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2024年12月03日

「ポールの道」#573「GEORGE'S SINGLES」#36「ANY ROAD / MARWA BLUES」「STUCK INSIDE A CLOUD」

ブレインウォッシュド


2001年11月29日に病死したジョージ・ハリスンですが、生前に新作アルバムを制作していました。その音源に、盟友・ジェフ・リンと愛息・ダニー・ハリスンを中心にオーバーダビングして、ジョージの12作目でビートルズ解散後では10作目で遺作のスタジオ・アルバム「BRAINWASHED」を、2002年11月18日にダークホース/パーロフォン(英国)・ダークホース/キャピトル(米国)からリリースしました。ジョージの音源は、この時点で古巣であるパーロフォン傘下に戻っていた様で、後のボックス・セットなどは、ワーナー時代の音源も含めてパーロフォンからリイシューされています。内容は、1「ANY ROAD」、2「P2 VATICAN BLUES(LAST SATURDAY NIGHT)」、3「PISCES FISH(魚座)」、4「LOOKING FOR MY LIFE」、5「RISING SUN(悠久の輝き)」、6「MARWA BLUES」、7「STUCK INSIDE A CLOUD(あの空の彼方へ)」、8「RUN SO FAR」、9「NEVER GET OVER YOU」、10「BETWEEN THE DEVIL AND THE DEEP BLUE SEA(絶体絶命)」、11「ROCKING CHAIR IN HAWAII」、12「BRAINWASHED」の、全12曲入りです。「BETWEEN THE DEVIL AND THE DEEP BLUE SEA」がキャブ・キャロウェイのカヴァーで、他の11曲はジョージのオリジナルです。

レコーディング・メンバーは、ジョージ・ハリスン(ヴォーカル、ギター、ウクレレ、ベース、キーボード、フィンガー・シンバル)、ジェフ・リン(ギター、ベース、キーボード、バッキング・ヴォーカル)、ダーニ・ハリスン(ギター、ウーリッツァー、バッキング・ヴォーカル)、マーク・フラガナン(アコースティック・ギター)、ジョー・ブラウン(アコースティック・ギター)、ハービー・フラワー(ベース、チューバ)、マイク・モーラン(キーボード)、マーク・マン(キーボード、ストリングス・アレンジ)、ジュールズ・ホーランド(ピアノ)、ジョン・ロード(ピアノ)、ジム・ケルトナー(ドラムス)、レイ・クーパー(ドラムス、パーカッション)、バイクラム・ゴーシュ(タブラ)、ジェーン・リスター(ハープ)、サム・ブラウン(バッキング・ヴォーカル)、と云った面々です。ドラマーのジム・ケルトナーの話では、ジョージがギターやウクレレで弾き語りした音源に合わせてドラムスを叩いたらしいのですけれど、その辺はジェフ・リンが手堅くまとめているので、違和感はありません。

スタジオ・ソロ・アルバムとしては、前作アルバム「CLOUD NINE」が1987年11月リリースなので、実に15年ぶりでしたが、その間には1988年から1990年までの「トラヴェリング・ウィルベリーズ」もあったし、1989年のベスト盤で新曲を3曲収録していたし、1991年の来日公演を1992年にライヴ盤にしていたし、1995年から1996年にはビートルズの「ANTHOLOGY」があったし、2001年にはアルバム「ALL THINGS MUST PASS」30周年記念盤(ニュー・センチュリー・エディション)もリリースしていました。晩年にラヴィ・シャンカール先生と一緒にテレビ番組に出演した時には「ALL THINGS MUST PASS」や新曲「ANYROAD」をギターの弾き語りで披露していたので、このアルバム「BRAINWASHED」はコツコツと15年かけてレコーディングされているのでしょう。まあ、それは大袈裟ですけれど、少なくとも3年はかかっていて、アルバムは、全英29位・全米18位まで上がっています。シングル・カットはアルバム冒頭の「ANYROAD」で、カップリングの「MARWA BLUES」は、2004年のグラミー賞最優秀ポップ・インストゥルメンタル・パフォーマンス賞を受賞しています。米国では、プロモーション・シングル「STUCK INSIDE A CLOUD(あの空の彼方へ)」もリリースされています。と云う事で、残念ながらジョージのシングルはこれでおしまいです。次回からは、また別のテーマで書いてゆく事となります。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする