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1992年7月に2枚組のライヴ盤「LIVE IN JAPAN」をリリースした後に、ジョージ・ハリスンは再び長い沈黙を続ける事となりました。しかし、それはソロ・アルバムがリリースされなかっただけで、ジョージは多くのミュージシャンのレコードに参加していて、得意のスライド・ギターを披露しています。アルバム「CLOUD NINE」で大復活を遂げた1987年には、デュアン・エディ、ラヴィ・シャンカール先生、覆面バンド・トラヴェリング・ウィルベリーズを結成した1988年には、シルビア・グリフィン、ゲイリー・ライト、ジム・キャパルディ、ベスト盤をリリースした1989年には、ロイ・オービソン、トム・ペティ、ベリンダ・カーライル、エリック・クラプトン、トラヴェリング・ウィルベリーズの2作目をリリースした1990年には、ヴィッキー・ブラウン、ゲイリー・ムーア、ジェフ・ヒーリー・バンド、ジム・ホーン、ジェフ・リン、エリック・クラプトン、ボブ・ディラン、等々のレコードに参加しています。
来日公演が実現した1991年には、デル・シャノン、来日公演を収録したライヴ盤をリリースした1992年には、ジミー・ネイル、アルヴィン・リー、1993年には1992年に開催された「ボブ・ディラン30周年記念コンサート」、1994年には、アルヴィン・リー、1995年には、ゲイリー・ライト、1996年には、ラヴィ・シャンカール先生、カール・パーキンス、1997年には、ラヴィ・シャンカール先生、1998年には、盟友・リンゴ・スター、1999年には、レモ・フォー(1967年の音源)、2000年には、ルビーホース、2001年には、エレクトリック・ライト・オーケストラ(ELO=ジェフ・リン)、ビル・ワイマンズ・リズム・キングス、ジム・キャパルディ、ジュールズ・ホーランド、と云った面々のレコードに参加しています。
そんな中でも、1995年から1996年にリリースされたビートルズの「ANTHOLOGY」プロジェクトで、ジョン・レノンのデモ音源にポール・マッカートニーとジョージ・ハリスンとリンゴ・スターがオーバーダビングして、ビートルズの新曲「FREE AS A BIRD」と「REAL LOVE」を完成させて、その時に完成できなかった「NOW AND THEN」は、2023年に「ビートルズ最後の新曲」としてリリースされたのです。ポールは2024年現在のツアーで「NOW AND THEN」もセットリストに入れています。1990年代中頃には、そうしてビートルズの「ANTHOLOGY」があったので、そもそも元ビートルズの3人はバッティングするから新作ソロ・アルバムをリリースできなかったわけで、ジョージが沈黙している事にも多くの人は気が付かなかったのでした。
そんな中でジョージは、2001年1月にアルバム「ALL THINGS MUST PASS」30周年記念盤をリリースしました。ジョージの生前に最後にレコーディングされたのは、ジュールズ・ホーランドのアルバムに収録された「HORSE TO THE WATER」ですけれど、それはオムニバス盤なので、ジョージ名義の生前最後のアルバムは「ALL THINGS MUST PASS」30周年記念盤です。オリジナルの3枚組をCD2枚組にして、オリジナルのフィル・スペクターによる「ウォール・オブ・サウンド」をクリアにしていて、未発表曲やアウトテイク(「WHAT IS LIFE」でエリック・クラプトンがリード・ギターを弾き捲るうるさいカラオケ・テイクも聴ける)も加えていますが、新録として「MY SWEET LORD(2000)」も収録されています。それは、オリジナルのベーシック・トラックにジョージが新たにヴォーカルをダビングしたテイクで、シングルにもなっていて、B面は「ALL THINGS MUST PASS」です。ジョージの生前最後のシングルはこれなのです。ジャケットはカラーになって、ブックレットでは背後にビルや高速道路ができていて、正に「ALL THINGS MUST PASS」なのです。
(小島イコ)
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