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2024年03月03日

「ポールの道」#301「NEW」

New -Deluxe-


2013年10月14日に、ポール・マッカートニーは、ソロとしては16作目で、ポール&リンダやウイングスを含めて24作目で、結果的にはヒア・ミュージックからは最後となるアルバム「NEW」をリリースしました。ポールの「ロック・アルバム」としては、2007年リリースのアルバム「MEMORY ALMOST FULL」以来、実に6年ぶりでした。が、しかし、ソノ6年の間にポールは何もしていなかったわけではありません。2008年には「THE FIREMAN」名義での3作目のアルバム「ELECTRIC ARGUMENTS」をリリースしていて、それまでの「THE FIREMAN」のアンビエント・ハウスではなく、ポールが曲を書いてほとんど一人で演奏して歌っているので、準オリジナル・アルバムとも云える作品でした。2009年には、本隊であるビートルズの全アルバムがリマスター盤でリリースされていて、ポールもおそらくプロモーションの意味も込めて、ビートルズ・ナンバーを21曲も含むライヴ盤「GOOD EVENING NEW YORK CITY」をリリースしています。

2010年にはアルバム「BAND ON THE RUN」から「アーカイヴ・コレクション」を開始して、2011年にはアルバム「McCARTNEY 」とアルバム「McCARTNEY U」を、2012年にはアルバム「RAM」を、それぞれリイシューしています。本隊であるビートルズも2010年に「赤盤」と「青盤」を、2011年には「1」をリマスターしてリイシューしています。2011年には5作目のクラシック・アルバム「PAUL McCARTNEY'S OCEAN'S KINGDOM」をリリースしていますし、2012年にはジャズ・スタンダード・カヴァー・アルバム「KISSES ON THE BOTTOM」をリリースしていて、つまりは毎年、ポールは何かしらのアルバムをリリースしていたのです。しかしながら、2010年代に入ってからの「アーカイヴ・コレクション」はあくまでもリイシューだし、新作がクラシック・アルバムやジャズ・スタンダード集となると「いよいよ、ポールもロック・ミュージシャンとしては隠居したのか」と思われました。

そこで、アルバム「NEW」の登場です。ジャイルズ・マーティン、マーク・ロンソン、イーサン・ジョンズ、ポール・エプワースと、4人のプロデューサーによる内容は、1「SAVE US」、2「ALLIGATOR」、3「ON MY WAY TO WORK」、4「QUEENIE EYE」、5「EARLY DAYS」、6「NEW」、7「APPRECIATE」、8「EVERYBODY OUT THERE」、9「HOSANNA」、10「I CAN BET」、11「LOOKING AT HER」、12「ROAD」の全12曲入りで、最後にシークレット・トラックで「SCARED」が収録されています。「SAVE US」と「QUEENIE EYE」と「ROAD」の3曲がポールとポール・エプワースの共作で、他はポールの単独作です。「デラックス・エディション」には、13「TURNED OUT」、14「GET ME OUT OF HERE」ときて、隠しトラックの「SCARED」となっていて、日本盤はSHM-CDで、13「TURNED OUT」、14「GET ME OUT OF HERE」、15「STRUGGLE」と3曲がボーナス・トラックで、隠しトラックの「SCARED」はソノ後に収録されています。此のアルバムを引っ提げて、11年ぶりの来日公演も行っています。あたくしも此の時は2回行きましたが、内容的には「最前列で観た2002年」よりも「スタンド席やアリーナ後方で観た」此の時の方が良かったです。

ところが、来日公演が終わってから、2014年10月28日になって「コレクターズ・エディション」がリリースされたのです。CD2枚組にDVD付きで、CD1には「デラックス・エディション」の全14曲+シークレット・トラックが、CD2には、1「STRUGGLE」、2「HELL TO PAY」、3「DEMONS DANCE」、4「SAVE US(LIVE)」、5「NEW(LIVE)」、6「QUEENIE EYE(LIVE)」、7「EVERYBODY OUT THERE(LIVE)」の7曲入りで、「HELL TO PAY」と「DEMONS DANCE」はアルバム未収録曲だし、ライヴ音源の4曲は全てが「東京ドーム公演」からです。更に、DVDにはドキュメンタリー「SOMETHING NEW」やニューヨーク公演やロンドン公演の模様やMVが収録されているのです。それぞれのジャケットはデザインは同じですが色違いで、後出しでこう云うもんが出てくるのは、些か困ったちゃんなのですが、ポールはこう云う事を、よくやります。演奏はツアー・バンドとの曲と、ポールがひとりで多重録音した曲があって、プロデューサーが4人もいるのにまとまっています。アルバムは、全英3位・全米3位と大ヒットしましたが、流石にポールの声が衰えてきたとも思える作品となりました。しかし、71歳にもなって「NEW」と云うコンセプトでロック・アルバムを出す心意気にはシビレます。

(小島イコ)

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posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする