2004年9月29日(日本)に、同年11月1日に米国キャピトルからリリースされたジョン・レノンのアコースティック・ギターでの弾き語りデモ音源集「ACOUSTIC」は、日本盤はCCCDで、輸入盤もCCCDとCDDAが混在しています。何故、日本盤が1か月も早く出たかと申しますと、此の編集盤は日本のファンクラブがリクエストした企画だったからです。ソレにしたって、天下無敵のジョン・レノン様のアルバムをCCCDで発売するなんて、言語道断なのですけれどね。前にも説明しましたが「コピー・コントロール・CD」または「コピー・コントロールド・コンパクト・ディスク」とは、CDに似ているだけでCDではなく、パソコンなどにリッピング出来なくしただけではなく、そもそもパソコンで再生不可な代物で、CDプレイヤーでの再生すら保証されておらず、再生するとプレイヤーが故障する可能性まであるトンデモな代物だったのです。
2000年代になって登場したインチキ商品であるCCCDは、2002年と2003年リリースのポール・マッカートニーのライヴ盤や、2003年リリースのアルバム「LET IT BE ... NAKED」や、2004年リリースの箱「THE CAPITOL ALBUMS VOL.1」と云ったビートルズの新譜や、2004年にリイシューされたジョージ・ハリスンのダーク・ホース時代のアルバムや、2004年にリミックスされたジョン・レノンのアルバム「ROCK'N'ROLL」などでも採用されました。ココ的には那奈ちゃんのシングルやアルバムは、2005年リリースのベスト盤以外は全てCCCDでのリリースで、其の後にCDDAでの再発すらされていません。つまりリアルタイムでの「歌手・片瀬那奈」は、インチキ商品である「コピー・コントロール」盤しか存在しないわけで、故にココのタイトルが「COPY CONTROL」となった理由なのです。
さて、ジョンの「ACOUSTIC」の内容は、1「WORKING CLASS HERO」、2「LOVE」、3「WELL WELL WELL」、4「LOOK AT ME」、5「GOD」、6「MY MUMMY'S DEAD」(1〜6は、1970年リリースのアルバム「JOHN LENNON / PLASTIC ONO BAND(ジョンの魂)」収録曲のデモ音源)、7「COLD TURKEY」(7は、1969年リリースのシングルのデモ音源)、8「THE LUCK OF THE IRISH(LIVE)」、9「JOHN SINCLAIR(LIVE)」、10「WOMAN IS THE NIGGER OF THE WORLD」(8〜10は、1972年リリースのアルバム「SOMETIME IN NEW YORK CITY」収録曲のライヴ音源とデモ音源)、11「WHAT YOU GOT」(11は、1974年リリースのアルバム「WALLS AND BRIDGES」収録曲のデモ音源)、12「WATCHING THE WHEELS」、13「DEAR YOKO」(12、13は、1980年リリースのアルバム「DOUBLE FANTASY」収録曲のデモ音源)、14「REAL LOVE」(14は、1996年にビートルズ名義でリリースされた曲のデモ音源)、15「IMAGINE(LIVE)」(15は、1971年リリースのアルバム「IMAGINE」収録曲のライヴ音源)、16「IT'S REAL」(16は、1998年リリースの箱「JOHN LENNON ANTHOLOGY」が初出のデモ音源)、の全16曲入りです。
ところが、これらのデモ音源とライヴ音源で此のアルバムで初出だったのは、「WELL WELL WELL」と「GOD」と「MY MUMMY'S DEAD」と「COLD TURKEY」と「WHAT YOU GOT」と「DEAR YOKO」と「REAL LOVE」の、全16曲中半数以下の7曲だけで、他の9曲は「JOHN LENNON ANTHOLOGY」などで既出音源なのです。勿論、「REAL LOVE」と「IT'S REAL」以外の14曲はジョンが生前にスタジオで完成品を作ってリリースした楽曲だし、前述の通り「REAL LOVE」はポール・マッカートニーとジョージ・ハリスンとリンゴ・スターがオーバーダビングしてビートルズの楽曲として完成させていますし、「IT'S REAL」はデモ音源しかありません。ヨーコさんが提供して「THE LOST LENNON TAPES」が放送された事で、ジョンのデモ音源やライヴ音源は膨大に残されていると分かっているので、中途半端に7曲だけ公式盤で新たにリリースされても、困ったちゃんなのです。ブックレットにはコード譜が付いていますけれど、コレを聴いてファンに弾き語りをしろとでも云うのでしょうか。
(小島イコ)