今年(2025年)も、新日本プロレスが「1・4東京ドーム大会」と「1・5東京ドーム大会」を行いました。「1・4」はCSでの生中継があったので、テレビ桟敷で観戦したのですけれど、メインエベントではIWGP世界ヘビー級選手権の「王者・ザック・セイバーJr. X 挑戦者・海野翔太」の試合が行われて「43分44秒」でザックが勝ちました。40分を超える激闘だったのか、と云うと、それは違っていて、ズバリ云って「しょっぱい試合」でした。試合と云うよりも、ザックが海野を公開スパーリングしている様な、ダラダラとつづくよどこまでもな展開で、負けてヘトヘトになっている海野を見下ろして、ザックはピンピンしているんですから、力の差がありすぎて、予想された通りに「海野にはドームのメインは早い」を証明しただけの試合でした。解説のミラノさんは「海野は、何をやりたいんでしょうね」とか呆れているし、ロープ・ブレイクで反則カウントを数えているレフェリーを突き飛ばしたら、ゲスト解説の蝶野さんが「オヤジをどついた」とか喜んでいる始末でした。説明するとですね、メインを裁いたレフェリーのレッドシューズ海野さんは、海野翔太の実の父親なのです。新春早々に親子喧嘩みたいな事を見せられて、困ったちゃんなのでした。
かつての「猪木 X ロビンソン」とか「猪木 X 藤波」とか60分フルタイムだった名勝負は、1時間たっぷりと見せ場があってですね、全く退屈しなかったし、何度も鑑賞に耐えうるからこそ「名勝負」なのですよ。いえね、別に昔は良かった、と云いたいわけではなくてですね、試合は長ければ良いと云うわけじゃないって事なのです。「1・4」の第2試合では、IWGP女子選手権の「王者・岩谷麻優 X 挑戦者・AZM」の試合が行われていてですね、そちらは前座みたいなもんですから「8分46秒」で岩谷が勝って防衛したのです。スターダムでやったのなら20分位はかけた試合でしょうけれど、それがたったの9分足らずなのに、メインエベントよりもずっと良い試合だったのですから、本当に困ったちゃんなのです。日本人は国技と云われる大相撲が好きですけれど、あれって仕切りの時間は長いけれど、実際の勝負時間だと秒殺なんですよ。1分でも長いし、4分超えしたら水入りです。最近のプロレスはメインエベントを長くやれば良いとでも思っているのか、IWGP世界ヘビー級選手権だと30分超えは当然で、今回は海野を売り出す為に更に長くして40分超えにしたのでしょうけれど、アレじゃあ逆効果です。長引けば長引くほどに、ザックの強さばかりが目立ち、海野はしょっぱくなるばかりって、わざわざ東京ドームへ足を運んで、海野へのブーイング以外では静まり返った観客の皆さんも、お疲れ様でしたとしか云えませんなあ。
そして「1・5」ですけれど、第0試合でスターダムの渡辺桃が優勝して、第3試合ではスターダムの白川未奈がメルセデス・モネにタイトルマッチで負けてしまいました。しかしながら、試合時間も「14分6秒」とそこそこ長くて、昔はビジュアル先行だった白川が東京ドームでシングルマッチをする位置まで這い上がって来たのには「夢」があります。メインエベントではIWGP世界ヘビー級選手権で「王者・ザック・セイバーJr. X 挑戦者・リコシェ」が行われて「20分57秒」でザックが勝ちました。2連戦でベルトを守ったのは、ザックが史上初です。前日の半分以下の時間でしたけれど、キリリと締まって良かったのではないでしょうか。セミファイナルの「ケニー・オメガ X ゲイブ・キッド」が「31分55秒」の激闘だったので、それでメインも40分とかやられたら、ちょっと勘弁して欲しいところです。そして、観客動員数は「1・4」が2万4千百7人で「1・5」が1万6千3百人だったそうで、久しぶりに2連戦にした結果ですけれど、2日合計でも4万人では、櫻坂46の東京ドーム公演の1回分(5万5千人・2日で11万人)にも満たないわけでして、困ったちゃんですなあ。かつての「新日 X UWF」とか「猪木引退」とかサバを読んではいたけれど6万人とか7万人とか発表していて、事実として立錐の地なく入っていたわけで、海野は「俺が超満員にする!」とか根拠もなく云っている場合じゃないでしょう。
(小島イコ)