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2025年04月26日

「ナイアガラ考」#115「SONGS 50th Anniversary Edition」(下)

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さてさて、今回のアルバム「SONGS 50th Anniversary Edition」の目玉は、CD2の「TATSURO YAMASHITA Sings SUGAR BABE Live」です。内容は、1「SHOW」、2「指切り」、3「WINDY LADY」、4「ラスト・ステップ」、5「ドリーミング・デイ」、6「過ぎ去りし日々"60's Dream"」、7「こぬか雨」、8「雨は手のひらにいっぱい」、9「SUGAR」、10「今日はなんだか」、11「DOWN TOWN」、12「パレード」、13「ココナツ・ホリデー」、14「MY SUGAR BABE」の、全14曲入りです。このライヴ音源は、1994年にアルバム「SONGS」がオリジナル・マスターでCD化されたのを受けて、タツローこと山下達郎さんが中野サンプラザで4日間だけ行ったもので、SUGAR BABE関連曲だけでのライヴで、ター坊こと大貫妙子さんもゲスト出演しています。しかしながら、今回のCDには(タツロー曰く、収録時間の関係で)全22曲中で8曲がカットされています。まずは、アルバム「SONGS」でも冒頭を飾る1曲目「SHOW」で始まり、2曲目は大瀧師匠のカヴァー「指切り」で、3曲目「WINDY LADY」と4曲目「ラスト・ステップ」(吉田美奈子さんのカヴァー)は、1976年のタツローのソロ・デビュー・アルバム「CIRCUS TOWN」に収録された曲ですが、元々はSUGAR BABEのレパートリーでした。そして、5曲目の「ドリーミング・デイ」は、作詞がター坊で作曲がタツローと云う、意外にも珍しい曲で、オリジナルは1976年の「NIAGARA TRIANGLE VOL.1」に収録されています。1977年には大瀧師匠のプロデュースでシリア・ポールさんもカヴァーしていて、この曲の後に、ター坊が登場すると云う、小粋な演出でした。

そして、ター坊が、6「いつも通り」、7「蜃気楼の街」、8「約束」、9「すてきなメロディー」の4曲を歌うのですけれど、この4曲が今回は丸ごとカットされています。この内で「いつも通り」と「蜃気楼の街」と「すてきなメロディー」の3曲はアルバム「SONGS」からですが、「約束」は1976年のター坊のソロ・デビュー・アルバム「Grey Skies」に収録された曲です。しかし、ター坊のソロ名義ですが、編曲はタツローで、レコーディングにもSUGAR BABEのメンバーがタツローとター坊も入れて4人が参加していて、つまりはSUGAR BABE時代の楽曲です。アルバム「Grey Skies」には、他にもSUGAR BABE時代の「時の始まり」と「愛は幻」もタツローのアレンジで収録されています。このカットされた4曲中、「蜃気楼の街」と「約束」と「いつも通り」の3曲は、1996年のター坊のライヴ・アルバム「LIVE '93 Shooting Star in the Blue Sky」にボーナス・トラックとして収録されています。つまり、ター坊とタツローのデュエット曲である「すてきなメロディー」だけがCD化されていない事となりました。前述のライヴ盤が出た頃にター坊にお逢いする機会があったので、何故「すてきなメロディー」だけ入っていないんですか?と訊いたら、ター坊に「アレは山下くんが自分のレコードで出したいんじゃないの」と云われてしまったのですけれど、結局は今回も入っていないんですよ。そして、実際には10曲目に、浜田省吾さんのカヴァー「二人の夏」が歌われています。更に、実際には11曲目だったアルバム「SONGS」からの「過ぎ去りし日々"60's Dream"」につづいて、12「三ツ矢サイダー'76」と、13「SMOKE GETS IN YOUR EYES」のカヴァーが歌われています。

そして、実際には14曲目の「こぬか雨」(伊藤銀次さん作で1977年のソロ・アルバム「DEADLY DRIVE」でスローテンポで演奏して、ター坊がコーラスで参加している曲で、タツローが詞を変えてSUGAR BABEで演奏していた)と来て、15曲目の「雨は手のひらにいっぱい」、16曲目「SUGAR」、17曲目「今日はなんだか」、18曲目「DOWN TOWN〜SUGAR」と、アルバム「SONGS」からの4連発で本編は終了しました。ここからはアンコールで、実際には、19曲目が「パレード」(初出は1976年の「NIAGARA TRIANGLE VOL.1」ながら、SUGAR BABE時代の曲)、20曲目が「ココナツ・ホリデー」(銀次が書いた、1973年のはっぴいえんど解散コンサートとして知られている「CITY -LAST TIME AROUND」で大瀧師匠のコーラスとしてSUGAR BABEが実質的にデビューした時の楽曲)と来て、途中で「ナイアガラ音頭」まで歌い込んで、実際には21曲目に鈴木茂さんのカヴァー「砂の女」(来場していた大瀧師匠が感極まって泣いた)で、最後の22曲目は1980年のアルバム「RIDE ON TIME」に収録された「SUGAR BABE賛歌」の「MY SUGAR BABE」で終了していました。余談ですが「MY SUGAR BABE」は、1980年の勝新太郎さん監督・主演の刑事ドラマ「警視K」の主題歌(勝新のリクエスト)となっていて、シングル・カットもされていて、タツローがドラマの音楽も担当しています。ドラマ「警視K」は、本放送時には数字が悪く13話で打ち切られている(打ち切りにならなければ、タツローもカメオ出演する予定だった)のですけれど、カルト的な人気があって、現在でも配信やBSの再放送で観れます。

と云うわけで、実際には全22曲だったライヴから、14曲が蔵出しされたのです。残る8曲は、前述の通り、ター坊がゲスト出演して歌った「いつも通り」と「蜃気楼の街」と「約束」の3曲は、ター坊の1996年リリースのライヴ・アルバム「LIVE '93 Shooting Star in the Blue Sky」で聴けます。そして、カヴァー曲だった「二人の夏」と「砂の女」の2曲は、タツローがシングルのカップリングに収録した後で、2011年のアルバム「Ray Of Hope」のボーナスCDとして付けたライヴ盤「Joy 1.5」に「こぬか雨」も含めて収録しています。そう云えば「レコード・コレクターズ」誌では、その「Joy 1.5」の存在を無視した解説が掲載されています。そして、「三ツ矢サイダー’76」は、1996年にタツローのファンクラブ限定発売のアルバム「山下達郎CM全集 VOL. 1 Second Edition」に、オリジナル・ヴァージョンと共にライヴ音源が収録されています。今回のCD化によって、「TATSURO YAMASHITA Sings SUGAR BABE Live」全22曲中、未だにCD化されていない曲は、「すてきなメロディー」と「SMOKE GETS IN YOUR EYES」の2曲のみとなったのです。洋楽カヴァーはオマケ(「禁煙音頭」へのセルフ・オマージュ?)みたいなもんなので、何とか「すてきなメロディー」はCD化して欲しいですなあ。それがあれば、全22曲中21曲の「SUGAR BABE LIVE」となるんですけれどね。アルバム「SONGS」のオリジナル・リリースは1975年4月25日ですが、その翌1976年4月1日にはSUGAR BABEは解散しています。デビュー・アルバムから1年も経たずに解散したバンドが、50年後にはリリース当時とは比べられない程に多くの方々に聴かれているのですから、奇跡の様なバンドです。個人的には、日本一のバンドだと思うし、タツローとター坊が同じバンドに居たのは、信じられない事実です。SUGAR BABEで辛酸をなめたからなのか、タツローやター坊にはガッツがあるんですよ。そこが、ロックだし、好きです。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| ONDO | 更新情報をチェックする