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2025年03月19日

「ポールの道」#679「LENNON SONGS」#104 「WOMAN」

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ジョン・レノンが、1980年11月17日にゲフィンからリリースした、5年ぶりのアルバム「DOUBLE FANTASY」は、ヨーコさんとの共作で、基本的にはジョンの曲とヨーコさんの曲が交互に収録されています。それも、単に二人の曲を並べたのではなくて、お互いにそれぞれの曲で対話している形式となっています。それで、レコード盤ひっくり返せばB面への1曲目にはジョンの「WATCING THE WHEELS」が収録されていて、それをB面2曲目のヨーコさんの「YES, I'M YOUR ANGEL」で受け止めています。そして、更にB面3曲目はジョンの「WOMAN」で、それとA面7曲目のジョンの「BEAUTIFUL BOY(DARLING BOY)」を合わせて、B面4曲目のヨーコさんの「BEAUTIFUL BOYS」で包み込んでいます。それに、ジョンはB面5曲目の「DEAR YOKO」で返歌するわけですなあ。そんな事は、日本のバカな評論家ががなり立てなくとも誰でも普通に理解出来る事だし、そもそもアルバム「DOUBLE FANTASY」はジャケットからして「カメラ小僧」篠山紀信さんが撮影したジョンとヨーコさんがキスしている写真を使っているのですから、それをジョンのファンが理解していないと決めつけているバカ丸出しな音楽評論家の方がどうかしているのです。そんな大前提で当り前田のあっちゃんぶりけな事を云う前に、もっと書くべき事がないのでしょうか。まあ、バカだからないんでしょうなあ。

ジョンが1965年のビートルズのアルバム「RUBBER SOUL」に収録した、ジョンが主導で書いたレノン=マッカートニー作品「GIRL」の発展形だと語った「WOMAN」(実際に最後の方でジョンは「GIRL」の息を吸うところをやっている)は、「For The Other Half Of The Sky.」と云う毛沢東の詩を引用した呟きから始まる、ズバリ云って名曲です。アルバム「DOUBLE FANTASY」の中でも、先行シングルだったA面1曲目の「(JUST LIKE)STARTING OVER」と並ぶ傑作だと思います。5年間も遊んで暮らしていたジョンが、一朝一夕でこれほどまでの名曲を書けるわけがなく、「ハウス・ハズバンド」時代に膨大なデモ音源を録音していた成果なのでしょう。事実として、何度も推敲していた過程が「THE LOST LENNON TAPES」で明かされています。レコーディング・メンバーは、ジョン・レノン(リード・ヴォーカル、アコースティック・ギター)、アール・スリック(エレクトリック・ギター)、ヒュー・マクラッケン(エレクトリック・ギター)、トニー・レヴィン(ベース)、ジョージ・スモール(ピアノ、フェンダー・ローズ、シーケンシャル・サーキット プロフェット5)、アンディ・ニューマーク(ドラムス)、アーサー・ジェンキンス(パーカッション)、ミシェル・シンプソン、カッサンドラ・ウートン、シェリル・マンソン・ジャックス、エリック・トロイヤー 、ザ・ベニー・カミングス・シンガーズ、ザ・キングス・テンプル・コア(以上、バッキング・ヴォーカル)です。

最後に転調するところがたまらなく美しい「WOMAN」は、ジョンの死後の1981年1月12日(米国)・同年1月16日(英国)に追悼シングル(B面はヨーコさんの「BEAUTIFUL BOYS」)としてシングル・カットされて、全米2位・全英首位!となっています。ちなみに、英国でのその前の週の首位!は、ジョンの「IMAGINE」です。同年6月5日には、米国では「(JUST LIKE)STARTING OVER」とのベスト・カップリング盤で再リリースされました。その後、1982年のベスト盤「THE JOHN LENNON COLLECTION」(アルバム「DOUBLE FANTASY」のジョンの全7曲中6曲を収録)、1988年のサントラ盤「IMAGINE」、1990年の箱「LENNON」(アルバム「DOUBLE FANTASY」のジョンの7曲全て収録)、1997年のベスト盤「LENNON LEGEND」、2005年のベスト盤「WORKING CLASS HERO」、2010年のベスト盤「POWER TO THE PEOPLE:THE HITS」、同年の小箱「GIMME SOME TRUTH」、2020年のベスト盤「GIMME SOME TRUTH.」と、ベスト盤の定番曲のひとつとなりました。1998年の箱「JOHN LENNON ANTHOLOGY」にはデモ音源(ギターの弾き語りで、曲の美しさが際立っている)が収録されていて、2003年のDVD版「LENNON LEGEND」と、2010年のCD+DVD版「POWER TO THE PEOPLE:THE HITS」にはMVが収録されています。MVに関しては、ジョンの死後に制作された曲も多くて、この「WOMAN」もそのひとつです。楽曲の内容は、ヨーコさんだけではなく、全ての女性に対する賛歌となっています。ビートルズ時代にはマッチョだったジョンが、40歳となってフェミニストになった、余りにも美しい楽曲です。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする