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2023年07月23日

「ポールの道」#078「HEY JUDE」

Hey Jude (the U.S. Album)


さてさて、いよいよビートルズの物語も最終コーナーを回りかけておりますが、実質的なラスト・アルバムとされる「ABBEY ROAD」と、事実上のラスト・アルバムである「LET IT BE」へとゆく前に、1970年2月26日にリリースされた米国キャピトル編集盤のアルバム「HEY JUDE」に触れておきます。コノ編集盤は1970年4月21日に日本盤もリリースされていますが、本国である英国ではなんと1979年5月11日にひっそりとリリースされております。コレはですね、1976年11月19日にコッソリと米国編集盤の「MAGICAL MYSTERY TOUR」も英国でリリースされていてですね、何故かと考えると、1978年12月2日に「THE BEATLES COLLECTION」と云う箱をリリースしたからなんじゃないでしょうか。ソノ箱には英国オリジナル・アルバムと英国盤「RARITIES」が入っていたのですけれど、ソレに「MAGICAL MYSTERY TOUR」と「HEY JUDE」を加えないと、かなりの名曲が入っていないと云う事態になるのです。ソレでも前期のシングル盤のA面曲が収録されていないので、ソコでアノCD化もされていない「A COLLECTION OF BEATLES OLDIES」の存在意義が出るわけですけれど、もう「赤盤」と「青盤」が出ていたのです。其の辺は1987年からのCD化の際に「PAST MASTERS」として補完する事となるのでした。アルバムのジャケットは1969年8月22日に行われたビートルズ最後のフォト・セッションからですが、内容は、A面が、1「CAN'T BUY ME LOVE」、2「I SHOULD HAVE KNOWN BETTER」、3「PAPERBACK WRITER」、4「RAIN」、5「LADY MADONNA」、6「REVOLUTION」で、B面が、1「HEY JUDE」、2「OLD BROWN SHOE」、3「DON'T LET ME DOWN」、4「THE BALLAD OF JOHN AND YOKO」で、全10曲入りとなっております。A面のアタマの2曲が1964年のアルバム「A HARD DAY'S NIGHT」からとなっているのは、米国でのサントラ盤がキャピトルではなくユナイテッド・アーティスツからリリースされた為にキャピトル編集盤の「SOMETHING NEW」から漏れていたので、ココで強引に収録しちゃったわけです。

其の後は1966年から1969年までのシングル盤からなのですが、どうせなら前記の「CAN'T BUY ME LOVE」と「I SHOULD HAVE KNOWN BETTER」を外して、シングルB面の「THE INNER LIGHT」とシングルA面の「GET BACK」を収録した方が統一感は出ていたし、まだアルバム「GET BACK」を諦め切れなかったので「GET BACK」は収録出来なかったとしたならば「ACROSS THE UNIVERSE」でも良かったでしょう。まあ、結局は「GET BACK」も「ACROSS THE UNIVERSE」もフィル・スペクターがプロデュースしたアルバム「LET IT BE」に収録されるのですが、映画のサントラ盤であるにも関わらず、クライマックスのルーフトップで演奏している「DON'T LET ME DOWN」を外してしまったのは、もしかしたら、と云うか確実に、2か月半前にリリースされたコノ「HEY JUDE」に収録されてしまったからとしか考えられません。アルバムのタイトルも、直前まで「HEY JUDE」ではなく「THE BEATLES AGAIN」とされていて、初期プレス盤にはレーベルにも載っています。此のアルバムがリリースされた時には、ジョンの脱退によってビートルズは事実上は解散していましたし、ヨーコとの前衛3作のアルバムにはサー・ジョージ・マーティンの様に「ノー・コメント」であっても、プラスティック・オノ・バンドとしてシングルを3作とライヴ・アルバムもリリースしていたわけで、1970年4月10日のポールによる脱退宣言を待たずとも、薄々は「もうビートルズは解散するんじゃね?」と普通なら考えられているはずなんですよね。だから、今更「THE BEATLES AGAIN」でもないだろ、となったんじゃないですかね。此のアルバムは、ソレでも愛着があるファンも多く、2014年の「THE U.S. BOX」に収録されてCD化されて、輸入盤では単品でも購入出来ましたが、既に廃盤なのかプレミアが付いているみたいです。でもですね、公式盤CDは2009年リマスター音源なんですよね。なかなかCD化されなかったのでブートレグも出ていて、あたくしも何枚か持っていますが、CD化後に「Non CD Version」と謳った盤もあります。ジャケットのビートルズ最後のフォト・セッションは、ジョンの自宅前で、撮影したのは元々は写真家のリンダ・マッカートニーです。

(小島イコ)

posted by 栗 at 21:00| FAB4 | 更新情報をチェックする