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2024年06月19日

「ポールの道」#406「FAB4 U.S. SINGLES」#00「MY BONNIE / THE SAINTS」



今年(2024年)は、ビートルズが日本デビューしてから60周年となるそうです。日本でのビートルズは1964年2月5日にシングル「抱きしめたい(I WANT TO HOLD YOUR HAND) / こいつ(THIS BOY)」がオデオンからリリースされていて、ソレが日本デビューと云う事になっているのですが、当初はシングル「プリーズ・プリーズ・ミー(PLEASE PLEASE ME) / アスク・ミー・ホワイ(ASK ME WHY)」をデビュー・シングルにする予定で、テスト盤が「抱きしめたい」よりも先に制作されていて、ソレは間違いない事実なのですが、そちらは1964年2月10日にセカンド・シングルとしてオデオンからリリースされたとか、いや、1964年3月5日にセカンド・シングルとして出たとか、いやいや、実は「プリーズ・プリーズ・ミー / アスク・ミー・ホワイ」の方が先にデビュー・シングルとして出ていたとか、諸説ある様です。ビートルズは英国では1963年には人気が爆発していて、遅れて米国でも1964年に大人気となるのですが、ソレに比べたならば日本ではそこまで人気があったとは考えられません。日本のリアルタイムの方々は、ビートルズ・ファンはクラスに2人位しかいなかったと云うし、後追いの世代でもソレは同じでした。

何にしろ、ビートルズの日本デビューは1964年と云うわけですが、なんと、例のポリドール音源である「MY BONNIE」が1962年4月にポリドールから、トニー・シェリダンと彼のビート・ブラザーズ名義でシングル「マイ・ボニー・ツイスト(MY BONNIE) / ザ・セインツ(THE SAINTS)」として日本でリリースされていたのです。ビートルズの本国英国でのデビューは、1962年10月5日にパーロフォンからリリースされたシングル「LOVE ME DO / P.S. I LOVE YOU」ですが、英国でも1962年1月5日にポリドールから「TONY SHERIDAN & THE BEATLES」名義でシングル「MY BONNIE / THE SAINTS」がリリースされていて、ソレはビートルズのマネジャーとなったブライアン・エプスタインが仕掛けた事で、元々はドイツ盤が「TONY SHERIDAN & THE BEAT BROTHERS」名義で1961年10月23日にリリースされています。米国でも1962年4月23日にデッカからリリースされますが全く売れず、1964年1月27日にMGMからリイシューされて、キャピトル盤に便乗してスマッシュ・ヒットさせています。それらはビートルズのメジャー単独デビュー以前の音源とされていて、つまりは1962年10月5日が英国での正式なビートルズのデビュー年月日と云うわけです。

日本で既にシングル「マイ・ボニー・ツイスト」がリリースされていたのは驚くべき事実ではありますが、名義は「ビートルズ」ではありません。日本でビートルズがデビュー出来たのは、1963年12月26日にシングル「I WANT TO HOLD YOUR HAND / I SAW HER STANDING THERE」が、1964年1月20日にアルバム「MEET THE BEATLES!」が、それぞれ米国キャピトルからリリースされて、同年2月1日に「I WANT TO HOLD YOUR HAND」が全米首位!になったからです。米国での大ブレイクも突然ではなく、最初は米国キャピトルからのリリースは拒否されています。どうやら「プリーズ・プリーズ・ミー / アスク・ミー・ホワイ」を日本でのデビュー・シングルにしようと考えてテスト盤まで制作していた時に、米国で売れ出したので「抱きしめたい / こいつ」に変更されたらしいのです。勿論、本国である英国では1963年に爆発的な人気となったビートルズですが、米国で大ブレイクした1964年から世界的には知られる事となったのです。全米制覇は、つまりは全世界制覇を意味していました。

ポールのシングル80枚を書いている内に、次に本隊であるビートルズのシングルを、と思い付きました。ポールのキャリアはビートルズから始まっていて、ソノ音楽性も他の3人よりもビートルズに近いのです。本国英国でのシングルは、基本的にはシングルのみでアルバム未収録曲ばかりで、それらはシングルの箱や、アルバム未収録曲集「PAST MASTERS」と米国編集盤「MAGICAL MYSTERY TOUR」でほとんどが聴けますし、シングルA面曲ならばベスト盤の「赤盤」と「青盤」や「1」で聴けます。ソレだとこれまでにも書いてきた事になるので、ココはひとつ米国盤シングルについて書いてゆこうかと思いました。日本盤でもよかったのですけれど、そもそも日本ではビートルズは英国や米国の様にはリアルタイムでは爆発的には売れていないし、シングル盤のリリースも滅茶苦茶なのです。ソレはソレで面白い(例えば、1964年だけで13枚もシングル盤を出したり、シングルが英国では1枚も出ていないアルバム「BEATLES FOR SALE」から5枚10曲もシングル・カットしている)ので、折に触れてゆきます。故に次回からは、本国英国よりも先にリリースする事も多かった米国でのシングル盤を中心にじっくりと紹介してゆきますので、何卒宜しくお願い致します。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする