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2025年06月23日

「ポールの道」#768「THE BEATLES BLACK VOX」
#077「STRAWBERRY FIELDS FOREVER // NOTHING IS REAL」

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ビートルズがライヴ活動を辞めて、最初にレコーディングした楽曲が「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」です。1973年にリリースされたオールタイム・ベスト・アルバム「THE BEATLES 1967-1970(青盤)」でも、A面1曲目は「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」となっていて、カップリングされた「PENNY LANE」との両A面シングルは、ロック史上最強シングルと称されています。ところが、当時の全英チャートでは、その最強シングルである「STRAWBERRY FIELDS FOREVER / PENNY LANE」が2位止まりで、その時の首位!はエンゲルベルト・フンパーディンクの「RELEASE ME」でした。サー・ジョージ・マーティンは、両A面にして人気が分散して首位!を逃したと考えていて、普通に「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」をA面にして、B面には「WHEN I'M SIXTY-FOUR」を入れれば良かったと後悔していた様です。しかしながら、米国では「PENNY LANE」が首位!になっていて、「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」は8位でした。誰もが一聴して爽やかで少し猥褻な曲だと理解するポール・マッカートニーが主導で書いた「PENNY LANE」と比べると、ジョン・レノンが主導で書いた「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」は難解で、直ぐに好きになる様な楽曲ではありません。が、しかし、一度好きになると抜け出せない様な魔力が「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」にはありますし、近年のビートルズの楽曲人気投票企画では「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」が堂々の首位!を獲得しています。

魔曲「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」は、ジョンの要望で、サー・ジョージ・マーティンが異なる2テイクをひとつに繋いで完成させているのは有名な話で、それ故にブートレグ業界でも格好のネタです。前回に紹介したアルバム「STRAWBERRY LANE」の様に、CD2枚組が全てシングル「STRAWBERRY FIELDS FOREVER / PENNY LANE」の2曲のみで構成されたブートレグまでありますし、そのアルバム「STRAWBERRY LANE」でも、圧倒的に「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」のテイクの方が多く収録されています。それで、今回は2022年に「RETROSPECTIVE COLLECTION」からリリースされた1CDのアルバム「STRAWBERRY FIELDS FOREVER // NOTHING IS REAL」を紹介します。このブートレグは、2022年に出ていますが、元々は1990年頃にリリースされたブートレグ「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」と「NOTHING IS REAL」をリマスターして「2in1」で復刻したアルバムです。今や、ブートレグまでリマスターされてリイシューされているわけで、ソレはニーズがあるからやらかしているので、全くもってビートルズは商売になりますなあ。内容は、1「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」、2「THE BUS」、3「THE INNER LIGHT」、4「THE FOOL ON THE HILL」、5「ALL YOU NEED IS LOVE」、6「BY GEORGE! IT'S THE DAVID FROST SHOW」、7「HEY JUDE」、8「I AM THE WARLUS」、9「THANK YOU GURU DAI / HAPPY BIRTHDAY」、10「YER BLUES」、11「WHAT'S THE NEW MARY JANE」、12「PEACE OF MIND」、13「IT'S ALL TOO MUCH」、14「THE BARBER OF SEVILLE」と、ここまでの14曲が、ブートレグ「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」です。

つづいて、15〜21「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」、22「HEY JUDE」、23「REVOLUTION」、24「CHRISTMAS TIME(IS HERE AGAIN)」の10曲が、ブートレグ「NOTHING IS REAL」です。全体的には、1967年から1968年にかけてリリースされた楽曲の別テイクを並べていて、現在の感覚だと滅茶苦茶な選曲にも感じられるのですけれど、ブートレグの世界でも年々その辺の構成は年代順にまとめる様になってきていて、昔のブートレグはただアウトテイクを並べただけのモノも多くて、この2作はまだまとまっている方でした。1「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」は完成形の前半にあたる「take 7」で、2「THE BUS」はテレビ映画「MAGICAL MYSTERY TOUR」のサントラ音源で、3「THE INNER LIGHT」はステレオ・ミックスで、4「THE FOOL ON THE HILL」はポールによるデモ音源で、5「ALL YOU NEED IS LOVE」は全世界衛星中継されたテレビ番組「OUR WORLD」でのヴァージョンで、6〜7「HEY JUDE」はテレビ番組「デービッド・フロスト・ショー」でのヴァージョンで、8「I AM THE WARLUS」はベーシック・トラックで、9「THANK YOU GURU DAI / HAPPY BIRTHDAY」はインドでの即興演奏で、10「YER BLUES」はテレビ番組「ROCK AND ROLL CIRCUS」でのジョンとミック・ジャガーによる曲紹介で、11「WHAT'S THE NEW MARY JANE」は「take 4」で、12「PEACE OF MIND」はビートルズの演奏ではないのですけれどブートレグでは定番曲のひとつで、13「IT'S ALL TOO MUCH」はアニメ映画「YELLOW SUBMARINE」のサントラ音源で、14「THE BARBER OF SEVILLE」は映画「HELP!」のサントラ音源です。

15〜21「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」は、「take 1」から「take 6」までが順番に収録されていて、完成形の前半になる「take 7」への道のりが分かる様になっています。この後半のブートレグ「NOTHING IS REAL」は、タイトルが「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」の歌詞から取っているので、この6テイク+1テイク(「take 1」のオーバーダビング)がメインとなっています。22「HEY JUDE」はリハーサル音源で、23「REVOLUTION」はプロモーション・フィルム音源で、最後の「CHRISTMAS TIME(IS HERE AGAIN)」は1967年のクリスマス・レコードで何度も歌われているポール主導で書いた4人の合作オリジナル・クリスマス・ソングの全長版です。個人的には、こうした少し怪しいところもある昔のブートレグも好きで、特に「PEACE OF MIND」の様なインチキ音源を、「Not The Beatles」と注釈付きで、わざわざリマスターして収録しているところに好感が持てます。こうしたインチキ音源は他にもあって、中には本当にジョンが書いて歌っていると誤解したヨーコさんが著作権申請してしまった曲まであります。このブートレグ「STRAWBERRY FIELDS FOREVER // NOTHING IS REAL」の元となった2作のブートレグが出た当時は、まだまだビートルズのアウトテイク発掘音源は現在よりもずっと少なくて、こうして映画のサントラ音源やプロモーション・フィルムやテレビ出演時の演奏などもかき集めて、何とかカタチにしようとしていたブートレグ業者の涙ぐましい努力が感じられます。それをリマスターしてリイシューしちゃうんですから、屈折したブートレグ業者の執念にも驚かされます。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする