
ポール・マッカートニーが「レノン=マッカートニー」か「マッカートニー=レノン」かで揉めていて、悪妻と再婚してしまった頃、リンゴ・スターは13作目(リンゴ的には11作目)のスタジオ・アルバム「RINGO RAMA」を2003年3月24日にKochからリリースしました。1998年リリースのスタジオ・アルバム「VERTICAL MAN」と1999年10月19日リリースのクリスマス・アルバム「I WANNA BE SANTA CLAUS」に続いて3作目のマーク・ハドソンとタッグを組んだ作品で、マーク・ハドソンとは1998年リリースのライヴ・アルバム「VH1 STORYTELLERS」でも組んでいるので、此の当時は気心の知れた仲でした。
内容は、1「EYE TO EYE」、2「MISSOURI LOVES COMPANY」、3「INSTANT AMNESIA」、4「MEMPHIS IN YOUR MIND」、5「NEVER WITHOUT YOU」、6「IMAGINE ME THERE」、7「I THINK THEREFORE I ROCK AND ROLL」、8「TRIPPIN' ON MY OWN TEARS」、9「WRITE ONE FOR ME(featuring Willie Nelson)」、10「WHAT LOVE WANTS TO BE」、11「LOVE FIRST, ASK QUESTIONS LATER」、12「ELIZABETH REIGNS」、13「ENGLISH GARDEN(features a verse from the Wings song "Let 'Em In"; includes a short hidden track entitled 'I Really Love Her'.)、の全13曲入りで、ボーナス・トラックとして、14「BLINK」、15「OK RAY」、16「I'M HOME」も加えた全16曲入りとDVD付きの2枚組と3枚組も出ています。楽曲は全てマーク・ハドソンたちとリンゴの共作となっていて、「ENGLISH GARDEN」にはポール・マッカートニーの曲から引用していて、シークレット・トラック入りです。「WRITE ONE FOR ME」では、カントリー界の超大物・ウィリー・ネルソンと共演していて、「NEVER WITHOUT YOU」は2001年11月29日に亡くなったジョージ・ハリスンへの追悼曲で、此の後にはライヴでも多く披露されてゆく定番曲となります。
2000年代になってからのリンゴは、かつての「リンゴ暗黒時代」がウソだったかの様に、内容が充実したスタジオ・アルバムをコンスタントに発表するだけではなく、オールスター・バンドやソロでのライヴも精力的に行っています。ソレでライヴ盤も多くリリースされていて、前に取り上げた「THE ANTHOLOGY...SO FAR」はCD3枚組全48曲入りで第1期から第6期までのベスト・ライヴ盤でした。そして、此の時期には第7期と第8期のオールスター・バンドのライヴ盤もリリースしています。2002年8月6日リリースの「KING BISCUIT FLOWER HOUR PRESENTS RINGO & HIS NEW ALL-STARR BAND」全16曲入りと、2003年4月1日リリースの「EXTENDED VERSIONS」全10曲入りと、2004年3月23日リリースの「TOUR 2003」全16曲入りと、2006年8月15日リリースの「RINGO STARR AND FRIENDS」全14曲入りです。
此の内、「KING BISCUIT FLOWER HOUR PRESENTS RINGO & HIS NEW ALL-STARR BAND」と「EXTENDED VERSIONS」と「RINGO STARR AND FRIENDS」は、第7期でのライヴで、イアン・ハンター、グレッグ・レイク、シーラ・E、ハワード・ジョーンズ、ロジャー・ホジソン、マーク・リベラが参加しています。つまり、これらの3作は同じライヴ音源をチョロっと変えただけで3度売りしていて、何やら同時期のポールのライヴ盤と同じ様な事をやらかしています。「TOUR 2003」は第8期でのライヴで、コリン・ヘイ、ジョン・ウェイト、ポール・キャラック、シーラ・E、マーク・リベラが参加しています。一体どうやってこんな豪華だけれど音楽性が違ったメンバーを毎回リンゴの名の下に集めてくるのか分かりませんけれど、やはり、そこは「ビートルズだから」なのでしょう。それぞれのヒット曲はメンバー・チェンジで変わっていますが、リンゴのレパートリーは不動と云ってもよく、やらかしてしまった「BACK IN THE 〜」を除けば、同じ曲をなかなかライヴ盤にはダブらせないポール・マッカートニーとは真逆を行っていますが、ソレも「リンゴだから」なのでしょう。
(小島イコ)
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