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2023年03月01日

「ナイアガラ考」#39「キャラメル・ママ」



1975年11月25日には、ティン・パン・アレー名義でのファーストアルバム「キャラメル・ママ」がクラウンから発売されました。コレは実はティン・パン・アレーとしてのアルバムと云う名を借りた、メンバーである細野晴臣さん、鈴木茂さん、林立夫さん、松任谷正隆さんがそれぞれ2曲ずつ持ち寄ってセルフプロデュースして、更にはバンドとして2曲を加えたオムニバス盤です。当時は大瀧詠一師匠もオムニバス構想を持っていて、其れは翌1976年3月25日に「NIAGARA TRIANGLE Vol.1」として発売されます。此のアルバムのタイトル「キャラメル・ママ」は、ティン・パン・アレーと改名する前のグループ名です。冒頭の「キャラメル・ラグ」は松任谷さんの曲で4人で演奏し、最後の「アヤのバラード」は細野さんの曲で松任谷さんがひとりで演奏しています。他の曲は4人バラバラでの作品で、「チョッパーズ・ブギ」と「シー・イズ・ゴーン」が林さん、「はあどぼいるど町」と「ソバカスのある少女」が茂の曲で詞は松本隆さんで「ソバカスのある少女」は茂と南佳孝さんがデュエットしていて、「月にてらされて」と「ジャクソン」が松任谷さんで「月にてらされて」は詞が此の後に結婚するユーミンで、「チュー・チュー・ガタゴト’75」と「イエロー・マジック・カーニバル」が細野さんです。

プロデューサーが4人いるのでそれぞれのレコーディングも多彩な顔触れが揃い、基本形の細野さんがベース、茂がギター、林さんがドラム、松任谷さんがキーボードに加えて、ベースで後藤次利さんと田中章弘さん、キーボードで今井裕さんとジョン山崎さんと矢野顕子さん、ギターで高中正義さん、スティールギターで駒沢裕城さん、パーカッションで斉藤ノブさん、コーラスでSUGAR BABEのタツローとター坊、シンガーズ・スリーの伊集加代さん、桑名正博さん&桑名ハルコさんの兄妹、久保田真琴さんなどなど、信じられない程に豪華なメンバーが演奏しています。「チュー・チュー・ガタゴト’75」では「奴がやってるニューオリンズ、あれはいいね」と歌われていますが、奴とは大瀧師匠の事かもしれません。そう云えば大瀧師匠も「ハンド・クラッピング・ルンバ」で「イノシシおみちゃん」と歌い込んでいました。名曲とされる「ソバカスのある少女」での茂の歌は、既に「へなへな歌唱法」になっています。ちなみに元ネタは、ハース・マルティネスの「All Together Alone」です。「イエロー・マジック・カーニバル」では、早くもYMO構想が始まっております。細野さん絡みの3曲は「トロピカル・ダンディー」のCDにボーナストラックとして収録されていますが、やはりコレはオムニバス盤で聴いてナンボかと存じます。

(小島イコ)

posted by 栗 at 21:00| ONDO | 更新情報をチェックする