今年の「1・4」東京ドームでは、本編が全9試合中で8試合がタイトルマッチで、其の内の6試合も「IWGP」を冠したタイトルマッチでした。新日は1972年に旗揚げされたので、昨年(2022年)は50周年でありまして、今回の東京ドーム大会は50周年記念の最後とされ、奇しくも昨年に創設者である猪木が亡くなったので、追悼大会ともされました。其処で元々は猪木が乱立する世界王者を統一すると云って創った「IWGP」のタイトルマッチが6試合もあったのは変だと前にも書いたのですが、まあ、其れは猪木自身がタッグ王座とかジュニア王座とか色々と派生させてしまったのも原因ではあります。今やとっくに新日は猪木のモノではなく、ブシロードが親会社となっております。其れで、ブシロードとしてはWWEの様に女子プロレスも内包した興行も打ちたくて、同じく子会社としたスターダムの試合を「1・4」に組み込んだりして、遂には昨年に合同興行を行い、メインエベントに新設した「IWGP女子王座」決勝戦を持って来たわけです。プロレスの男女合同の興行で女子プロレスがメインとは画期的にも思えますが、総合格闘技の「RIZIN」ではとっくの昔からRENAなどの女子選手の試合をメインにしていたりもします。しかしながら、初防衛戦で中野たむを倒したKAIRIの前に現れたのはスターダムの選手ではなく、元WWEのメルセデスだったわけでして、場内を暗転させてからの登場とか、放送席での実況と解説者たちが、待ってましたとばかりにメルセデスを紹介してしまったところとか、もうね、「だから、プロレスは」と云われそうではありました。
でもですね、考えてみれば新日の東京ドームを生観戦したりTVで観戦している方々は、スターダムすら初めてだったりするので、ましてや幾らWWEで有名な元サーシャのメルセデスなんて分かりっこないのですよ。さてさて、其れよりも「だから、プロレスは」だったのは、他ならぬメインエベントの「王者・ジェイ・ホワイトVS挑戦者・オカダ・カズチカ」のIWGP世界ヘビー級戦でした。メインはもう30分超えは当たり前になって来ているところで、解説のドラゴン藤波が「オカダくんは、ここで延髄斬りとか、意外な技を出さないと」なんてネタバレしちゃって、本当にオカダが延髄斬りをやっちゃったりしてですね。勝った後に鷹木が挑戦表明したら「邪魔するなら、帰って下さい」と追い返したのは笑いましたけど、花道をオカダが自分のテーマ曲で退場してゆくと「おや、こんな所に丁度良くマイクがセッティングされているぞ」とマイクを持って、猪木のマネして「1、2、3、ダー!」とやってからの間髪入れずの猪木のテーマ曲「炎のファイター」でおしまいなんですからね。アレって、もしもジェイが勝って防衛していたら、ジェイに「ダー!」をやらせる気でマイクを置いておいたんですかね、まあ、ズバリ云って「200%」オカダの勝ちが決まっていないと、マイクも置いておけないし、最後に猪木のテーマ曲も流せないですよね。でもですね、猪木の追悼大会なんですから、そこはそれでああでないとイカンわけですわな、知らんけど。
(小島イコ)