGHT」を推したので、ジョージの曲が初めてシングルに収録されたわけです。後に2回リリースされた「ACROSS THE UNIVERSE」は、サー・ジョージ・マーティン版もフィル・スペクター版も、元になったのはこの1968年2月のレコーディング・セッション音源です。サー・ジョージ・マーティン版はテープを速くして、フィル・スペクター版は逆に遅くしているので、それらとは違った正常なピッチでの自然なジョンの声が聴けます。12〜19「LADY MADONNA」8連発は、ポール・マッカートニー主導で書いたレノン=マッカートニー作で、1968年2月3日と6日のアウトテイクやステレオ・ミキシング・セッションやモニター・ミックスが、これでもか、とばかりに収録されています。シングルA面となったので、当て振りで1968年2月11日にプロモーション・フィルムを制作する事となって、時間が勿体ないからと新曲をレコーディングしたのが、ジョン主導で書いたレノン=マッカートニー作の「HEY BULLDOG」です。この曲もボツになっていて、後にサントラ盤「YELLOW SUBMARINE」に収録されました。それで不思議だったのは、アニメ映画「YELLOW SUBMARINE」を観たら、この「HEY BULLDOG」のシーンがなかったのです。それは、米国用に編集された時にカットされたからだと知ったのは、随分と後になってからの事でした。
ここまでが、1968年1月から2月の音源で、ビートルズはこの後にインドへゆくのです。そこで沢山の曲(40曲位あったらしい)を、ジョンとポールとジョージが書いて、1968年5月にジョージ宅で合宿して、ビートルズでは珍しくプリプロダクションで27曲ものデモをレコーディングして、それを元にしてアルバム「THE BEATLES」のレコーディングへと進み、1968年11月22日にリリースするのでした。その部分は他のブートレグにお任せして、22「HOW DO YOU DO」〜29「LAND OF GISH」までは、1968年12月にポール・マッカートニーとドノヴァンによるアコースティック・ギターでのセッション音源が収録されています。この音源は他のブートレグでも聴けるのですけれど、アルバム「ABBEY ROAD」関連ブートレグに収録されている事も多いものの、アルバム「THE BEATLES」関連にした方が分かり易いです。ポールが歌っているのは、22「HOW DO YOU DO」、23「BLACKBIRD」、26「HEATHER」の3曲で、他の5曲はドノヴァンがメインです。「BLACKBIRD」はアルバム「THE BEATLES」に収録されましたが、他の「HOW DO YOU DO」と「HEATHER」は未発表曲です。どちらも、ポールのオリジナルでしょう。「HOW DO YOU DO」はポールの手癖で書いた様な他愛もない曲で、「HEATHER」は、ポールが翌年である1969年3月12日に結婚するリンダ・イーストマンの娘・ヘザー(つまり、ポールの養女になる)を歌った曲だと思われます。映画「LET IT BE」やドキュメンタリー映画「GET BACK」に出ている、金髪の可愛い女の子で、すっかりポールになついていますけれど、ポールも曲まで書くほどに可愛がっていたのでしょう。ちなみに、ポールには同名異曲がありますけれど、そっちは黒歴史でしょうなあ。
(小島イコ)
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