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2023年08月11日

「ポールの道」#097「GET BACK」



「伝説が現代に甦る、42分間のラスト・ライブ。いま、世界は “4人"の本当の姿を知る──」「巨匠ピーター・ジャクソン監督によって、“Get Back(復活)"を掲げて集まった4人が名盤「レット・イット・ビー」に収録された数々の名曲を生み出す歴史的瞬間や、ラスト・ライブとなった42分間の“ルーフトップ・コンサート"が史上初ノーカット完全版として甦る。解散後、半世紀を超えて明かされる衝撃の真実とは?」とAmazonの謳い文句にあるドキュメンタリー「GET BACK」に関しては、1年ほど前に「GET BACK」考を書きましたが、此の「ポールの道」でも外す事は出来ない重要作品でありますので、繰り返しになりますが再考いたします。まずは、此の7時間47分にも及ぶ映像作品は、一般人向けではないばかりか、ある程度ディープな沼にハマってしまったコアなビートルズ・ファンしか楽しめないです。ソレは何故かと申しますとですね、まずは兎に角、長いです。そして、時系列で編集した動画は、そりゃあ、もう、ビートルズが出て来たら諸手を挙げて歓喜するマニアックな方々ならば涙目で鑑賞するでしょうけれど、何となくビートルズを好きになった初心者の方々にとっては「拷問」に近い7時間47分です。ドキュメンタリー性を出す為なのか、もしくは「音楽はLPなりCDなり配信なりで別に聴け」と云わんばかりの編集となっていて、ただでさえダラダラした集中力に欠けるリハーサル風景やアップル・スタジオでのレコーディングの模様を、細切れにして完奏ヴァージョンを敢えて収録していないのです。アルバム「LET IT BE」に収録された音源の元となる演奏が始まると、テロップが「此のテイクはアルバムに収録された」と出て、ぶつ切りにされてしまいます。こっちはソノ演奏しているところを観たいのに、あたしゃカックンな展開が延々と続きます。そして、最大の売りである「ルーフトップ42分ノーカット」ですが、謳い文句に騙されてはいけませんよ。ルーフトップの場面になるとですね、唐突にマルチアングルの様に画面が分割されてしまい、演奏には街頭の人々や警察の話し声が始終被っているんですよ。全く演奏に集中出来ないし、ちょっと黙れよと画面に向かって云いたくなります。

ズバリ云って、コレは詐欺みたいなモンで、確かに「ルーフトップ42分ノーカット」ではあるものの、ファンが待ち望んでいたのは「コレじゃない」でしょう。普通に固定カメラで構わないからジョン、ポール、ジョージ、リンゴの4人とビリー・プレストンが演奏している場面を期待していたでしょう。演奏の前後に歓声が入る位で、ルーフトップでの公開ライヴ・レコーディングはちゃんと聴けると期待していたでしょう。まさか、そういう映像は別編集で別公開して、音源は配信のみで別売りするなんて、そこまで姑息な手段を使って金儲けしようとするなんて、思ってもいなかったでしょう。だってね、コレは天下御免のビートルズなんですよ。そんな事をしなくとも、普通に売れるし、今更出し惜しみする様なモンじゃないでしょう。だって、コレって50年以上も前の映像と音源なんですよ。サッサと公開して頂かないと、生い先短いファンだって多いでしょうし、リアルタイムの武道館公演を観たファンの方々なんて亡くなった方々の方が多いんじゃないんですかね。事実、其の時に中学生だった松村雄策さんは、新しい「LET IT BE」を観なきゃ死ねない、と云って「GET BACK」を観たら本当に亡くなってしまったじゃないですか。リアルタイムに中学生だったファンが、70歳を超えているんですから、何故、未だに出し惜しみをしたり水増し商法をするのか理解に苦しみます。個人的には「ルーフトップ」に関しては、映画「LET IT BE」の方がスッキリしているし臨場感もあって、ずっと好きです。確かに、7時間47分もあるのですから、これまで観た事もない場面も多かったし、興奮して観たものの、楽曲を楽しむのであったならば、評判が悪い映画「LET IT BE」の方が圧倒的に優れているとしか云えません。グダグダなくだりも、映画「LET IT BE」は1時間21分しかないので耐えられるでしょうし、新たなるファンの方々にも、まずは映画「LET IT BE」を観る事をオススメします。それで、前回と同じオチとなりますが、映画「LET IT BE」を公式リリースして下さいね。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする