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2024年01月25日

「ポールの道」#263「WINGSPAN:HITS AND HISTORY」

Wingspan


何作かビートルズのカヴァー集を取り上げて来ましたが、他にも沢山あるので、また折を見て取り上げます。時代を21世紀の始まりに戻して、ポール・マッカートニーは2001年5月7日に「WINGSPAN:HITS AND HISTORY」をMPL/パーロフォンからリリースしました。タイトルから考えるとウイングス時代のベスト盤とも思えますが、ソノ辺は大雑把なポールですので、ソロやリンダ・マッカートニーとの連名作からも選曲しています。CD2枚組で、1枚目の「HITS」はヒット・シングル曲を、2枚目の「HISTORY」はポールのお気に入りナンバーを選んで収録されています。

「HITS」は、1「LISTEN TO WHAT THE MAN SAID(あの娘におせっかい)」(1975)、2「BAND ON THE RUN」(1973)、3「ANOTHER DAY」(1971)、4「LIVE AND LET DIE(007 / 死ぬのは奴らだ)」(1973)、5「JET」(1973)、6「MY LOVE」(1973)、7「SILLY LOVE SONGS(心のラヴ・ソング)」(1976)、8「PIPES OF PEACE」(1983)、9「C MOON」(1972)、10「HI, HI, HI」(1972)、11「LET ’EM IN(幸せのノック)」(1976)、12「GOODNIGHT TONIGHT」(1979)、13「JUNIOR'S FARM」(1974)、14「MULL OF KINTYRE(夢の旅人)」(1977)、15「UNCLE ALBERT / ADMIRAL HALSEY(アンクル・アルバート〜ハルセイ提督 )」(1971)、16「WITH A LITTLE LUCK(しあわせの予感)」(1978)、17「COMING UP」(1980)、18「NO MORE LONELY NIGHTS(ひとりぽっちのロンリー・ナイト)」(1984)、の全18曲入りで、日本盤のみ、19「EAT AT HOME(出ておいでよ、お嬢さん)」(1971)がボーナス・トラックとして収録されています。

此の内、「PIPES OF PEACE」はシングル・ヴァージョンで、「JUNIOR'S FARM」は初CD化のDJエディットで、「WITH A LITTLE LUCK」もDJエディットで、「COMING UP」は米国盤ではウイングスによるライヴ・ヴァージョンで、「NO MORE LONELY NIGHTS」はシングル・ヴァージョンです。ヒット・シングルからの選曲ですが、何故かスティーヴィー・ワンダーと共演した「EBONY AND IVORY」(1982)と、マイケル・ジャクソンと共演した「SAY SAY SAY」(1983)が選曲されていません。前述の通りウイングスに限定した選曲ではありませんし、1984年の「NO MORE LONELY NIGHTS」は選ばれているので、実にアバウトな選曲となっております。

「HISTORY」は、1「LET ME ROLL IT」(1973)、2「THE LOVELY LINDA」(1970)、3「DAYTIME NIGHTTIME SUFFERING」(1979)、4「MAYBE I'M AMAZED(恋することのもどかしさ)」(1970)、5「HELEN WHEELS(愛しのヘレン)」(1973)、6「BLUEBIRD」(1973)、7「HEART OF THE COUNTRY(故郷のこころ)」(1971)、8「EVERY NIGHT」(1970)、9「TAKE IT AWAY」(1982)、10「JUNK」(1970)、11「MAN WE WAS LONELY(男はとっても寂しいもの)」(1970)、12「VENUS AND MARS / ROCK SHOW」(1975)、13「THE BACK SEAT OF MY CAR」(1971)、14「ROCKESTRA THEME」(1979)、15「GIRLFRIEND」(1978)、16「WATERFALLS」(1980)、17「TOMORROW」(1971)、18「TOO MANY PEOPLE」(1971)、19「CALL ME BACK AGAIN」(1975)、20「TUG OF WAR」(1982)、21「BIP BOP / HEY DIDDLE」(1971 未発表音源)、22「NO MORE LONELY NIGHTS(PLAYOUT VERSION)」(1984)、の全22曲入りで、合計40曲(日本盤は41曲)入りです。

此の内、「TAKE IT AWAY」と「VENUS AND MARS / ROCK SHOW」と「TUG OF WAR」は初CD化のシングル・ヴァージョンで、「WATERFALLS」は初CD化のDJエディットで、「BIP BOP / HEY DIDDLE」は未発表フィルムからの音源です。此の「HISTORY」には、1970年リリースの初ソロ・アルバム「McCARTNEY」から「THE LOVELY LINDA」と「MAYBE I'M AMAZED」と「EVERY NIGHT」と「JUNK」と「MAN WE WAS LONELY」と5曲も選ばれていて、1971年のポールとリンダの連名アルバム「RAM」からも全体で「UNCLE ALBERT / ADMIRAL HALSEY」と「HEART OF THE COUNTRY」と「THE BACK SEAT OF MY CAR」と「TOO MANY PEOPLE」の4曲(日本盤では「EAT AT HOME」も加えて5曲)も選ばれています。特にリンダとの初デュエット曲である「MAN WE WAS LONELY」まで収録されていて、未発表だった「BIP BOP / HEY DIDDLE」の蔵出しなども考慮すると、此のベスト盤もリンダ・マッカートニーへの追悼だったのでしょう。

ポールにとってベスト盤は、此の前には1978年リリースの「WINGS GREATEST」全12曲入りと、1987年リリースの「ALL THE BEST!」全17曲(LPは全20曲)入りがあって、此の「WINGSPAN」は全40曲(日本盤は全41曲)入りと、キャリアがつづいているので曲数が増えております。先を急げば次のベスト盤である2016年リリースの「PURE McCARTNEY」は、CD4枚組で全67曲入りとなります。此の「WINGSPAN」は前述の通り、ウイングスのベスト盤ではなくて、ポールとリンダのベスト盤なので、スティーヴィー・ワンダーとの「EBONY AND IVORY」やマイケル・ジャクソンとの「SAY SAY SAY」が外されたのでしょう。映像作品の「WINGSPAN」もリリースされていて、そちらのジャケットにはポールとリンダの二人しかいません。デニー・レインの立場がないですなあ。映像版は88分のドキュメンタリーで、ポールに娘のメアリーがインタビューしていて、そちらも明らかにリンダを追悼した作品です。久しぶりのベスト盤は、全英5位・全米2位とヒットしてもいます。

(小島イコ)


posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする