ポール・マッカートニーの場合は、ソロになってからライヴで演奏したビートルズ・ナンバーだけを集めてCD4枚組全103曲入りのライヴ・ブートレグまでリリースされています。ジョン・レノンは1981年の日本公演からスタートさせる予定だったライヴ活動からはビートルズ・ナンバーも演奏してくれたはずですが、1980年に40歳の若さで命を奪われてしまったので、生前に遺したビートルズ・ナンバーのライヴ音源は10曲余りで、それらもカヴァーが多かったので、「レノン=マッカートニー」作品に限ると「I SAW HER STANDING THERE」と「LUCY IN THE SKY WITH DIAMONDS」と「YER BLUES」と「COME TOGETHER」の4曲しかありません。
ジョージ・ハリスンはビートルズ時代にはアルバムに2曲か3曲しか出番がなかったので、そもそも22曲しかビートルズ時代の自作での持ち歌がありませんし、リンゴ・スターに至っては単独での自作のビートルズ・ナンバーはたったの2曲です。ソレに比べて、ポールは2024年の現在までに88曲ものビートルズ・ナンバーをライヴで披露していて、それだけでコンサートを何度もやらなければ披露しきれないのです。ビートルズ・ナンバーだけでも「レノン=マッカートニー」作は162曲もあってですね、其の後のウイングス時代やソロを加えたならば、乃木坂46の様な「全曲披露ライヴ」など不可能でしょう。何せ、ビートルズ・ナンバーのライヴ音源だけでCD4枚組全103曲なんですからね。此の「dap」から2016年にリリースされた「PAUL McCARTNEY PLAY THE BEATLES」は、CD2枚組2セットで、ポールによる「赤盤」と「青盤」になっていて、ビートルズが発表した順番に並べてあります。
CD1が、1「LOVE ME DO」、2「P.S. LOVE ME DO」、3「I’LL GET YOU」、4「PLEASE PLEASE ME」、5「I SAW HER STANDING THERE」6「ALL MY LOVING」、7「TILL THERE WAS YOU」、8「I WANNA BE YOUR MAN」、9「LONG TALL SALLY」、10「MATCHBOX」、11「CAN’T BUY ME LOVE」、12「A HARD DAY’S NIGHT」、13「AND I LOVE HER」、14「THINGS WE SAID TODAY」、15「SHE’S A WOMAN」、16「EIGHT DAYS A WEEK」、17「I’LL FOLLOW THE SUN」、18「HONEY DON’T」、19「KANSAS CITY / HEY HEY HEY HEY」、20「WORDS OF LOVE」、21「I’M DOWN」、22「THE NIGHT BEFORE」、23「ANOTHER GIRL」、24「I’VE JUST SEEN A FACE」 、25「YESTERDAY」、26「DRIVE MY CAR」、27「YOU WON’T SEE ME」、28 「MICHELLE」、29「I’M LOOKING THROUGH YOU」の全29曲入りです。
CD2が、1「THE WORD / ALL YOU NEED IS LOVE / SHE LOVES YOU」、2「DAY TRIPPER」、3「WE CAN WORK IT OUT」、4「PAPERBACK WRITER」、5「ELEANOR RIGBY」、6「HERE, THERE AND EVERYWHERE」、7「GOOD DAY SUNSHINE」、8「FOR NO ONE」、9「GOT TO GET YOU INTO MY LIFE」、10「SGT.PEPPER’S LONELY HEARTS CLUB BAND」(with リンゴ・スター)、11「WITH A LITTLE HELP FROM MY FRIENDS」(with リンゴ・スター)、12「GETTING BETTER」、13「FIXING A HOLE」、14「SHE’S LEAVING HOME」、15「BEING FOR THE BENEFIT OF MR. KITE!」、16「LOVELY RITA」、17「SGT.PEPPER’S LONELY HEARTS CLUB BAND (Reprise) / THE END」、18「A DAY IN THE LIFE / GIVE PEACE A CHANCE」、19「PENNY LANE」、20「STRAWBERRY FIELDS FOREVER / HELP! / GIVE PEACE A CHANCE」、21「MAGICAL MYSTERY TOUR」、22「THE FOOL ON THE HILL」、23「YOUR MOTHER SHOULD KNOW」、24「HELLO GOODBYE」、25「LADY MADONNA」の、全25曲入りです。
CD3が、1「HEY JUDE」(with リンゴ・スター)、2「BACK IN THE U.S.S.R.」、3「OB LA DI, OB LA DA」、4「WHILE MY GUITAR GENTLY WEEPS」(with エリック・クラプトン)、5「MARTHA MY DEAR」、6「BLACKBIRD」、7 「I WILL」、8「BIRTHDAY」(with リンゴ・スター)、9「MOTHER NATURE’S SON」、10「HELTER SKELTER」、11「YELLOW SUBMARINE」、12「ALL TOGETHER NOW」、13「GET BACK」、14「SOMETHING」、15「YOU NEVER GIVE ME YOUR MONEY / CARRY THAT WEIGHT」、16「SHE CAME IN THROUGH THE BATHROOM WINDOW」、17「GOLDEN SLUMBERS / CARRY THAT WEIGHT / THE END」(with ジョージ・マーティン)、18「HER MAJESTY」、19「COME AND GET IT」、20「TWO OF US」、21「LET IT BE」、22「ONE AFTER 909」、23「I’VE GOT A FEELING」、24「FOR YOU BLUE」、25「THE LONG AND WINDING ROAD」の、全25曲入りで、ここまでが本編です。
CD4はコラボレーションが中心のオマケなのですが、ソレが、2「SGT.PEPPER’S LONELY HEARTS CLUB BAND」(with U2)」、2「ALL YOU NEED IS LOVE」(with ロッド・スチュワート、エリック・クラプトン、ジョー・コッカー、クイーン)、3「I SAW HER STANDING THERE」(with ブルース・スプリングスティーン)、4「TWIST AND SHOUT」(with ブルース・スプリングスティーン)、5「BACK IN THE U.S.S.R.」(with デイヴ・グロール)、6「YESTERDAY」(with Jay Z、リンキンパーク)、7「GOLDEN SLUMBERS / CARRY THAT WEIGHT / THE END」(with ブルース・スプリングスティーン、ジョー・ウォルシュ、デイヴ・グロール)、8「HIPPY HIPPY SHAKE」、9「BLUE SUEDE SHOES」(with エリック・クラプトン)、10「IN SPITE OF ALL THE DANGER」、11「TWENTY FLIGHT ROCK」、12「DRIVE MY CAR」(with ジョージ・マイケル)、13「MAGICAL MYSTERY TOUR」、14「ALL MY LOVING」、15「OB LA DI, OB LA DA」、16「I WANNA BE YOUR MAN」(with リンゴ・スター)、17「BECAUSE / STRAWBERRY FIELDS FOREVER」(with クラウス・フォアマン)、18「LET IT BE」、19「ALL THINGS MUST PASS」 、20「THE LONG AND WINDING ROAD」、21「GET BACK」(with ブリタニー・ハワード)、22「YESTERDAY」、23「THE END」、24「HEY JUDE」の、全24曲入りで、合計103曲入りです。
ポールにはお得意のメドレーもあるので、ソレを分けて考えると110曲余りにも及ぶビートルズ・ナンバーがライヴで楽しめるのです。「レノン=マッカートニー」名義で実際にはポールが主導で書かれた曲だけではなく、ジョンとの本当の合作や、ジョンの単独作、更にはジョージが書いた曲までも取り上げていて、もはや「ビートルズの看板を守れるのはポールだけ」との決意が感じられます。事実として、ビートルズの楽曲のほとんどを占める162曲もの楽曲は「レノン=マッカートニー」作ですから、こうなったなら全曲制覇も成し遂げて欲しいところです。此のブートレグは1986年から2015年までのライヴ音源から選曲されていて、此の後にもポールは「WHY DON'T WE DO IT IN THE ROAD」や「OH! DARLING」などもライヴで披露しています。此のCD2枚組2セット4枚の後には映像版DVDも出ていて、そちらではCDには収録されていないビートルズ・ナンバーも観る事が出来ます。近年のライヴでのポールは、特にビートルズ・ナンバーを多くセットリストに入れる傾向があって「懐メロ親父」呼ばわりする人もいるのですが、アノですね、其のビートルズ・ナンバーを書いたのはポールなんですよ。現在のポールがウイングスの初期みたいに新曲ばかりやってビートルズ・ナンバーを封印したら、そりゃあ、もう、お客さんは怒って暴動騒ぎになって「東スポ」の1面に「ポールが悪い!」と書かれるざんしょ。
(小島イコ)
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