
「ポールの道」の「ジョン・レノン全曲解説」も佳境に入ってまいりましたが、ここで、毎年恒例の「3.21」がやって来た!GO!GO!GO!なのです。これを書いているのは、実は2025年3月18日なのですけれど、発売日が3月21日のはずの「B-EACH TIME L-ONG 40th Anniversary Edition」と「Complete NIAGARA SONG BOOK」が、フラゲで届いてしまいました。丁度、ジョンの生前にリリースされた最後の楽曲「DEAR YOKO」まで進んでいて、キリもイイ感じなので、これから数回は「ナイアガラ考」を書こうと思います。まずは、遂にここまで来てしまったのか、と思わずにはいられない「B-EACH TIME L-ONG 40th Anniversary Edition」でございます。このアルバムはですね、簡単に云ってしまえば、1981年のアルバム「A LONG VACATION」と、1982年のアルバム「NIAGARA TRIANGLE VOL.2」と、1984年のアルバム「EACH TIME」から、夏向きの楽曲を選んだアルバムで、ズバリ云って、歌い手として本気を出して遂に売れて、商業的にも大成功していた時代の、大瀧師匠のベスト・アルバムなのです。その内容が悪いわけがなく、素晴らしい作品です。オリジナルは、1985年6月1日リリースで、当時はCDとカセットテープのみで、アナログ盤はなしでした。まだCDがアナログ盤を絶滅させる前だったので、あたくしは当時は余りにも高価だったCDプレイヤーを持っていなくて、仕方なくカセットテープで買いました。日本でCDがアナログ盤を壊滅させたのは、1987年にビートルズが初CD化されてからだったのです。
カセットテープ版は、片面が30分で両面で60分になっていて、それは大瀧師匠が福生から東京都心へ車で来るのに60分位かかったからそうしたと云われています。内容は、1「カナリア諸島にて」、4「恋するカレン」、7「雨のウェンズデイ」、10「Velvet Motel」の4曲が「A LONG VACATION」から、2「オリーブの午后」、5「白い港」、8「Water Color」の3曲が「NIAGARA TRIANGLE VOL.2」から、3「夏のペーパーバック」、6「ペパーミント・ブルー」、9「銀色のジェット」の3曲が「EACH TIME」から、そして11曲目は当時は新曲扱いだった「Bachelor Girl」、更に「NIAGARA SONG BOOK」から12「夢で逢えたら」のインストゥルメンタルの全12曲なのですが、歌入りの全11曲に「NIAGARA SONG BOOK」と「NIAGARA SONG BOOK 2」でのインストの一部が前奏として追加されているので、単なるベスト・アルバムではありません。しかし、大瀧師匠を「ロンバケ」で知った方々にとっては、コレがあれば充分に満足されるのではないか、と思われる、万人向けの内容です。その後、1989年6月1日には「Velvet Motel」と「Bachelor Girl」をカットした全10曲のリマスター盤CDが出て、1991年3月21日にはオリジナルの全12曲で選書盤CDが出て、大瀧師匠の死後になってから2015年3月21日に「NIAGARA CD BOOK II」にオリジナル通りの全12曲で収録されました。
選書盤は税込み1500円でお徳用だったのですけれど、廃盤となっていて、満を持して今回の「B-EACH TIME L-ONG 40th Anniversary Edition」の登場となったわけです。が、しかし、2枚組になって、価格も3960円(税込み)とお高くなっております。まあ、2枚組だから仕方ないか、となるのはあたくしも末席に座らせて頂くディープなファンやナイアガラーだけで、普通の人は「1枚目だけで2000円以下で出せるんじゃね?」でしょうなあ。2015年の箱に入った時に、もう大瀧師匠不在で「生前に本人が望んでいた通りに編集した」とか云っていたので、今回も「生前に本人が望んでいた2025年最新リマスター」なんでしょう。何じゃ、そりゃ。そして、今回は遂にアナログ盤も発売される運びとなったのですけれど、それも「生前に本人が望んでいた待望のアナログ化」なのでしょうか。アナログ盤は2枚組で、CD1と同内容なのですけれど、そりゃあ60分もあるんだから音質を考えたら2枚組になるでしょう。それで、税込み6100円って、そりゃあ2枚組なんだからそんくらいになるでしょう。だから、何じゃ、そりゃあ。大瀧師匠は、死後12年後をも見据えた予言者か何かなんすかあ?今回の2枚目は「Niagara Memory, Melody, Medley “Summertime, Each time ’84”」と云う、非売品だった「プロモーション・カセットテープ」がCD化されていて、そりゃあ、もう、あたくしも含めたディープなファンやナイアガラーは大喜びなんですけれど、通常盤にそれを入れるって、敷居を高くしているとしか思えませんなあ。(つづく)
(小島イコ)