出演作:『サイケデリック・ペイン』(ヴィレッヂ)
公演日:2012年8月22日〜9月24日(サンシャイン劇場、森ノ宮ピロティホール)
(東京23公演、大阪5公演、全28公演)
サウンドトラック盤:CD「サイケデリック・ペイン」(ヴィレッヂ) 2012年8月22日発売
(スタジオ録音された劇中全曲収録盤!劇場限定販売)
映像作品:DVD「サイケデリック・ペイン」(ヴィレッヂ) 2012年12月19日発売
本編収録日:2012年9月5日(サンシャイン劇場)
特典映像収録日:2012年6月23日(新宿BLAZE)、9月24日(森ノ宮ピロティホール)
ライヴ「ゲキ×ソニック!」:2013年9月14日〜9月15日(Shibuya-AX)全2公演
2012年に片瀬那奈ちゃんは、2009年「僕たちの好きだった革命」再演以来、3年ぶりとなる舞台に挑戦されました。しかも「ロック・オペラ」と謳われたミュージカル作品で、其の名は「サイケデリック・ペイン」!前作である連続ドラマ「カエルの王女さま」で「シャンソンズ」の一員「桜井玲奈」として歌い踊った片瀬那奈ちゃんは、引き続き観客の前で「歌手」としての牙をも剥いたのです。作詞と脚本は森雪之丞さん、作曲は布袋寅泰さん、演出はいのうえひでのりさん、と大物がスタッフで揃った期待作です。製作発表時から公表されていた片瀬那奈ちゃんの役柄は「秘密結社ダークネスのセクシー・デビル:レディー・パンドラ」でした。つまり、バリバリの悪魔で敵役でございます。子供も泣き出すほどの「ど迫力」で、セクシーな悪魔を演じました。ところが、観劇すると思わぬハプニングがあったのです。片瀬那奈ちゃんは「レディー・パンドラ」の化身である「ミツコ」も早変わりで演じられた!更に、オチでは「アンドロイド・ミツコ」も演じると云う、まさかの「ひとり3役!」を、コロコロコロリンコと舞台上でやらかしたのです。舞台本編が終わった時には「アンドロイド・ミツコ」だったのに、直後のカーテンコールでは「レディー・パンドラ」へ瞬時に変わってしまう技には、歌手時代の早着替えを思い出して、ぐっと来ました。
思いっ切り「ドロンジョ様」風で、悪役なのに憎めないキャラクターである「レディー・パンドラ」は、セクシーな衣装や仕草も好かったのですが、殺陣にも挑戦し、キレキレのダンスを魅せ、何よりも抜群の生歌による圧倒的な歌唱力にシビレました。劇中で、たったの2曲しか持ち歌がなく、劇場限定販売CDでも其の2曲でしか片瀬那奈ちゃんの歌声は聴けません。然し!たったの2曲でも片瀬那奈ちゃんの歌がCDとなったのは、2008年の「bash featuring KATASE NANA」以来、実に4年ぶりの大事件でした。公演は大盛況で、DVD化もされ、舞台全篇の他に特典映像で製作発表会見や大阪の大千秋楽でのカーテンコール等も収録された2枚組です。カーテンコールでは、片瀬那奈ちゃん演じるパンドラ様が乱入して持ち歌以外の2曲でも大暴れしております。片瀬那奈ちゃんのパフォーマンスに関しては文句のつけようがない素晴らしさで、「劇団☆新感線」の面々と絡んでも全く違和感がなく、観客の爆笑を誘っていました。でも、あたくしはズバリ云って「ロック・オペラ」が苦手なので、東京公演の初日と千秋楽のたったの2回しか足を運ばなかったのだ。「僕たちの好きだった革命」は13公演、「フラガール」は27公演を観たのですから、「サイケデリック・ペイン」も10公演くらいは行かなきゃってトコだったのだけど、ストーリーがつまんないんだもん。
いえ、あたくしは「ロックのひと」なので、THE KINKS も THE WHO も好きですし、デヴィッド・ボウイ様なんて「神様」ですよ。プログレだって「やっぱ、スゴイ!」と、ドップリとハマッタ時期もあります。何気に「未亜イコ対談」の看板にプログレばっか貼っているくらいですからね。でも、やっぱり「音楽は音楽」なのよさ。コンセプト・アルバムも好きだけど、例えば「トミー」や「四重人格」はレコードで聴いた方が感動するのです。映画「トミー」は中途半端に訳が分からないし、映画「さらば青春の光」は好かったけど、レコードで聴いて空想した世界には及ばなかった。40分前後のアルバムで、音楽だけで勝負したのが「ロック・オペラ」だったと思うんだよナァ。ロックの映画で好きなのって、ライヴをそのまんま撮ったとかドキュメンタリー風な作品なのよさ。ビートルズの「HELP!」とか、ポールの「ヤア!ブロード・ストリート」なんて、演奏シーンしか観ないのです。そう考えると、ビートルズの「マジカル・ミステリー・ツアー」って、トンデモな大傑作なのですね。アレはぶっ飛び過ぎていて、未だに「訳が分からないけど、面白い!」もんナァ。関係ないけど「ジュールズ倶楽部」にボーイ・ジョージがゲストで出ていて(マツコ・デラックスみたいになっていた・・・)、日本語の字幕が「思いっ切り、オネエ口調」って、何だ?いや、分かるけどさ。
そんな「恋するモヤモヤ」を晴らしてくれたのが「ゲキ×ソニック!」でした。舞台が終演した後も「サイケデリック・ペイン」は活動を続けていて、2012年11月30日の「AAA」でまさかの武道館で復活!楽屋には片瀬那奈ちゃんも駆けつけ「シューイチ」で報告されました。そして、舞台から一年後に、まさかまさかの「Shibuya-AX」での2DAYSが敢行されたのです。「劇団☆新感線」の音楽を担当する「SKOMB」との「対バン」ですが、主役は「サイケデリック・ペイン」でした。でも「SKOMB」のリーダーである岡崎司さんは「サイケデリック・ペイン」の音楽監修も務めていて、魁人のギターの影武者でもあり、ライヴでは堂々と魁人と並んでギターを弾き捲くり完璧にフォローしていました。いや、そうじゃなくって、なな、なんと、片瀬那奈ちゃん、いやさ、パンドラ様がゲスト・ボーカルとして参戦し「6曲」も歌ったのが天地もスッテンコロリンするほどのサプライズ!でした。片瀬那奈ちゃんが「歌手」としてステージに立つのは9年ぶりだったのだよ。そして、其のパフォーマンスは驚愕するしかない進化を遂げていました。「レディー・パンドラ」の評価は、うなぎのぼりでございます。そうだよ、那奈ちゃん。僕たちは、コレが観たかったのだ。「ロック・オペラ」も悪くはなかったけど、僕たちが観たかったのは「歌手・片瀬那奈」のライヴでした。其の夢を叶えてくれた「パンドラ様」は、「悪魔」じゃなくって「女神様」なのよさ。
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(小島藺子/姫川未亜)