2014年1月21日に、アップルはビートルズの米国キャピトル編集盤の全集である「THE U.S. BOX(The U.S. Albums)」をリリースしました。内容は、1964年1月20日リリースのアルバム「MEET THE BEATLES !」、1964年4月10日リリースのアルバム「THE BEATLES' SECOND ALBUM」、1964年6月26日リリースのアルバム「A HARD DAY'S NIGHT Original Motion Picture Sound Track」、1964年7月20日リリースのアルバム「SOMETHING NEW」、1964年11月23日リリースのアルバム「THE BEATLES' STORY」、1964年12月15日リリースのアルバム「BEATLES ’65」、1965年3月22日リリースのアルバム「THE EARLY BEATLES」、1965年6月14日リリースのアルバム「BEATLES VI」、1965年8月6日リリースのアルバム「HELP ! Original Motion Picture Sound Track」、1965年12月6日リリースのアルバム「RUBBER SOUL」、1966年6月20日リリースのアルバム「YESTERDAY AND TODAY」、1966年8月8日リリースのアルバム「REVOLVER」、1970年2月26日リリースのアルバム「HEY JUDE」の、13枚組です。
此の内の8枚は、2004年11月15日リリースの箱「THE CAPITOL ALBUMS VOL.1」と2006年4月11日リリースの箱「THE CAPITOL ALBUMS VOL.2」の2セットに、それぞれが「2in1」でステレオとモノラルで収録されていました。米国編集盤は曲数を減らした水増しアルバムばかりですが、キャピトル音源にはEMI音源とは異なる別ミックスが多数収録されていたので、「THE CAPITOL ALBUMS」はディープなファンからは歓迎されましたし、当時はオリジナル・アルバムが1987年の初CD化音源しかなかったので、多くの楽曲のリマスター自体が初めてで、音圧も上がって雑音も除去したリマスター音源の登場は事件でした。結局、遅れて2009年9月9日に英国盤仕様のオリジナル・アルバムがリマスターされたので、最初の「THE CAPITOL ALBUMS」は中途半端な侭で「VOL.3」以後はリリースされなかったのです。
ソレが、ここにきて8枚の重複アルバムを含む13枚が、一挙に箱入り(後に「THE BEATLES' STORY」以外はバラ売りもされた)での登場となり、奇怪なサントラ盤「A HARD DAY'S NIGHT」の疑似ステレオなども聴けるのか?となったわけですが、なんと、此の「THE U.S. BOX」は、ほとんどの音源を2009年リマスター音源に差し替えられているのです。つまりは、ジャケットや曲順は米国編集盤ですが、中味は2009年リマスターと同じなわけで、アルバム「THE BEATLES' STORY」とアルバム「HEY JUDE」はステレオ・ミックスのみですが、他の11作はモノラルとステレオの「2in1」なので収録時間が英国オリジナル盤よりも長くなっておりますが、音源は同じで、つまりは再び全世界統一規格へと進んでいたと云えます。アルバム「YESTERDAY AND TODAY」はジャケットは「ブッチャー・カヴァー」で「トランク・カヴァー」のステッカー付となっていたりと遊びはあるものの、肝心の音源が違っているのはガッカリでした。
つまり、キャピトル音源を使用した「THE CAPITOL ALBUMS」に収録の8作は存在意義があって、此の時に初CD化されたアルバム「A HARD DAY'S NIGHT Original Motion Picture Sound Track」とアルバム「THE BEATLES' STORY」とアルバム「YESTERDAY AND TODAY」と米国編集盤「REVOLVER」とアルバム「HEY JUDE」の5作は、公式盤ではオリジナル・キャピトル音源ではCD化されていません。当然の如くブートレグの餌食となって、EMI音源とは違うキャピトル音源を集めたCDが出ております。2014年6月25日には、日本編集盤を集めた「ミート・ザ・ビートルズ <JAPAN BOX>」もアップルからリリースされています。こちらは、「ビートルズ!」と「ビートルズ No.2!」と「ビートルズ No.5!」がモノラル(2009年モノラル・ミックス「THE BEATLES IN MONO」から流用)で、「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」がステレオ(2009年リマスター盤「A HARD DAY'S NIGHT」から流用)で、「4人はアイドル」がオリジナル・ステレオ(2009年「THE BEATLES IN MONO」の「HELP!」から流用)で収録されていて、ジャケットも日本独自のデザインですが、音源は全て2009年リマスターに差し替えられていて、「THE U.S. BOX」も「JAPAN BOX」も音源を聴くのではなく、ジャケットのデザインを楽しむ為のアイテムです。
(小島イコ)
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