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2024年08月10日

「ポールの道」#458「FAB4 GAVE AWAY」#02 「BAD TO ME / I CALL YOUR NAME」

ビリー・J・クレイマーとダコタス


レノン=マッカートニー作のシングル「DO YOU WANT TO KNOW A SECRET / I'LL BE ON MY WAY」で全英2位となったビリー・J・クレイマー&ザ・ダコタスは、ビートルズの次にブライアン・エプスタインが推していたグループでした。それで、第2弾シングルも「BAD TO ME / I CALL YOUR NAME」で、両面共にレノン=マッカートニー作品です。1963年7月26日に英国・パーロフォンからリリースされた第2弾シングルも、勿論プロデュースはサー・ジョージ・マーティンです。2作目のシングルは、前作よりも上の全英首位!の大ヒットとなっています。米国では同年9月23日にリバティーからリリースされていて、コレがなんと全米9位まで上がっています。1963年の出来事なので、米国では本家であるビートルズよりも早くビリー・J・クレイマー&ザ・ダコタスがブレイクしたとも云えます。

A面の「BAD TO ME」はジョン作で、ジョンがブライアン・エプスタインと二人だけでスペインに旅行した時(1963年5月)に書かれた純然たる提供曲です。故に、此の楽曲のビートルズ・ヴァージョンは存在しません。ジョンが作った音質が悪いデモ音源しかなくて、配信限定で2013年にリリースされた「The Beatles Bootleg Recordings 1963」で聴く事が出来ます。ブライアン・エプスタインに「僕がマネジメントしている他のバンドにも曲を書いて欲しい」とおねだりされて書かれた曲ですが、コレがマタ、1963年のジョンらしい佳曲です。他のバンド用に書かれたレノン=マッカートニー作品には、ダメだこりゃ、な駄作もあるのですが、それらは大抵はポールが書いています。B面の「I CALL YOUR NAME」もジョン作で、こちらはビートルズが1964年6月19日リリースのEP「LONG TALL SALLY」でセルフ・カヴァーしている名曲です。

つまり「I CALL YOUR NAME」がB面で、A面は「BAD TO ME」なのです。全英首位!になったのも、全米9位になったのも「BAD TO ME」なのです。そして、そんな名曲である「BAD TO ME」を、ビートルズはレコーディングしていないのです。ビートルズが曲を書いて、サー・ジョージ・マーティンがプロデュースして、ブライアン・エプスタインがマネジメントする「ビートルズの公式ライバル」が作られていった経緯は、そのまんま「AKB48」から「乃木坂46」へ、そして「欅坂46(櫻坂46)」などに連なる近年の日本でのグループ・アイドル商法と同じです。ビートルズは1962年1月1日の「デッカ・オーディション」で落選してしまい、担当だったデッカのディック・ロウは「世紀の愚か者」として会社で居場所がなくなっていた時に、ジョージ・ハリスンが「だったらあのバンドと契約すればいい」と紹介して契約したのが、ローリング・ストーンズです。マネジャーのアンドリュー・ルーグ・オールダムは、元・ブライアン・エプスタインの部下でした。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする