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2024年09月05日

「ポールの道」#484「FAB4 GAVE AWAY」#28 「THAT'S THE WAY GOD PLANNED IT」

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1969年1月にビートルズが行った「THE GET BACK SESSIONS」では、後半のアップル・スタジオ及びルーフトップでのレコーディングにビリー・プレストンがキーボードで参加しています。ビリーは偶然にアップル・オフィスに居たところを、ジョージ・ハリスンが連れて来て(ジョージは「THE GET BACK SESSIONS」の前半に、トゥイッケナム映画スタジオでのリハーサル中にポールと対立し、ジョンともヨーコさんの件で揉めて脱退していた)自分が復帰する条件のひとつとして、ビリーの参加を要望したと云われていました。しかし、ドキュメンタリー作品「GET BACK」を観ると、テレビ出演の為に英国に来たビリーは旧知の仲であるビートルズに自ら挨拶に来て、その場でジョンが口説き落としてレコーディングに参加した様に描かれています。ビリーが米国キャピトルからアップル・レコードに移籍する事が決まって、ビリーはその契約をする為に英国に来ていて、それならばとビートルズのレコーディングに参加したのではないか、とも思われます。

キャピトルで既にレコーディングしていた楽曲をアップルが買い取って、ジョージが移籍金を払って、残りはジョージがプロデュースして、ビリーはアップルから「歌もの」で再デビューする事になったのです。10歳からプロのキーボード・プレイヤーとして活動していたビリーは、天才少年と云われていましたが、ヴォーカリストとしてはアップルからとなりました。1969年6月27日(英国)・同年7月14日(米国)に先行シングル「THAT'S THE WAY GOD PLANNED IT(神の掟)」をジョージのプロデュースでアップルからリリースして、全英11位・全米62位とヒットして、1969年8月22日(英国)・同年9月10日(米国)に、アルバム「THAT'S THE WAY GOD PLANNED IT(神の掟)」をリリースしました。アルバムは全米127位とあまり売れなかったものの、内容は充実しています。全12曲中ほとんどがビリーのオリジナルで、ボブ・ディランのカヴァーや、ビリーとドリス・トロイの共作なども含みます。このアルバムでは、ジョージは楽曲提供はまだしていません。

アップル・スタジオでのレコーディング・メンバーは、ビリー・プレストン(ヴォーカル、ピアノ、キーボード)、ジョージ・ハリスン(ギター)、エリック・クラプトン(ギター)、キース・リチャーズ(ベース!)、ジンジャー・ベイカー(ドラムス)、ドリス・トロイ(バッキング・ヴォーカル)と云うトンデモナイ布陣による「スーパー・バンド」で、ビートルズとブラインド・フェイスとローリング・ストーンズが合体しています。ビリー・プレストンは1969年3月にリリースされたビートルズのシングル「GET BACK / DON'T LET ME DOWN」にビートルズ史上最初で最後の「ビートルズと連名」でクレジットされていて、「THE GET BACK SESSIONS」からアルバム「ABBEY ROAD」のセッションまで、継続してビートルズのレコーディングに参加しています。故に、アルバム「GET BACK」と、アルバム「ABBEY ROAD」と、アルバム「LET IT BE」でビリーのプレイが聴けるわけで、ビートルズの終焉を看取ったミュージシャンです。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする