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2025年01月26日

「ポールの道」#627「LENNON SONGS」#052 「NUTOPIAN INTERNATIONAL ANTHEM」

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1972年10月29日(米国)・同年11月16日(英国)に、ジョン・レノンはヨーコさんとの共作アルバム「SOMETIME IN NEW YORK CITY」をアップルからリリースして、その反体制的な内容に米国政府はジョンとヨーコさんを危険人物とみなしました。何せ、ジャケットにはニクソン大統領と毛沢東主席が裸踊りをしているコラージュが表面の右上に掲載されていて、米国ではシールで隠されていたのです。それで、1972年に米国の移民帰化局は、ジョンとヨーコさんに強制退去する様に決定しました。翌1973年4月2日に記者会見を行ったジョンとヨーコさんは、前日である1973年4月1日に新国家「ヌートピア」を建国したと発表しました。アルバム「MIND GAMES」の当時の邦題が「ヌートピア宣言」とされたのは、その事から取られていたのです。ジョンとヨーコさんは、領土も国境も法律もなく、希望した人は誰でも国民になれる、架空理想国家がヌートピアであると宣言したのですけれど、集まったマスコミは「エイプリル・フールのジョークだろう」としか捉えなかった様です。ジョンとヨーコさんは、以前にも「平和活動」と称して「ベッド・イン」イベントや、各国首脳へドングリを贈ったりしていたので、この「ヌートピア建国」も、「ジョンとヨーコさんが、またやってんなあ」と云う感覚だったのでしょう。

しかしながら、少なくともジョンは本気で、1973年10月29日(米国)・同年11月16日(英国)にアップルからリリースした3作目のソロ・アルバム「MIND GAMES」のA面最後の6曲目に「NUTOPIAN INTERNATIONAL ANTHEM(ヌートピア国際賛歌)」を収録したのです。これは「ヌートピア」の国歌なのですが、内容は「6秒間の無音」です。ジョンは、その6秒間にヌートピアンとなる事を宣言すれば、誰でも国民になれると云う意図だったらしいのです。これは、1952年のジョン・ケージによる「4分33秒」の影響下にあって、ジョンはヨーコさんとの1969年の前衛アルバム「UNFINISHED MUSIC No.2:LIFE WITH THE LIONS」にも「TWO MINUTES SILENCE」と云う「沈黙の2分間」を収録していました。ヌートピアの国旗は白一色の無地のハンカチで、政府も存在しないと、まあ、あの「IMAGINE」で唱えた理想国家を実践したわけですけれど、そんな世迷言を云っても、現実的な戦争はなくならないのです。それからですね、ジョンはこのアルバム「MIND GAMES」で敷居を低くしてヌートピアンを求めていたはずなのに、昨年(2024年)にショーンくんがプロデュースしたメガ箱の「24万7千5百円」と云う価格は、一体、何事なのでしょうか。ヨーコさんやショーンくんは、生まれた時から大金持ちだからとは云え、庶民の金銭感覚とはかけ離れ過ぎでしょう。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする