2025年も、早くも3月になりました。この2か月間で、女子プロレス界で最大の話題となったのが、2月16日に行われたウナギ・サヤカの後楽園ホールでの3度目の自主興行で、それは里村明衣子とのワン・マッチ興行であって、女子プロレスでは初だったし、男子を含めても1987年1月14日の「藤波辰巳VS木村健吾」以来の事でした。実力、実績共に里村が圧倒的で、結果は見えていた対戦で、予想通りに里村が勝った試合ではありましたが、その一戦だけの興行で千六百人以上の超満員札止めにしてしまったのですから、興行主・ウナギ・サヤカの圧勝です。かつてウナギをクビにしたスターダムも、2月2日に後楽園ホール(メインエベントは、王者・上谷沙弥VS挑戦者・鈴季すずの赤いベルト戦で、上谷の勝利)を超満員にしていますけれど、ワンマッチとは違うわけです。そんなウナギは1月3日にスターダムに出戻り参戦していて、中野たむと「ウナギ・サヤカが負けたらスターダム追放」試合をやっていて、中野たむが勝ったのですけれど、もしも中野たむが負けていたならば「プロレスラー廃業」を賭けていたのです。そうです、そうなんですよ、つまり、中野たむは今年(2025年)の最初の試合から「自らの進退」を賭けた試合をやっていたわけです。
そして、何だかんだあって、3月3日に中野たむと上谷沙弥による「敗者スターダム退団マッチ」が、後楽園ホールで行われたのです。それは1週間前にタッグマッチで中野たむが上谷沙弥に直接勝利して、何でも願いを叶える条件だったので、中野たむが云い出した事であって、3月3日は平日の月曜日だったのですけれど、後楽園ホールは超満員札止めになって、そのメインエベントだけがYouTubeで無料生配信されて6万人以上が目撃したわけです。あたくしも当日に予定していたブログの更新を前日に済ませて、YouTubeで生観戦したわけですけれど、画面越しからも異様な観客の熱気が感じられて、ほんの2か月前の同じカードの両国国技館でのしょっぱい試合が嘘だったみたいに、試合内容も素晴らしく、久しぶりに手に汗握ってハラハラドキドキしながらプロレスを観ました。が、しかし、中野たむのトワイライトドリームが完璧に決まって3カウントが入る直前で、予想通りに「H.A.T.E.」が乱入からの、「コズエン」も応戦からの、レフェリーの死角を突いてナツコと上谷の反則からの、上谷のフォール勝ち、と云うバッド・エンドとなったわけです。上谷は現・赤いベルトのチャンピオンだし、リング上ではヒールなのですから、まあ、そうなりますわなあ。
ところが、敗れた中野たむが、ナツコの毒霧でアバター状態となったなつぽいや、珍しくキレていた推しの安納サオリたちと共に退場してゆくのを、勝った上谷が呼び止めてしまい、激昂した中野たむがリングに戻って来てしまい、上谷に挑発されて「次は引退を賭ける」と云ってしまい、それを上谷が「4月27日の横浜アリーナでやる」と受けてしまい、大炎上する事になってしまったのです。曰く「退団を賭けていたはずなのに、横浜アリーナの宣伝じゃないか」なのですけれど、アノですね、そりゃあプロレスなんですから、そうやってストーリーはつづくよどこまでも、なんですよ。SNSが発達した現在の方が、一般人の方々ってプロレスの楽しみ方が理解出来ていないのでしょうか。まあ、退団マッチだったはずなのに、勝った上谷の方から続編の予告をその場でやらかしてしまったのは失敗だとは思います。結局、翌日の会見で中野たむはスターダムを退団して、横浜アリーナまではフリーで何試合か参戦して、横浜アリーナでは赤いベルトのタイトルマッチで双方の引退も賭ける事となったわけです。でもですね、何故、上谷沙弥まで赤いベルトだけではなく引退まで賭けるのかが謎なんですよ。中野たむは前述の通り、年明けのウナギ・サヤカ戦の時点で「プロレス廃業」を賭けていたわけで、そうやって自分を追い込むのが好きなんでしょうね。
(小島イコ)