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2025年02月17日

空想格闘メタフィクション

「千秋万歳」第2部第1章 COME AND GET IT

其の二 ワインカラーの少女(上)



「第壱回・片瀬那奈・怪優グランプリ」のつづきの
「千秋万歳」序章のつづきの


西暦 2025年 西豪寺ホール:
西豪寺エレナと小島イコの会話

エレナ:試合が全部で四つしかないから、2試合が終わってもう休憩時間なのね。やっぱり、たったの7人じゃ食い足りないんじゃないの。

イコ:戦力不足は仕方ないんですけれど、7人とは云え美月うららくんとカタセ四天王の5人を有するので侮れないですよ。

エレナ:前半の2試合を観た限りでは、ウチでやっていたスタイルとほとんど変わってないと思ったけど。

イコ:1試合目は美月うららくんの横綱相撲、2試合目は高瀬リコくんと藤田千秋くんによる合わせ鏡の様なカウント2.9の四天王プロレスと云ったところでしたね。

エレナ:どちらも安心して観れるレベルだったけれど、意外性がなかったわね。

イコ:問題は後半の2試合ですよ。3試合目の「姫様VS平山まどか先生」は打ち合わせアリですけれど、ブック破りも容認していますし、メインエベントの「大久保千秋くんVS美月うららくん」はブックなしなんです。

エレナ:セメントって云う意味?

イコ:いえ、あくまでもプロレスですけれどね。

エレナ:ブック破りを容認しているところが、MZGの売りみたいね。

イコ:そうなんですよ。ファンも敏感に察知しています。MZGではブックがあってもその通りには試合が決まらないケースも多々あるでしょう。そして、大久保千秋くんの試合に関しては全てブックなしで、プロレス内セメント・マッチです。大久保千秋くんがプロレスリング・エレナに書き残した「まだ見ぬ強豪」とは、そのルールの事でしょう。

エレナ:ブック破りのセメント・マッチばかりになったなら、怪我人が続出して興行が成り立たなくなるでしょう。後で移籍した7人はいまいちピリッとしないメンバーだし、旗揚げの7人が欠けたらMZGは潰れてしまうでしょうね。

イコ:その辺は、怪我をしない様に、あくまでもプロレス内セメント・マッチで、全試合がセメントとは云えないでしょうなあ。まあ、セメントは観ていてつまらない事も多いんですけれどね。

エレナ:兎に角、MZGにはプロレスリング・エレナの強力なライバル団体として盛り上がってもらわないと、わざわざ独立させた意味がないわね。

イコ:本日のメインエベントである「大久保千秋くんVS美月うららくん」の一戦が、新時代のプロレスを魅せてくれるとは思いますよ。西豪寺エレナ様と対等に渡り合えるのは、その二人くらいしかいませんからね。エレナちゃんも、プロレスリング・エレナでは敵なしになっちゃって、困っているんじゃないの?

エレナ:いえ、まだ無名の、例えば桜井玲奈さんとか、2010年代以降にデビューした新人がプロレスリング・エレナには沢山居るのですよ。上が抜けて、私と闘う機会が増える事で、彼女たちを育成出来ます。

イコ:なるほど、かつてアントニオ猪木がスタン・ハンセンやハルク・ホーガンを何度も対戦する事で育てていった様なものですね。

エレナ:プロレスリング・エレナに死角はありません。でなければ、呑気にMZGの旗揚げ戦を観戦したりしませんわ。私と柏木さんがリングサイドに映っているから、PVも売れたでしょう。

イコ:今、休憩時間なんですけれど、リング上で美月うららくんが歌を歌っているんですよ。ロビーでは大久保千秋くんたちがサイン会をやっていまして、お客さんたちは大喜びですけれど、なかなか涙ぐましいファン・サービスですなあ。

エレナ:これからメインエベントで戦うのに、そんな事をやっているの?

イコ:何せ、4試合しか組めませんからね。

エレナ:アタマを下げて頼みに来たら、後追いの7人の出場許可とか、プロレスリング・エレナ所属選手の貸し出しとかしてあげたのにね。

イコ:いや、ファンはたったの7人での旗揚げ戦に魅力を感じているんですよ。後追いの7人に関しては、本日の結果いかんでは、プロレスリング・エレナに戻る可能性もありますね。MZGとしても、事をこれ以上ややこしくしたくないでしょうし、今日は旗揚げ戦だから超満員札止めですけれど、先はどうなるか分かりませんしね。

エレナ:筋道を通せば、後追いの7人なんかくれてやるわよ。ビッグ・マッチに美月うららさんや大久保千秋さんを貸し出してくれればね。ギブ・アンド・テイクですわよ。

イコ:MZGとしても、プロレスリング・エレナへの逆上陸は視野に入れての独立でしょうね。まずは、高瀬リコくん、藤田千秋くん、姫様、と云った面々が乗り込んでくる可能性はありますなあ。

エレナ:私は、美月うららさんと大久保千秋さんだけでいいんだけど。

イコ:勿論、本日のメインエベントの勝者とは、西豪寺エレナ様とPWE王座戦をやってもらって、真のチャンピオンシップを決めなければなりません。

エレナ:どちらが来ても、負ける気は、これっぽっちもしないわね。

イコ:確かに、ファンの間でも、実は西豪寺エレナ様が最強なんじゃないのか、との意見が多いんですよ。たまに負けるけれど、興行を盛り上げる為にわざと負けているとの見方がされています。それに、西豪寺エレナ様の場合は負けた試合も全て名勝負ですからねえ。

エレナ:もっと褒めなさい。私は褒められて伸びるタイプです。

イコ:まあ、裏事情を明かせば、西豪寺エレナ様にはここぞと云う時にジョブをやっていただいて、興行を盛り上げてもらっていますわなあ。申し訳ない。でも、ファンは西豪寺エレナ様の真の実力を評価していますよ。


以 下、ワインカラーの少女(下)につづく

DEMO 2014−9−28
MIX 2025−2−17


(小島イコ/姫川未亜)


空想格闘メタフィクション


「千秋万歳」第2部第1章 
COME AND GET IT

其の二 ワインカラーの少女(下)

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posted by 栗 at 22:00| CHIAKI | 更新情報をチェックする