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2025年02月12日

「ポールの道」#644「LENNON SONGS」#069 「BEEF JERKY」

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ジョン・レノンが、1974年9月26日(米国)・10月4日(英国)にアップルからリリースした4作目のソロ・アルバム「WALLS AND BRIDGES(心の壁、愛の橋)」のB面4曲目に収録されているのが、インストゥルメンタル曲「BEEF JERKY」です。ジョンのソロになってからの楽曲で、インストゥルメンタル曲はこの「BEEF JERKY」だけです。この楽曲は、アルバムからの第1弾シングルで全米首位!を獲得した「WHATEVER GETS YOU THRU THE NIGHT(真夜中を突っ走れ)」のB面としてシングル・カットもされているので、ジョンのお気に入りのナンバーだったのでしょう。この「BEEF JERKY」に関してジョン自身が語っている音源がブートレグには収録されていて、そこでジョンは、ビートルズ時代の1967年のEP「MAGICAL MYSTERY TOUR」に収録されたビートルズ4人の共作曲「FLYING」以来のインストゥルメンタル曲である事ばかりか、1961年にトニー・シェリダンのバック・バンドを務めた時に、ビートルズだけでレコーディングしたジョンとジョージ・ハリスンの唯一の共作であるインストゥルメンタル曲「CRY FOR A SHADOW」の事まで語っています。この時期には、ジョンは「ビートルズ」を引き合いに出す事に、もう抵抗がなくなっていたのでしょうし、やはりヨーコさんと別居中だったからこそ、そうした発言になっているのでしょう。

この「BEEF JERKY」は、前作アルバム「MIND GAMES」に収録された「TIGHT A$」と「MEAT CITY」が元になっているばかりか、1973年12月にリリースされたポール・マッカートニー&ウイングスのアルバム「BAND ON THE RUN」に収録されている「LET ME ROLL IT」のギター・リフまで飛び出します。ポールの「LET ME ROLL IT」は、リリース当時から「ジョンが書いた曲?」と云われた程に、ポールがジョンを意識して書いた楽曲ですので、云わばジョンがそれに返答したのが「BEEF JERKY」なのでしょう。タイトルの「BEEF JERKY」は、メイ・パンがスタジオでよく食べていて、ジョンも酒のツマミにしていた「ビーフ・ジャーキー」です。レコーディング・メンバーは、ジョン・レノン(Dr. Winston and Booker Table and the Maitre D's 名義)(ギター)、ジェシ・エド・デイヴィス(ギター)、クラウス・フォアマン(ベース)、ジム・ケルトナー(ドラムス)、アーサー・ジェンキンス(パーカッション)、リトル・ビッグ・ホーンズ(ホーン)の、「プラスティック・オノ・ニュークリア・バンド」です。前曲「STEEL AND GLASS(鋼のように、ガラスの如く)」と、次の曲「NOBODY LOVES YOU(WHEN YOU DOWN AND OUT)(愛の不毛)」と云うヘヴィーな楽曲を繋ぐ役割を持っていて、何気にアルバムの流れを作っている楽曲となっています。オリジナル・アルバムとシングル以外では、2010年の小箱「GIMME SOME TRUTH」でも聴けます。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする