
ビートルズは、メジャー・デビューする前の1962年3月8日放送(同年3月7日レコーディング)の「TEENAGER'S TURN」から、1965年6月7日放送(同年5月26日レコーディング)の「THE BEATLES INVITE YOU TO TAKE A TICKET TO RIDE」まで、BBCラジオに出演して、275テイク88曲ものスタジオ・ライヴを行いました。但し、それらはスタジオで一発録音されていて、ラジオで流した後には破棄されてゆく使い捨ての演奏だったのです。当時はBBCラジオでレコード音源を流すのを規制されていて、ビートルズに限らず、多くの英国のバンドがBBCでスタジオ・ライヴを行って、その演奏をラジオで流していました。そんな、ある意味やっつけ仕事であったBBC音源は、それでも最低でも1度は電波に乗せて公開されたので、古くからブートレグとして出回っていて、1990年代には「Great Dane Records」からのCD9枚組の「THE COMPLETE BBC SESSIONS」が登場して、堂々と新聞広告を載せたり、ハーフオフィシャル盤がバラ売りで出たりしました。それではイカン、となったアップルは、1994年に公式盤CD2枚組の「LIVE AT THE BBC」をリリースして対抗したものの、1995年には廃盤にしてしまう愚挙もやらかしつつ、2013年には改訂リマスター盤「LIVE AT THE BBC」と、続編の「‘ON AIR’ LIVE AT THE BBC VOL. 2」をリリースして、同じく2013年に配信限定音源集「THE BEATLES BOOTLEG RECORDINGS 1963」をリリースしました。
アルバム「LIVE AT THE BBC」には全56トラック、シングル「BABY IT'S YOU」には3トラックの未収録音源、アルバム「‘ON AIR’ LIVE AT THE BBC VOL. 2」には40トラック、「THE BEATLES BOOTLEG RECORDINGS 1963」には42トラックと、合計141トラック(ダブリもアリ)が公式音源化されたのですけれど、CDに換算したならば5枚半分位で、実際に放送された音源の半分位しか聴けません。それで、もっと聴きたいとなると、ブートレグに頼るしかないのです。楽曲としては、公式盤の「LIVE AT THE BBC」と「‘ON AIR’ LIVE AT THE BBC VOL. 2」にほとんどの公式盤未収録だった楽曲は収録されていて、聴けないのはロイ・オービソンのカヴァー「DREAM BABY」と、コースターズを参考にした「BESAME MUCHO」と、ジョー・ブラウンのカヴァー「A PICTURE OF YOU」の3曲で、何れもドラマーはリンゴ・スターではなく、ピート・ベストです。故に、未発表曲を聴きたいだけならば、公式盤のCD2枚組2セットで充分です。そこから先は、もうマニアの領域でありましてですね、兎に角、ビートルズが演奏したのであれば何でも聴きたい、と云う方々にしかオススメ出来ません。BBC音源のブートレグは様々なカタチで世に出ておりますが、そこはもう、集大成的なCD9枚組とか、CD10枚組とか、CD11枚組とかの、何れかを買えばダブリもなくてよろしいでしょう。
ここで紹介するのは、2013年に「sgt.」から出た、CD6枚組の「THE BEATLES POP GO THE BEATLES COMPLETE BBC MASTERS VOL. 1」と、CD5枚組の「THE BEATLES FROM US TO YOU COMPLETE BBC MASTERS VOL. 2」の、合計CD11枚組です。この2セット11枚組があれば、ほとんど全てのBBC音源を聴く事が可能です。今回は、前編の「POP GO THE BEATLES COMPLETE BBC MASTERS VOL. 1」のCD1とCD2を紹介します。兎に角全部でCD11枚で、詰め込めるだけ入っているので、何回かに分けての紹介となります。前述の通り、楽曲としては公式盤にほとんど全てが収録されていて、3曲のみが未収録です。CD1は、ポール・マッカートニーの2013年のコメントから始まり、1962年3月7日にレコーディングして同年3月8日に放送された番組「TEENAGER'S TURN」(「DREAM BABY」、「MEMPHIS, TENNESSEE」、「PLEASE MISTER POSTMAN」)、1962年6月11日にレコーディングして同年6月15日に放送された番組「HERE WE GO」(「ASK ME WHY」、「BESAME MUCHO」、「A PICTURE OF YOU」)、ドラマーがリンゴに代わって、1962年10月29日にレコーディングして同年11月2日に放送された番組「PEOPLE AND PLACES」(「A TASTE OF HONEY」)、1963年1月16日にレコーディングして同年1月25日に放送された番組「HERE WE GO」(「PLEASE PLEASE ME」、「ASK ME WHY」)、1963年1月22日にレコーディングして同年1月26日に放送された番組「SATURDAY CLUB」(「SOME OTHER GUY」、「LOVE ME DO」、「PLEASE PLEASE ME」、「KEEP YOUR HANDS OFF MY BABY」、「BEAUTIFUL DREAMER」)、とつづきます。
つづいて、1963年1月22日にレコーディングして同年1月29日に放送された番組「THE TALENT SPOT」(「ASK ME WHY」)、1963年3月6日にレコーディングして同年3月12日に放送された番組「HERE WE GO」(「MISERY」、「DO YOU WANT TO KNOW A SECRET」、「PLEASE PLEASE ME」)、1963年3月16日にレコーディングして同日に生放送された番組「SATURDAY CLUB」(「I SAW HER STANDING THERE」、「MISERY」、「TOO MUCH MONKEY BUSINESS」、「I'M TALKING ABOUT YOU」、「PLEASE PLEASE ME」、「THE HIPPY HIPPY SHAKE」)、1963年4月3日にレコーディングして同年4月7日に放送された番組「EASY BEAT」(「FROM ME TO YOU」)、1963年4月18日にレコーディングして同日に生放送された番組「SWINGING SOUND ’63」(「TWIST AND SHOUT」、「FROM ME TO YOU」)、1963年4月1日にレコーディングして同年4月22日に放送された番組「SIDE BY SIDE」(「SIDE BY SIDE THEME」、「DO YOU WANT TO KNOW A SECRET」)、1963年4月1日にレコーディングして同年5月13日に放送された番組「SIDE BY SIDE」(「SIDE BY SIDE THEME」、「LONG TALL SALLY」、「A TASTE OF HONEY」、「CHAINS」、「THANK YOU GIRL」、「BOYS」)の、曲間の紹介なども含めて、全52トラック入りです。この調子で11枚つづくわけで、エアチェックがソースなのか、途中で切れている音源まで全て収録されていますし、最初の1962年の音源は、かなり音が悪いです。
CD2は、1963年4月4日にレコーディングして同年6月24日に放送された番組「SIDE BY SIDE」(「SIDE BY SIDE THEME」、「TOO MUCH MONKEY BUSINESS」、「BOYS」、「I'LL BE ON MY WAY」、「FROM ME TO YOU」)、1963年5月21日にレコーディングして同年5月25日に放送された番組「SATURDAY CLUB」(「I SAW HER STANDING THERE」、「DO YOU WANT TO KNOW A SECRET」、「BOYS」、「LONG TALL SALLY」、「FROM ME TO YOU」、「MONEY(THAT'S WHAT I WANT)」)、1963年5月21日にレコーディングして同年6月3日に放送された番組「STEPPIN' OUT」(「PLEASE PLEASE ME」、「I SAW HER STANDING THERE」)、1963年5月24日にレコーディングして同年6月4日に放送された番組「POP GO THE BEATLES(VOL. 1)」(「EVERYBODY'S TRYING TO BE MY BABY」、「DO YOU WANT TO KNOW A SECRET」、「YOU REALLY GOT A HOLD ON ME」、「MISERY」、「THE HIPPY HIPPY SHAKE」)、1963年6月1日にレコーディングして同年6月11日に放送された番組「POP GO THE BEATLES (VOL. 2)」(「TOO MUCH MONKEY BUSINESS」、「I GOT TO FIND MY BABY」、「YOUNG BLOOD」、「TILL THERE WAS YOU」、「BABY IT'S YOU」、「LOVE ME DO」、「POP GO THE BEATLES」)、1963年6月1日にレコーディングして同年6月18日に放送された番組「POP GO THE BEATLES(VOL. 3)」(「POP GO THE BEATLES」、「A SHOT OF RHYTHM AND BLUES」、「MEMPHIS, TENNESSEE」、「A TASTE OF HONEY」、「SURE TO FALL(IN LOVE WITH YOU)」、「MONEY(THAT'S WHAT I WANT)」、「FROM ME TO YOU」)と、全54トラック入りです。早くも冠番組を持っていたわけで、イケイケドンドンな演奏がつづきます。(つづく)
(小島イコ)
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