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2024年02月02日

「ポールの道」#271「THE CAPITOL ALBUMS VOL.1」

The Capitol Albums, Vol. 1


1987年から1988年にかけてビートルズの公式盤は全て初CD化されましたが、ソレは基本的には英国盤仕様で、1963年リリースのアルバム「PLEASE PLEASE ME」とアルバム「WITH THE BEATLES」と、1964年リリースのアルバム「A HARD DAY'S NIGHT」とアルバム「BEATLES FOR SALE」の4作はモノラルで、1965年リリースのアルバム「HELP!」とアルバム「RUBBER SOUL」の2作はサー・ジョージ・マーティンによるリミックスとなっていました。更に、1966年リリースのアルバム「REVOLVER」と、1967年リリースのアルバム「SGT. PEPPER’S LONELY HEARTS CLUB BAND」と、1967年リリースの米国編集盤「MAGICAL MYSTERY TOUR」と、1968年リリースのアルバム「THE BEATLES(ホワイト・アルバム)」と、1969年リリースのアルバム「YELLOW SUBMARINE」とアルバム「ABBEY ROAD」と、1970年リリースのアルバム「LET IT BE」の7作はステレオだけとなって、それらに未収録だったシングル曲などを集めた「PAST MASTERS」2作を加えて、全213曲をCD化したのです。

コレで、ビートルズの音源を正式に認めたヴァージョンとして、全世界統一規格とする事となったのですが、レコードでは初期の4作はステレオ盤も出ていたし、1965年のアルバム「HELP!」とアルバム「RUBBER SOUL」の2作ではモノラルと左右泣き別れのオリジナル・ステレオ盤が出ていたし、1966年のアルバム「REVOLVER」から1968年のアルバム「THE BEATLES(ホワイト・アルバム)」までの4作にはモノラル盤も出ていたのです。1969年のアルバム「YELLOW SUBMARINE」もモノラル盤が出ていたけれど、ソレはステレオをモノラルにしただけです。その他の1963年から1968年までのアルバムは、全てモノラルとステレオが「別ミックス」されていて、これらのステレオ盤とモノラル盤は全て2009年9月9日にリマスターしてリリースされますが、それまでは紆余曲折がありました。

まず禁を破ったのは、1989年と1992年リリースの「THE BEATLES CD SINGLES COLLECTION」と1992年リリースの「THE BEATLES COMPACT DISC E.P.s BOX SET」で、シングル集では「HELP!」以降がモノラルで聴けるし、E.P.集では「MAGICAL MYSTERY TOUR」のモノラルとステレオの両方が収録されていて、オマケのE.P.の「SHE'S A WOMAN」はポールのカウント入りで、「THIS BOY」は「PAST MASTERS」で初出のトゥルー・ステレオです。1993年に「赤盤」と「青盤」を初CD化した際には、初期の曲がステレオCD化されました。更に、1994年にはスタジオ・ライヴ盤「LIVE AT THE BBC」が、1995年から1996年にかけてはボツ音源集の「ANTHOLOGY」が、1999年にはリミックス盤「YELLOW SUBMARINE SONGTRACK」が、2000年にはリマスターされたベスト盤「1」が、2003年にはリミックス盤「LET IT BE ... NAKED」がリリースされてしまい、もはや「全世界統一規格」など崩壊してしまったのです。

そして、2004年11月15日に、CD4枚組の「THE CAPITOL ALBUMS VOL.1」がアップルからリリースされました。コレは米国キャピトル盤の水増しアルバムを当時のままでCD化したもので、此の第1集には、アルバム「MEET THE BEATLES!」と、アルバム「BEATLES’S SECOND ALBUM」と、アルバム「SOMETHING NEW」と、アルバム「BEATLES ’65」の、4作が収められていて、日本盤のタイトル(「ビートルズ '64 BOX」)通りに米国では1964年だけでビートルズのアルバムが4作(ユナイテッド・アーティスツのサントラ盤「A HARD DAY'S NIGHT」とキャピトル独自のドキュメンタリー盤「THE BEATLES' STORY」も加えれば6作!)もリリースされていたのです。そんな水増しアルバム(個別の内容は以前に書いたので参照して下さい)を、しかも当時のカタチでリリースした事で、全世界統一規格は全く意味がない事となりました。そのうえ全てがモノラルとステレオの「2in1」で、当時のまんまでの疑似ステレオや別ミックスが満載で、ベスト盤「1」同様に24ビット・デジタル・リマスターを施しているのです。現在では些か音圧レベルが高過ぎる気もしますが、2014年にリリースされた「THE U.S. BOX(The U.S. Albums)」では2009年リマスター音源に差し替えられてしまったので、公式盤で米国キャピトルの独自ミックスを聴けるCDは此のシリーズだけです。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする