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2023年05月20日

「ポールの道」#014「THE BEATLES' SECOND ALBUM」「ビートルズ No.2!」

The Beatles' Second Album (the U.S. Album)


1964年2月7日に遂に米国に初上陸したビートルズは、既に前年には目を付けてブライアン・エプスタインにコンタクトを取っていたエド・サリヴァンの番組「エド・サリヴァン・ショー」に2月9日から3週連続で出演しました。最初に出た回は視聴率が驚異の「70%」で、放送時間には犯罪件数も激減すると云う、社会現象となったのです。キャピトルは英国では6枚目のシングルとなる「CAN'T BUY ME LOVE / YOU CAN'T DO THAT」を英国よりも早くリリースして、1964年4月4日のビルボード・チャートでは、1位「CAN'T BUY ME LOVE」、2位「TWIST AND SHOUT」、3位「SHE LOVES YOU」、4位「I WANT TO HOLD YOUR HAND」、5位「PLEASE PLEASE ME」とトップ5をビートルズが独占して、更にトップ100には合計14曲もチャート入りすると云う「異常事態」となります。そうなったら、最初は相手にしていなかったキャピトルも手のひらを反して、1曲でも多くビートルズの曲を求める事となるのでした。そして、1964年4月10日に「THE BEATLES' SECOND ALBUM」をリリースします。えっとですね、前回取り上げた「MEET THE BEATLES !」がリリースされたのは1964年1月20日なんですから、3か月足らずで早くも2作目と云うわけで、内容は前作でカットした「WITH THE BEATLES」の残り5曲と、米国でのシングル曲が4曲と、まだ英国でも未発売だった「LONG TALL SALLY」と「I CALL YOUR NAME」の全11曲入りです。つまりは、英国での2作目である「WITH THE BEATLES」を、シングルやEPの曲も加えて2枚に水増ししているわけです。此のトンデモ状態は、なな、なんと1966年の「REVOLVER」まで延々とつづきます。コレも、現在では「THE U.S. BOX」で聴けるのですが、ソレは2009年リマスター音源に変えられているので、「THE CAPITOL ALBUMS VOL. 1」で米国流の派手なオリジナルが聴けます。

さて、日本では1964年6月15日に「ビートルズ No.2!」と云う2作目が出ます。ファースト・アルバム「ビートルズ!」は1964年4月15日ですから、こちらもたったの2か月で2作目でして、此の辺は本国である英国でのリリースに早く追いつこうとしたのかもしれません。こちらはジャケットが「THE BEATLES' SECOND ALBUM」と同じですが、内容は全く違っていて、「PLEASE PLEASE ME」から5曲と、「WITH THE BEATLES」から7曲と、シングルB面だった「サンキュー・ガール」と、最新曲「キャント・バイ・ミー・ラヴ」を加えた全14曲入りで、前作同様にモノラルのみで東芝音楽工業からリリースされました。つまりは「ビートルズ!」で漏れてしまった曲を集めたのですが、当時のアルバムなんて単なる曲の寄せ集めだったので、それで通用していたのでしょう。日本では次の3作目のアルバム「A HARD DAY'S NIGHT(ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!)」からは基本的には内容は英国盤と同じになるのですが、ソレが米国だと1987年の初CD化で全世界統一となるまでずっと米国編集盤しかなかったんですから、トンデモ過ぎます。ソレで日本でも「PLEASE PLEASE ME」と「WITH THE BEATLES」は当初は発売されなかったのですが、1966年に来日した時に「来日記念盤」として「ステレオ!これがビートルズ Vol.1」と「ステレオ!これがビートルズ Vol.2」が出るわけです。内容は「PLEASE PLEASE ME」と「WITH THE BEATLES」の日本では初のステレオ音源なのですが、ジャケットもセンスがない写真に変えられているし、曲順も何故かオリジナルとは全く違って並べ替えられています。「ビートルズ No.2!」も、現在では「ミート・ザ・ビートルズ <JAPAN BOX>」で聴けますが、2009年リマスターに音源は差し替えられています。「ステレオ!これがビートルズ Vol.1」と「ステレオ!これがビートルズ Vol.2」は、なかった事にしたいのか、CD化されていません。

(小島イコ)

posted by 栗 at 21:00| FAB4 | 更新情報をチェックする