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2023年03月24日

「ナイアガラ考」#62「NIAGARA CALENDAR’78」「NIAGARA CALENDAR 30th Anniversary Edition」(上)



さて、時代は遡りまして、1977年12月25日に「NIAGARA CALENDAR’78」がナイアガラ(コロムビア)から発売されました。ナイアガラの前作である「多羅尾伴内楽團 Vol.1」は同年の11月25日に発売されていて、たったの一か月前なのです。其の後はソニーに移って、1981年4月1日にリイシュー盤が出ますが、コレは笛吹銅次(大瀧師匠の変名)によるリミックス盤で、ジャケットも変わっています。大瀧師匠はリミックス盤の方が気に入っていたらしく、同年12月1日発売の「NIAGARA VOX」にも収録され、以後はタイトルも「'78」をとり「NIAGARA CALENDAR」となりました。1986年6月1日には吉田保さんによるリミックス盤で初CD化されて、同日発売の初代「NIAGARA CD BOOK I」にも収録されました。1996年3月21日にはスリムケース廉価盤で1981年リミックスが初CD化されて、2008年3月21日には30周年記念盤が発売されて、まずはオリジナルの1977年盤が初CD化となり、続けて1981年リミックス盤が収録されていますが、全曲入れるとCD1枚に収まらないので最後の「クリスマス音頭」は短縮版になっています。2011年3月21日には2代目「NIAGARA CD BOOK I」に、1977年盤と1981年盤が2枚に分けて収録されました。此のアルバムは、大瀧師匠が全てを賭けて制作した自信作であり、売れなかったら引退するとまで宣言して、見事に売れず、コロムビア時代のナイアガラは崩壊へと向かうのでした。

1年12か月をそれぞれの曲として12曲制作してアルバムにすると云うアイデアで、曲調も多彩でメロディ路線もあればノベルティ路線もありと、正にバラエティーにとんでいて、しかも大瀧師匠は全てを別の歌手として12人と最後の「お正月」での2人を加えて14人格で歌い分けています。1996年のスリムケース廉価盤では、1981年リミックスが完成した作品であったとして、敢えてボーナストラックを収録せず、2008年の30周年記念盤では前述の通り2枚分を詰め込んだので、アルバムとは違うシングルヴァージョン3曲はレアになっていました。其の内の2曲(「青空のように」と「Blue Valentine's Day」)は大瀧師匠が亡くなった後で2014年の「Best Always」に収録されたので、まあ、ベスト盤も全面的に悪い内容とも云えません。「ロンバケ」から入った方々にも、2月「Blue Valentine's Day」や6月「青空のように」や8月「真夏の昼の夢」や11月「想い出は霧の中」なんかは、違和感がなく楽しめるとは思います。しかしながら、最後の12月「クリスマス音頭」が全部持っていっちゃうので、アルバムを全編聴いて残るのは「クリスマス音頭」のバカ騒ぎとなってしまうわけで、そりゃあ、まあ、お呼びでない、こりゃまた失礼いたしました、となるわけです。何せ元祖であるクレイジーキャッツの「クレイジーのクリスマス」を元にした曲で、大瀧師匠はコレがやりたくて他の11曲を無理矢理に作ったのです。(つづく)

(小島イコ)

posted by 栗 at 21:00| ONDO | 更新情報をチェックする