nana.812.png

2024年08月12日

「ポールの道」#460「FAB4 GAVE AWAY」#04 「HELLO LITTLE GIRL」

The Best of Fourmost


ジョン・レノンが1957年頃に初めて書いたと云う「HELLO LITTLE GIRL」は、現在では1962年1月1日に行われた「デッカ・オーディション」での演奏が「ANTHOLOGY 1」に収録されているので、ビートルズ・ヴァージョンを聴く事が出来ます。しかしながら、ボツ音源集である「ANTHOLOGY 1」が1995年11月にリリースされるまではブートレグでしか聴けない音源だったし、聴ける様になったものの「デッカ・オーディション」は落選したボツ音源集である事に変わりはありません。1957年頃に書かれた曲なので、1960年の「クオリーメン・テープ」でも演奏していて、それらを聴くとジョンが何度も推敲して曲を仕上げている事が分かります。結局はこの「HELLO LITTLE GIRL」は、1963年8月30日に英国・パーロフォンからフォーモストのデビュー・シングルとしてリリースされて、全英9位まで上がるヒットとなっています。

フォーモスト版の「HELLO LITTLE GIRL」は、1963年11月15日に米国・アトコからリリースされましたが、チャート入りしていません。B面の「JUST IN CASE」は、ビートルズとは関係がない楽曲です。さて、この「HELLO LITTLE GIRL」は、1963年1月にジェリー&ザ・ペースメイカーズによってレコーディングされたものの、結果的にはフォーモスト盤が世に出た経緯があります。ジェリー&ザ・ペースメイカーズは、1963年3月にサー・ジョージ・マーティンのプロデュースでミッチ・マレーが書いた「HOW DO YOU DO IT(恋のテクニック)」で英国・EMI(コロムビア)からデビューして、全英首位!となっていて、マネジャーもビートルズと同じブライアン・エプスタインでした。「HOW DO YOU DO IT」は、元々はサー・ジョージ・マーティンがビートルズのデビュー曲として用意していた楽曲で、実際に1962年9月4日にビートルズがレコーディングしています。

が、しかし、ビートルズは自作自演のオリジナル曲に拘ったので、他人が書いた「HOW DO YOU DO IT」ではデビューしたくないとごねて、結果的にはジェリー&ザ・ペースメイカーズのデビュー曲となり、全英首位!となり、サー・ジョージ・マーティンの選曲センスとプロデュース能力の高さを証明する事となったのです。それで、レノン=マッカートニー作品も取り上げようと「HELLO LITTLE GIRL」もレコーディングしたのでしょう。ジェリー&ザ・ペースメイカーズは「HOW DO YOU DO IT」の後にも「I LIKE IT」や「YOU'LL NEVER WALK ALONE」や「FERRY CROSS THE MERSEY(マージー河のフェリーボート)」など後世に遺る名曲を出したものの、1966年に解散しています。マネジャーもプロデューサーもビートルズと同じなので、独自性を出そうとして成功したものの、1960年代中期の荒れ狂う音楽シーンには対応出来なかったバンドのひとつです。

公式盤となったフォーモストも、マネジャーはブライアン・エプスタインで、プロデュースはサー・ジョージ・マーティンで、レコード会社もEMI・パーロフォンです。数多あった「ビートルズの公式ライバル」のひとつで、ブライアン・エプスタインとサー・ジョージ・マーティンは「元祖・AKBグループ&坂道シリーズ」をやっていた様なものです。先を急げば2作目のシングル「I’M IN LOVE」もレノン=マッカートニー作品で、ジョンが書いた快作でヒットしています。3作目はオリジナルの「A LITTLE LOVING」で、全英6位のバンド史上最高のヒット曲となりますが、其の後は伸び悩む事となり、メンバーの死などでメンバー・チェンジを繰り返します。それでも、2024年の現在でもフォーモストを名乗って、ライヴ活動を続けている様です。但し、オリジナル・メンバーは4人中3人が亡くなっていて、残りのひとりも脱退しているので、全く違ったメンバー構成となっています。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする