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2024年03月04日

「ポールの道」#302「THE U.S. BOX」「JAPAN BOX」

THE U.S. BOX (初回生産限定盤)(豪華BOX仕様)


2014年1月21日に、アップルはビートルズの米国キャピトル編集盤の全集である「THE U.S. BOX(The U.S. Albums)」をリリースしました。内容は、1964年1月20日リリースのアルバム「MEET THE BEATLES !」、1964年4月10日リリースのアルバム「THE BEATLES' SECOND ALBUM」、1964年6月26日リリースのアルバム「A HARD DAY'S NIGHT Original Motion Picture Sound Track」、1964年7月20日リリースのアルバム「SOMETHING NEW」、1964年11月23日リリースのアルバム「THE BEATLES' STORY」、1964年12月15日リリースのアルバム「BEATLES ’65」、1965年3月22日リリースのアルバム「THE EARLY BEATLES」、1965年6月14日リリースのアルバム「BEATLES VI」、1965年8月6日リリースのアルバム「HELP ! Original Motion Picture Sound Track」、1965年12月6日リリースのアルバム「RUBBER SOUL」、1966年6月20日リリースのアルバム「YESTERDAY AND TODAY」、1966年8月8日リリースのアルバム「REVOLVER」、1970年2月26日リリースのアルバム「HEY JUDE」の、13枚組です。

此の内の8枚は、2004年11月15日リリースの箱「THE CAPITOL ALBUMS VOL.1」と2006年4月11日リリースの箱「THE CAPITOL ALBUMS VOL.2」の2セットに、それぞれが「2in1」でステレオとモノラルで収録されていました。米国編集盤は曲数を減らした水増しアルバムばかりですが、キャピトル音源にはEMI音源とは異なる別ミックスが多数収録されていたので、「THE CAPITOL ALBUMS」はディープなファンからは歓迎されましたし、当時はオリジナル・アルバムが1987年の初CD化音源しかなかったので、多くの楽曲のリマスター自体が初めてで、音圧も上がって雑音も除去したリマスター音源の登場は事件でした。結局、遅れて2009年9月9日に英国盤仕様のオリジナル・アルバムがリマスターされたので、最初の「THE CAPITOL ALBUMS」は中途半端な侭で「VOL.3」以後はリリースされなかったのです。

ソレが、ここにきて8枚の重複アルバムを含む13枚が、一挙に箱入り(後に「THE BEATLES' STORY」以外はバラ売りもされた)での登場となり、奇怪なサントラ盤「A HARD DAY'S NIGHT」の疑似ステレオなども聴けるのか?となったわけですが、なんと、此の「THE U.S. BOX」は、ほとんどの音源を2009年リマスター音源に差し替えられているのです。つまりは、ジャケットや曲順は米国編集盤ですが、中味は2009年リマスターと同じなわけで、アルバム「THE BEATLES' STORY」とアルバム「HEY JUDE」はステレオ・ミックスのみですが、他の11作はモノラルとステレオの「2in1」なので収録時間が英国オリジナル盤よりも長くなっておりますが、音源は同じで、つまりは再び全世界統一規格へと進んでいたと云えます。アルバム「YESTERDAY AND TODAY」はジャケットは「ブッチャー・カヴァー」で「トランク・カヴァー」のステッカー付となっていたりと遊びはあるものの、肝心の音源が違っているのはガッカリでした。

つまり、キャピトル音源を使用した「THE CAPITOL ALBUMS」に収録の8作は存在意義があって、此の時に初CD化されたアルバム「A HARD DAY'S NIGHT Original Motion Picture Sound Track」とアルバム「THE BEATLES' STORY」とアルバム「YESTERDAY AND TODAY」と米国編集盤「REVOLVER」とアルバム「HEY JUDE」の5作は、公式盤ではオリジナル・キャピトル音源ではCD化されていません。当然の如くブートレグの餌食となって、EMI音源とは違うキャピトル音源を集めたCDが出ております。2014年6月25日には、日本編集盤を集めた「ミート・ザ・ビートルズ <JAPAN BOX>」もアップルからリリースされています。こちらは、「ビートルズ!」と「ビートルズ No.2!」と「ビートルズ No.5!」がモノラル(2009年モノラル・ミックス「THE BEATLES IN MONO」から流用)で、「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」がステレオ(2009年リマスター盤「A HARD DAY'S NIGHT」から流用)で、「4人はアイドル」がオリジナル・ステレオ(2009年「THE BEATLES IN MONO」の「HELP!」から流用)で収録されていて、ジャケットも日本独自のデザインですが、音源は全て2009年リマスターに差し替えられていて、「THE U.S. BOX」も「JAPAN BOX」も音源を聴くのではなく、ジャケットのデザインを楽しむ為のアイテムです。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする