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2024年06月12日

「ポールの道」#399「THE 7‘’ SINGLES BOX」#75「IN THE BLINK OF AN EYE / WALKING IN THE PARK WITH ELOISE」



ポール・マッカートニーは2013年にアルバム「NEW」をリリースした後は、2018年にリリースしたアルバム「EGYPT STATION」までオリジナル・スタジオ・アルバムとしては5年間もの空白があります。しかし、ソレはポールのオリジナル・スタジオ・ロック・アルバムに関した事であって、ポールがソノ5年間に何もしていなかったわけではありません。まずは本隊であるビートルズは、2014年1月21日にビートルズの米国キャピトル編集盤の全集である「THE U.S. BOX(The U.S. Albums)」をリリースしています。米国キャピトルが勝手に選曲して水増ししていたアルバム13枚を収めたコノ箱は、残念ながら音源は2009年リマスターに差し替えてあるのでガッカリでした。2014年6月25日には、日本編集盤を集めた「ミート・ザ・ビートルズ <JAPAN BOX>」も出ているのですが、こちらも音源は2009年リマスターに差し替えられています。つまりこれらの箱は、ジャケットと収録曲と曲順が米国キャピトル盤や日本オデオン盤と同じなだけで、中味は2009年リマスターなのです。改めて、ビートルズ音源の全世界統一規格化へと向かったわけですなあ。

2015年11月6日には、ビートルズの一家に一枚のベスト盤「1」がリミックスされてリリースされたのですが、コレが、CD1枚、CD1枚とDVD1枚、CD1枚とBD1枚、DVD1枚、BD1枚、の5形態と、「1+」として、CD1枚とDVD2枚、CD1枚とBD2枚、と云う2形態の、合計7形態でのリリースとなっていて、目玉はCDのリミックス音源だけではなく、ビートルズの初のプロモーション・フィルム集がDVDとBDに収録されている事でした。2016年9月9日にはライヴ盤「LIVE AT THE HOLLYWOOD BOWL」が映画「EIGHT DAYS A WEEK - The Touring Years」公開に合わせてリリースされて、更に2017年からはビートルズのリミックス音源を含む「50周年記念盤」の箱がほぼ毎年リリースされてゆき、ポールは毎回「序文」も担当しています。世界一有名なバンドであるビートルズのプロモーション・フィルム集が2015年までリリースされなかったり、唯一の公式ライヴ盤が2016年までCD化されなかったのは、全く理解不能です。特にプロモーション・フィルムはビートルズが本家本元で、後のMTVに与えた影響は計り知れません。

ポールのソロでも「アーカイヴ・コレクション」として2014年11月3日にはアルバム「VENUS AND MARS」とアルバム「WINGS AT THE SPEED OF SOUND」が、2015年10月2日にはアルバム「TUG OF WAR」とアルバム「PIPES OF PEACE」が、2017年3月24日にはアルバム「FLOWERS IN THE DIRT」が、2018年12月7日にはアルバム「WINGS WILD LIFE」とアルバム「RED ROSE SPEEDWAY」とそれらを合体した「WINGS 1971-1973」が、2020年7月31日にはアルバム「FLAMING PIE」がリリースされていて、2016年にはCD2枚組とCD4枚組のベスト盤「PURE McCARTNEY」をリリースしています。それらは全て旧譜のリイシュー盤なのですが、単なるリイシュー盤ではなく、内容は濃くなり価格もアルバム「FLAMING PIE」に至っては税込み14万円!となっております。勿論、ポールはリイシューばかりやっていたのではなく、2014年には、カニエ・ウエストと曲作共演作「ONLY ONE」を、2015年にはカニエ・ウエストとリアーナと共作共演作「FOURFIVESECONDS」を、更にカニエ・ウエストとセオフィラス・ロンドンとアラン・キングダムとの共作共演作「ALL DAY」をリリースしていて、それぞれヒットしていて、特に「FOURFIVESECONDS」は全英3位・全米4位の大ヒット曲となっています。

そして、2016年11月11日にCDでサントラ盤がリリースされたロジャー・メインウッド監督のアニメ映画「ETHEL & ERNES(エセルとアーネストふたりの物語)」のエンディング・テーマ曲として、ポールが書き下ろしたのが「IN THE BLINK OF AN EYE」です。サントラ盤のスコアは、カール・デイヴィス(ポールの1991年リリースの初クラシック作品「LIVERPOOL ORATORIO」の共作者)が担当しています。日本での公開は2019年になってからですし、最初は配信でのリリースでポールのソロ・アルバムには未収録曲です。ソレで「THE 7‘’ SINGLES BOX」には75枚目で、アニメのシーンからのジャケットで「IN THE BLINK OF AN EYE / WALKING IN THE PARK WITH ELOISE」のカップリングで新たに制作された7インチ盤が収録されています。B面の「WALKING IN THE PARK WITH ELOISE」はポールの父親・ジェイムズが書いた曲で、1974年10月18日に「カントリー・ハムズ」の変名で「第4期ウイングス」がリリースしたシングルのA面曲です。カントリー・ハムズのシングルは木箱には未収録なので、こちらに持ってきたわけです。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする