「PLEASE PLEASE ME with Love Me Do and 12 other songs」と「WITH THE BEATLES」で51週間連続首位街道を爆走したビートルズですが、ソレはあくまでも本国である英国での出来事でした。マネジャーのブライアン・エプスタインは、何とかして米国に進出して、世界的なブームを巻き起こそうと企んではいましたが、大手のキャピトルには相手にされず、「PLEASE PLEASE ME」はヴィー・ジェイからの発売となり、曲も削られジャケットも変えられて、全然売れなかったのです。しかしながら、英国での大ブレイクを目にしたキャピトルは、1963年12月26日に「I WANT TO HOLD YOUR HAND / I SAW HER STANDING THERE」をシングルで発売して、ソレが翌1964年2月1日にチャート1位となります。そして、キャピトルは遂にアルバムの発売も敢行して、1964年1月20日に「MEET THE BEATLES !」をリリースするのでした。内容は、ジャケットが英国でのセカンド・アルバム「WITH THE BEATLES」と同じロバート・フリーマンによるハーフ・シャドウの写真を使っていて、曲も「WITH THE BEATLES」から9曲と、既発シングルの「I WANT TO HOLD YOUR HAND / I SAW HER STANDING THERE」とシングルB面の「THIS BOY」の全12曲入りです。英国のアルバムは14曲入りなのに、米国だと11曲とか12曲に減らされていて、既発シングルも平然と収録していて、コレは後々までつづくよどこまでもの米国流のやり方でした。現在では「THE U.S. BOX」で聴けるのですが、ソレは2009年リマスターに変えられているので、「THE CAPITOL ALBUMS VOL. 1」でオリジナルが聴けます。
そして、日本ですが、1964年2月5日に「抱きしめたい / こいつ」(「I WANT TO HOLD YOUR HAND / THIS BOY」)がデビュー曲としてリリースされて、其の後は毎月どころか月に何枚もシングル盤がリリースされて、1964年4月15日にファースト・アルバム「ビートルズ!」が、それぞれ東芝音楽工業からリリースされたのです。こちらもジャケットは「WITH THE BEATLES」と同じなんですが、タイトルは「MEET THE BEATLES !」となっております。内容は、此の時点まで英国で発表されていた36曲から高嶋弘之さんが選曲した全14曲入りで、いきなり「抱きしめたい」「シー・ラヴズ・ユー」「フロム・ミー・トゥ・ユー」と英国ではアルバム未収録だった大ヒット曲3連発で始まり、「ラヴ・ミー・ドゥ」「プリーズ・プリーズ・ミー」も入っていて、つまりは英国でのデビュー曲から5枚目までのシングルA面は全て収録して、後は「PLEASE PLEASE ME」と「WITH THE BEATLES」から選曲して、「ツイスト・アンド・シャウト」や「オール・マイ・ラヴィング」などの名曲も押さえてはおります。しかしながら「ドント・バザー・ミー」とか「ホールド・ミー・タイト」みたいな駄曲も入っているので、ベスト盤の様でそうでもない選曲ではあります。でも、当時は日本盤はコレだけだったわけで、モノラルではありますが、衝撃的なデビュー盤となったであろう事は想像出来ます。それでですね、英国や米国での大ブレイクは分かりますけれど、果たして日本ではどうだったのかと云うとですね、そんなに売れていたとは思えないんですよね。現在では「ミート・ザ・ビートルズ <JAPAN BOX>」で聴けますが、2009年リマスターに音源は差し替えられています。
(小島イコ)
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