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2024年07月04日

「ポールの道」#421「FAB4 U.S. SINGLES」#15「4 BY THE BEATLES」

BEATLES '65 / LTD.EDIT


1964年11月23日に、英国パーロフォン(1964年11月27日)よりも早く別ミックスのシングル「I FEEL FINE / SHE'S A WOMAN」をリリースした米国キャピトルは、英国では全14曲が全てアルバムのみの楽曲だった「BEATLES FOR SALE」(1964年12月4日)を元にして、1964年12月15日にキャピトルでは4作目(米国では6作目)のアルバム「BEATLES ’65」をでっち上げました。内容は英国4作目のオリジナル・アルバム「BEATLES FOR SALE」から8曲と、英国3作目のオリジナル・アルバム「A HARD DAY'S NIGHT」から1曲と、英国ではアルバム未収録のシングル「I FEEL FINE / SHE'S A WOMAN」の両面2曲からなる全11曲入りです。もうソノ段階で無茶苦茶ですが、1965年2月1日にはEP「4 BY THE BEATLES」をリリースしちゃったのです。米国では3作目のEPで、キャピトルからは2作目で最後のEPです。ジャケット写真はアルバム「BEATLES ’65」の傘をさした部分をクローズアップしているのでなかなか良いのに、印刷が雑なのは如何にもキャピトル盤です。

まずはタイトルですが、1964年5月11日にリリースした前作EP「FOUR BY THE BEATLES」と表記違いながら同じです。ソノ上キャピトルは1964年にビーチ・ボーイズのEP「FOUR BY THE BEACH BOYS」もリリースしているのです。「4 BY THE BEATLES」の内容は、A面が、1「HONEY DON'T」、2「I'M A LOSER」で、B面が、1「MR. MOONLIGHT」、2「EVERYBODY'S TRYING TO BE MY BABY」の全4曲入りで、全ての曲が英国アルバム「BEATLES FOR SALE」にも米国アルバム「BEATLES ’65」にも収録されています。いきなりリンゴが歌うカール・パーキンスのカヴァー「HONEY DON'T」で心が折れかけますけれど、コノ曲は元々はジョンが歌っていてリンゴに譲ったのです。ジョンが歌ったヴァージョンは「LIVE AT BBC」などで聴けますけれど、ロックンローラーとしてもヴォーカリストとしても才能の差が歴然としています。「I'M A LOSER」はジョン作の傑作で、全世界制覇を成し遂げたジョンが「こんなはずではなかった」と云う苦い心情を明かした重要曲です。

「MR. MOONLIGHT」はドクター・フィールグッド&ジ・インターンズのカヴァーで、出だしのジョンのヴォーカルが素晴らしいのですけれど、コレはオリジナルに忠実で、大瀧師匠とタツローが「よくマネできたね」と評していました。オリジナルのシングルはレアだったのですが、タツローはラジオで流したのに、大瀧師匠は持っているのに「勿体ない」と流してくれなかったのです。リアルタイムの方々には、1966年にビートルズが来日した時の特番で、パトカーに先導されてビートルズを乗せた車が首都高速道路を走る場面で流れた事で有名です。後にヴィデオにもなったので観ましたけれど、滅茶苦茶カッコイイです。「EVERYBODY'S TRYING TO BE MY BABY」は邦題が「みんないい娘」と云うトホホなもので、これまたカール・パーキンスのカヴァーでジョージが歌っています。英国アルバム「BEATLES FOR SALE」でも米国アルバム「BEATLES ’65」でも、アルバムの最後に収録されています。

すっとこどっこいな米国アルバム「BEATLES ’65」の内容は前回書きましたが、オリジナルの英国アルバム「BEATLES FOR SALE」の方は、A面が、1「NO REPLY」、2「I'M A LOSER」、3「BABY'S IN BLACK」、4「ROCK AND ROLL MUSIC」、5「I'LL FOLLOW THE SUN」、6「MR. MOONLIGHT」、7「KANSAS CITY〜HEY, HEY, HEY, HEY!」で、B面が、1「EIGHT DAYS A WEEK」、2「WORDS OF LOVE」、3「HONEY DON'T」、4「EVERY LITTLE THING」、5「I DON'T WANT TO SPOIL THE PARTY」、6「WHAT YOU'RE DOING」、7「EVERYBODY'S TRYING TO BE MY BABY」の、全14曲入りです。英国ではシングル・カットはありませんが、1965年4月6日にEP「BEATLES FOR SALE」(「NO REPLY」、「I'M A LOSER」、「ROCK AND ROLL MUSIC」、「EIGHT DAYS A WEEK」)と、1965年6月4日にEP「BEATLES FOR SALE No.2」(「I'LL FOLLOW THE SUN」、「BABY'S IN BLACK」、「WORDS OF LOVE」、「I DON'T WANT TO SPOIL THE PARTY」)がリリースされています。おそらく、レコード会社主導での2作のEP化だったのでしょう。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする