1984年6月20日にタツローこと山下達郎さんは、同名ドキュメンタリー映画のサウンドトラック盤「BIG WAVE」を MOON ⁄ ALFA MOONからリリースしました。此のアルバムは、全曲が英語で歌われています。アナログ盤は、A面が、1「THE THEME FROM BIG WAVE –ビッグ・ウェイブのテーマ–」、2「JODY」、3「ONLY WITH YOU」、4「MAGIC WAYS」、5「YOUR EYES」、6「I LOVE YOU...Part II」で、B面が、1「GIRLS ON THE BEACH」、2「PLEASE LET ME WONDER」、3「DARLIN'」、4「GUESS I'M DUMB」、5「THIS COULD BE THE NIGHT」、6「I LOVE YOU...Part I」の全12曲です。A面全6曲とB面の6曲目の7曲がタツローのオリジナルで、B面の5曲がビーチ・ボーイズ関連曲のカヴァーです。しかしながら、既発曲の使い回しが多くて、純粋な新曲は「ONLY WITH YOU」とCM曲の「I LOVE YOU」位で、「THE THEME FROM BIG WAVE」は以前も書いたター坊との合作「魔法を教えて」の流用で、「JODY」は「悲しみのJODY」の英語版で、「MAGIC WAYS」は「FOR YOU」の頃の蔵出しで、「YOUR EYES」は再収録です。更にB面のカヴァーも、「GIRLS ON THE BEACH」は既に録音されていた曲で、「PLEASE LET ME WONDER」と「DARLIN'」はシングルのB面で既発済み音源です。
更に、「GUESS I'M DUMB」と「THIS COULD BE THE NIGHT」も、アルバムで既出音源で、英語詞に変えたりリミックスしていたりはしますが、ほとんどは既発で、英語詞曲を集めたコンピレーションアルバムみたいな出来栄えです。当時は竹内まりやさんの復帰作「VARIETY」のレコーディングとプロデュースもやっていたので、時間がなくてこうなったわけですが、あくまでもサントラ盤なので、コレも一興でしょう。「VARIETY」の1曲目「もう一度」は、いきなりタツローの多重録音コーラスで始まるので、誰の曲なのか分からない出来栄えでした。さて、肝心な映画の方なのですが、以前にCSで放送されたので観たら、もうひとことで云うなら駄作で、タツローの曲がなければ観る価値もない様な代物でした。「PLEASE LET ME WONDER」の最後の方で「I LOVE YOU」と云うのを、大瀧師匠に「ダメだよ、ココがいいんだから、もっと大きな声で云わなきゃ」とからかわれていたタツローが、CMのクライアントから「I LOVE YOU」だけで曲を書いて欲しいと依頼されちゃったのもおかしな話ではあります。さてさて、コノ連載も気が付けば100回になりましてですね、これまでは大瀧師匠だけでなく周辺のミュージシャンも取り上げてまいりましたが、YMOも散開したし、大瀧師匠もラストアルバム「EACH TIME」を出したので、此の辺で、後は数回で、一旦まとめに入ろうかと思います。
(小島イコ)