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2024年05月29日

「ポールの道」#385「THE 7‘’ SINGLES BOX」#61「FROM A LOVER TO A FRIEND / RIDING INTO JAIPUR」

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1998年4月17日に愛妻・リンダを失ったポール・マッカートニーは、それでも音楽活動は続けていて、1998年9月21日には「THE FIREMAN」のまさかの第2作アルバム「RUSHES」を、同1998年10月27日にはリンダの遺作で唯一のソロ・アルバム「WIDE PRAIRIE」を、翌1999年10月4日には生前にリンダが勧めていたロックンロールのカヴァー・アルバム「RUN DEVIL RUN」を、同1999年11月1日にはリンダを追悼する3作目のクラシック・アルバム「WORKING CLASSICAL」を、翌2000年2月14日にはやはりリンダを追悼したクラシック・アルバム「A GARLAND FOR LINDA」を、同2000年8月21日にはビートルズのアルバム「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」のジャケットでお馴染みのピーター・ブレイクの展覧会用に制作したコラージュ作品「LIVERPOOL SOUND COLLAGE」を、翌2001年5月7日にはCD2枚組のベスト盤「WINGSPAN:HITS AND HISTORY」を、それぞれリリースしています。特に久しぶりのベスト盤「WINGSPAN」は、全40曲(日本盤は全41曲)入りで、全英5位・全米2位と大ヒットさせています。

リンダを追悼する日々が続いていたわけですが、実は此の時期の1999年12月1日には「VO!CE」と云う名のシングルをリリースしているのです。名義は「ヘザー・ミルズ・フィーチャリング・ポール・マッカートニー」で、つまりは後に悪妻となるヘザー・ミルズと共演しているのです。ヘザー・ミルズとニッコー・パトレラキスの共作の「VO!CE」と云う楽曲は、デジタル・ビートに乗せてポールが歌っていて、ヘザー・ミルズが「ラップ」と云うか「語り」を担当しているのですが、「THE 7‘’ SINGLES BOX」には当然の如く収録されていません。此の楽曲の存在は、あたくしも恥ずかしながら、ブートレグの「DRIVING RAIN & MORE」に収録されていてソレで聴くまで知りませんでした。アルバム未収録曲ですし、シングル盤のジャケットすら見た事がありませんし、どう云った経緯でシングルがリリースされたのかも分かりません。まあ、既に1999年にはポールとヘザー・ミルズが交際中だったのでしょう。そして、ヘザー・ミルズは音楽活動としては「リンダの代わり」にはなれなかったと云う事でしょう。

「THE 7‘’ SINGLES BOX」には、リンダが歌ったシングルの「SEASIDE WOMAN」も「WIDE PRAIRIE」も「THE LIGHT COMES FROM WITHIN」も収録されていないので、ヘザー・ミルズとの「VO!CE」なんて、其の存在自体が黒歴史化しているのでしょうけれど、ブートレグの「DRIVING RAIN & MORE」ではご丁寧に3ヴァージョンが収録されていて聴く事が出来ます。其のアルバム「DRIVING RAIN」ですが、2001年11月12日にMPL/パーロフォンからリリースされています。ポールのソロ・アルバムとしては12作目で、ポール&リンダやウイングス名義を加えると20作目のスタジオ・アルバムです。前述の通り、ポールは毎年アルバムを制作してはいましたが、オリジナル・アルバムとしては、1997年のアルバム「FLAMING PIE」以来4年ぶりでした。それだけに、米国で若手のミュージシャン(そのまま、現在まで続くツアー・バンドに発展する)と組んだと云われた新作アルバムへの期待は、大きかったと記憶しています。

内容は、1「LONELY ROAD」、2「FROM A LOVER TO A FRIEND」、3「SHE'S GIVEN UP TALKING」、4「DRIVING RAIN」、5「I DO」、6「TINY BUBBLE」、7「MAGIC」、8「YOUR WAY」、9「SPINNING ON AN AXIS」、10「ABOUT YOU」、11「HEATHER」、12「BACK IN THE SUNSHINE AGAIN」、13「YOUR LOVING FLAME」、14「RIDING INTO JAIPUR」、15「RINCE THE RAINDROPS」、16「FREEDOM」、の全16曲入りです。此の内で、最後の「FREEDOM」は当初は収録する予定がなくて、「9・11」の同時多発テロを受けて曲が書かれて追加収録されています。ソレも含めて「67分17秒」もあって、アナログ盤では2枚組のボリュームがあります。CDフォーマットに合わせたのでしょうけれど、もう少し楽曲を厳選しても良かったと思えます。アルバムの成績も、全英46位・全米26位とズッコケてしまいました。前作である2001年5月7日リリースのベスト盤「WINGSPAN」が全英5位・全米2位だったので、新作へのファンの失望が表れています。

そんな些か「トホホ」なアルバムからは、「FROM A LOVER TO A FRIEND」が2001年10月29日に先行シングルでリリースされていて、B面の「RIDING INTO JAIPUR」と共にアルバムからのシングル・カットでした。CDシングルは「FROM A LOVER TO A FRIEND」のアルバムをプロデュースしたデイビット・カーンによるリミックス2ヴァージョンの3曲入りです。新たなる恋人だったヘザー・ミルズに捧げたラヴ・ソングは、全英45位で米国ではリリースされていません。ポールは前述の「FREEDOM」を2001年11月5日に急遽シングル・カットしていて、カップリングに「FROM A LOVER TO A FRIEND」の2ヴァージョンを入れたのですが、全米97位と沈没してしまいました。此のアルバム「DRIVING RAIN」の時期は、たまにやらかすポールのファンとのズレが見られて不評だったし、コレに関しては個人的にも弁護出来ません。でも、ヘザー・ミルズが悪いなんて云いませんよ。「THE 7‘’ SINGLES BOX」には「FREEDOM」は未収録で、「FROM A LOVER TO A FRIEND」が61枚目で、ヨーロッパ盤のピクチャー・スリーヴで復刻されています。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする