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2024年08月06日

「ポールの道」#454「FAB4 U.S. SINGLES」#47「NOW AND THEN / LOVE ME DO」



2023年11月2日に、ビートルズ最後の新曲シングル「NOW AND THEN / LOVE ME DO」が、英国では30作目、米国では41作目、日本では52作目!としてアップルからリリースされました。前作シングル「REAL LOVE」は1996年3月にリリースされているので、ビートルズの新作シングルとしては27年ぶりで、全英首位!・全米7位・日本5位と爆売れしました。A面の「NOW AND THEN」は、1978年にジョンが書いてピアノの弾き語りで歌ったデモ音源に、1995年にジェフ・リンのプロデュースでポールとジョージとリンゴがオーバーダビングしたものの完成出来ず、ジョージの死後にポールが2007年と2012年にリリースを匂わせたものの実現せず、2022年になってデミックスによってジョンのヴォーカルを抽出する事に成功して、ビートルズ時代のコーラスを流用して、ポールとジャイルズ・マーティンのプロデュースで2023年に完成した楽曲です。つまり、此の楽曲には、1966年と1969年のビートルズと、1978年のジョンと、1995年のポールとジョージとリンゴと、2022年から2023年のポールとリンゴが共存しています。カップリングの「LOVE ME DO」は、1962年のビートルズのデビュー・シングルでリンゴがドラムスを叩いているヴァージョンをデミックスによってステレオ化したものです。

1996年のアルバム「ANTHOLOGY 3」から2023年まで、シングルは出なかったけれどビートルズの新作アルバムは毎年の様に出ていました。1998年11月にはアルバム「THE BEATLES(ホワイト・アルバム)」の30周年記念盤CD2枚組が、オリジナルLP2枚組を紙ジャケにして出ています。内容は1987年CDと同じですが、ミニチュア化された紙ジャケやポスターやポートレートも付いていて売れました。1999年9月に編集盤「YELLOW SUBMARINE SONGTRACK」が出ていて、1969年公開のアニメ映画「YELLOW SUBMARINE」のビートルズによる楽曲を集めたサントラ盤の全15曲入りなのですが、ピーター・コビンが大胆にリミックスしていて賛否両論がありました。2000年11月にはベスト盤「1」が出ていて、これは英米どちらかで首位!となった27曲をCD1枚に詰め込んだお徳用盤で、日本だけで2百万枚以上、全世界で2千5百万枚以上も売れました。2003年11月にはリミックス盤「LET IT BE ... NAKED」がリリースされて、コレマタ賛否両論ありました。2004年11月には「THE CAPITOL ALBUMS VOL.1」4枚組が、2006年4月には「THE CAPITOL ALBUMS VOL.2」4枚組が、それぞれ米国キャピトル盤の計8作がモノラルとステレオの「2 in 1」でリマスターされてリリースされています。此の時にはキャピトル音源を元にしているので、現在でも存在意義がある8枚です。

2006年11月には、シルク・ドゥ・ソレイユのショウの為にサー・ジョージ・マーティンと息子のジャイルズ・マーティンがビートルズの楽曲を大胆にマッシュアップした「LOVE」をリリースして、やっぱり賛否両論ありました。そして、2009年9月9日には遂にビートルズのCDがリマスターされて、ステレオ14作16枚は箱とバラ売りで、モノラル11作13枚は箱で、一気にリリースされました。2010年10月にはベスト盤「THE BEATLES 1962-1966(赤盤)」と「THE BEATLES 1967-1970(青盤)」が2009年リマスター音源でそれぞれCD2枚組で出て、2011年9月にはベスト盤「1」が2009年リマスター音源で出ています。2013年11月にはBBCスタジオ・ライヴ盤の続編である「ON AIR LIVE AT THE BBC VOL.2」がCD2枚組で出て、一時廃盤になっていた第1弾の「LIVE AT THE BBC」もリニューアルされて、2セットCD4枚組も出ています。2014年1月には「THE U.S. BOX(The U.S. Albums)」がCD13枚組で出ていて、これはキャピトル編集盤を紙ジャケで復刻したのですが、内容は2009年リマスター音源に差し替えられています。2014年6月には「ミート・ザ・ビートルズ <JAPAN BOX>」がCD5枚組で出ていますが、こちらも中味は2009年リマスター音源です。2015年11月には「1+」が出て、ベスト盤「1」のリミックスに加えて50曲のプロモーション・フィルムが公式リリースされました。

2017年からは、とうとうアルバムごとの箱が登場しました。2017年5月にはアルバム「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」50周年記念盤が、2018年11月にはアルバム「THE BEATLES(ホワイト・アルバム)」50周年記念盤が、2019年9月にはアルバム「ABBEY ROAD」50周年記念盤が、2021年10月にはアルバム「LET IT BE」50周年記念盤が、2022年10月にはアルバム「REVOLVER」のスペシャル・エディションが、それぞれアップルから大箱入りでリリースされています。こちらは本編のリミックスに加えて、ボツ音源満載の箱となっております。そんな流れで、2023年11月10日に「THE BEATLES 1962-1966(赤盤)」と「THE BEATLES 1967-1970(青盤)」が50周年新装盤としてリニューアルされて、それぞれCD2枚組・LP3枚組でリリースされたのです。収録曲が増えていて、ビートルズ最後の新曲「NOW AND THEN」も収録されているのですが、LPヴァージョンは2枚組だったオリジナルと同じ2枚に新装盤で新たに加えられた曲だけの3枚目となっていて、正直に云って「それはないでしょ」です。

「赤盤」のCDは2枚組で、CD1が、1「LOVE ME DO」、2「PLEASE PLEASE ME」、3「I SAW HER STANDING THERE」、4「TWIST AND SHOUT」、5「FROM ME TO YOU」、6「SHE LOVES YOU」、7「I WANT TO HOLD YOUR HAND」、8「THIS BOY」、9「ALL MY LOVING」、10「ROLL OVER BEETHOVEN」、11「YOU REALLY GOT A HOLD ON ME」、12「CAN'T BUY ME LOVE」、13「YOU CAN'T DO THAT」、14「A HARD DAY'S NIGHT」、15「AND I LOVE HER」、16「EIGHT DAYS A WEEK」、17「I FEEL FINE」、18「TICKET TO RIDE」、19「YESTERDAY」で、CD2が、1「HELP!」、2「YOU'VE GOT TO HIDE YOUR LOVE AWAY」、3「WE CAN WORK IT OUT」、4「DAY TRIPPER」、5「DRIVE MY CAR」、6「NORWEGIAN WOOD(THIS BIRD HAS FLOWN)」、7「NOWHERE MAN」、8「MICHELLE」、9「IN MY LIFE」、10「IF I NEEDED SOMEONE」、11「GIRL」、12「PAPERBACK WRITER」、13「ELEANOR RIGBY」、14「YELLOW SUBMARINE」、15「TAXMAN」、16「GOT TO GET YOU INTO MY LIFE」、17「I'M ONLY SLEEPING」、18「HERE, THERE AND EVERYWHERE」、19「TOMORROW NEVER KNOWS」の、全38曲入りです。オリジナルの「赤盤」は全26曲入りだったので、12曲増えています。

「青盤」のCDも2枚組で、CD1が、1「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」、2「PENNY LANE」、3「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」、4「WITH A LITTLE HELP FROM MY FRIENDS」、5「LUCY IN THE SKY WITH DIAMONDS」、6「WITHIN YOU WITHOUT YOU」、7「A DAY IN THE LIFE」、8「ALL YOU NEED IS LOVE」、9「I AM THE WALRUS」、10「HELLO, GOODBYE」、11「THE FOOL ON THE HILL」、12「MAGICAL MYSTERY TOUR」、13「LADY MADONNA」、14「HEY JUDE」、15「REVOLUTION」で、CD2が、1「BACK IN THE U.S.S.R.」、2「DEAR PRUDENCE」、3「WHILE MY GUITAR GENTLY WEEPS」、4「OB-LA-DI, OB-LA-DA」、5「GLASS ONION」、6「BLACKBIRD」、7「HEY BULLDOG」、8「GET BACK」、9「DON'T LET ME DOWN」、10「THE BALLAD OF JOHN AND YOKO」、11「OLD BROWN SHOE」、12「HERE COMES THE SUN」、13「COME TOGETHER」、14「SOMETHING」、15「OCTOPUS'S GARDEN」、16「OH! DARLING」、17「I WANT YOU(SHE'S SO HEAVY)」、18「LET IT BE」、19「ACROSS THE UNIVERSE」、20「I ME MINE」、21「THE LONG AND WINDING ROAD」、22「NOW AND THEN」の、全37曲入りです。オリジナルの「青盤」は28曲入りだったので、9曲増えています。

「赤盤」に加わった12曲は、「I SAW HER STANDING THERE」と「TWIST AND SHOUT」と「THIS BOY」と「ROLL OVER BEETHOVEN」と「YOU REALLY GOT A HOLD ON ME」と「YOU CAN'T DO THAT」と「IF I NEEDED SOMEONE」と「TAXMAN」と「GOT TO GET YOU INTO MY LIFE」と「I'M ONLY SLEEPING」と「HERE, THERE AND EVERYWHERE」と「TOMORROW NEVER KNOWS」です。「青盤」に加わった9曲は、「WITHIN YOU WITHOUT YOU」と「DEAR PRUDENCE」と「GLASS ONION」と「BLACKBIRD」と「HEY BULLDOG」と「OH! DARLING」と「I WANT YOU(SHE'S SO HEAVY)」と「I ME MINE」、そして新曲の「NOW AND THEN」です。箱が出ているアルバム「REVOLVER」とアルバム「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」とアルバム「THE BEATLES(ホワイト・アルバム)」とアルバム「ABBEY ROAD」とアルバム「LET IT BE」からの楽曲は、それらの箱でのリミックス音源で、他の曲は新たにリミックスされていて、特にモノラルしかなかった「LOVE ME DO」や「SHE LOVES YOU」はデミックスによってステレオになっています。ポールの執念が実った最後の新曲「NOW AND THEN」で、果たしてビートルズは本当に終わるのでしょうか。何が良いのか理解不能なエド・ルシェによるジャケットを見ると、コレで終わって欲しくはないのですけれどね。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする