2006年4月11日に、ビートルズのキャピトル編集盤を収めた箱の第2弾「THE CAPITOL ALBUMS VOL.2(ザ・ビートルズ '65 BOX)」がキャピトルからリリースされました。内容は邦題通り1965年に米国キャピトルからリリースされた水増しアルバム4作を収録していて、アルバム「THE EARLY BEATLES」と、アルバム「BEATLES VI」と、アルバム「HELP!」 Original Motion Picture Sound Trackと、アルバム「RUBBER SOUL」Capitol Editionが、モノラルとステレオの「2in1」となっております。が、しかし、コレが先行発売されたEU盤を買った方々からクレームが付き、キャピトルが非を認めて回収・交換する騒ぎとなりました。何と、「BEATLES VI」と「RUBBER SOUL」米国編集盤の2作に収録されたモノラルが、ステレオ・ミックスをモノラルにしただけだったからです。「THE EARLY BEATLES」と「HELP !」のサントラ盤は、そもそもオリジナル仕様からステレオをモノラルにしただけだったのですが、おそらく其の感覚で他の独自のモノラル・ミックスが存在する2作でもやらかしてしまったわけです。
個別のアルバムに関しては以前に書きましたので繰り返しになりますが、アルバム「THE EARLY BEATLES」は、発売権を持っていたヴィー・ジェイが倒産したので英国盤のアルバム「PLEASE PLEASE ME」全14曲から3曲を抜いて曲順も変更した全11曲入りです。アルバム「BEATLES VI」は英国盤のアルバム「BEATLES FOR SALE」から6曲とアルバム「HELP!」から3曲と、シングルB面曲「YES IT IS」とアウトテイクだった「BAD BOY」の全11曲入りです。アルバム「HELP!」はケン・ソーンによるインストゥルメンタル曲を5曲も含めた本当のサントラ盤で、ビートルズの曲は7曲のみの全12曲入りです。アルバム「RUBBER SOUL」は、英国盤のアルバム「RUBBER SOUL」全14曲から4曲を抜いた10曲に、英国盤のアルバム「HELP!」から2曲を加えた全12曲入りです。こうした水増しされた米国編集盤は、ビートルズも嫌悪感を持っていて、ソレがブッチャー・カヴァーへと発展するわけですが、邦題の通り、1965年だけでキャピトル編集盤は4作も出ていて、コレが英国オリジナルだと「HELP!」と「RUBBER SOUL」の2作だけなのです。
但し、キャピトルは勝手に独自のミックスを採用していたので、前述の通りにソレが「ステレオをモノラルにしただけ」では、わざわざ水増しの編集盤まで買う意味はありません。もはやビートルズのファンは、そうしたインチキ・ミックスですら愛おしく思っているわけですが、だったらドンドンと勝手にリミックスすれば良いのかと云うと、ソレがまた違っていて、現役時代に行われたミックスに限っては認めていると云う様な、面倒くさい連中なのですよ。此の調子で「YESTERDAY AND TODAY」や「HEY JUDE」と云った米国編集盤もリリースするのかと思ったら、キャピトル編集盤の箱は此の第2弾で終わってしまい、2014年になって「THE U.S. BOX(The U.S. Albums)」で13作が一気にCD化されます。ところが、コレがまた、2009年9月9日リマスターに音源を差し替えてしまっていて、公式盤では此の「THE CAPITOL ALBUMS」2セットでしか真の米国盤ミックスは聴けない事態となったのです。キャピトルはミックス違いなどお構いなしで、だからこそ独自のミックスも生まれたし、此の箱みたいなミスもするし、平気で2009年リマスター音源に差し替えたりするんでしょうね。
(小島イコ)
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