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2013年09月03日

「豊原みどりを再評価しよう!」

ザ・プレミアムベスト 木之内みどり


片瀬那奈ちゃんは、2005年から2006年にかけて、所謂ひとつの「離婚三部作(イコ命名)」の連続ドラマ3作にレギュラー出演されました。其れは、「離婚弁護士II〜ハンサム ウーマン〜」(2005年4月〜6月、フジテレビ)と「熟年離婚」(2005年10月〜12月、テレビ朝日)と「小早川伸木の恋」(2006年1月〜3月、フジテレビ)です。2004年10月からの「ラストクリスマス」で女優回帰し、次のクールである2005年1月からの「不機嫌なジーン」にもゲストながら「連続2クール月9出演!」と云う破格の待遇でのカムバックでした。然し、当時「AUBE」CMがヘビロされ女性ファッション誌の表紙も独占していた「新生・女優・片瀬那奈」は、歌手転向以前とは違った「大人しいお嬢様路線」でキャスティングされていたのです。「昔の溌溂とした那奈ちゃんと違うナァ。まだ若いのに・・・」と云うファンの不満と不安は「離婚三部作」でメキメキと成長していく姿を観る内に解消されていき、2006年の「怪優開眼」へと繋がります。其の3作で「熟年離婚」のみDVD化されなかったのだけど、めでたく昨日より再放送が始まったのでございます。コレは「片瀬那奈史に於ける事件」と云っても過言ではない快挙だと思います。

三作とも重要ではありますが、「離婚弁護士II〜ハンサム ウーマン〜」の主演が天海祐希さんで、「小早川伸木の恋」の主演が唐沢寿明さんである事実には「研音の大御所のバーターか?」との短絡的で的外れな批判をされたものです。2013年9月現在に放送中の「ショムニ 2013」に至ってすら、主演が江角マキコさんなので「バーター出演」なんぞと云われてしまうのですから、9年前に「女優をやめて歌手をやってたのに、大して売れなかったから女優に出戻りした」と思われていた頃の片瀬那奈ちゃんへの風当たりはきつかった。片瀬那奈ちゃんは、確かに多くの研音所属の俳優さんと共演しています。されど、其れと同じかもっと多く全く研音の俳優さんと共演していない作品もあるのです。例えば、今年(2013年)に既に片瀬那奈ちゃんは映画2作と連続ドラマ2作の計4作に出ておられますが、「ショムニ 2013」以外の3作には研音の俳優さんは片瀬那奈ちゃん以外に誰も出ていません。昨年(2012年)には映画1作、連続ドラマ2作、舞台1作の計4作中で、やはり「カエルの王女さま」の1作のみなのです。二年間で8作中2作しか「研音の先輩と共演した作品」はないのだよ。同じ事務所なのですから、四分の一くらいは共演作がない方が不自然です。

「熟年離婚」も、片瀬那奈ちゃん以外に研音所属の俳優さんは誰一人として出演していない作品です。しかも、共演陣は天下の渡哲也さんを始め、松坂慶子さん、高島礼子さん、草笛光子さん、桜井幸子さん、等々「主役クラス」の俳優さんに加え、小野武彦さん、西村雅彦さん、長谷川初範さん、等々の個性的なベテラン名脇役俳優が目白押し!主要な若手俳優は「21世紀のユージロー」だらけ!当時の片瀬那奈ちゃんは女優としてのキャリアは7年でしたが、歌手活動専念での空白期間がありましたので「実質4年」でした。年齢は「23歳(撮影中に24歳になりました)」で劇中の設定も同じですけど、女優としては「ビミョーな時期」でもあります。「離婚弁護士II〜ハンサム ウーマン〜」での「緒方亜紀」は、かつての10代だった片瀬那奈ちゃんを思い起こさせる弾けた演技ではあったものの、いつまでも「アイドル女優」でいられるわけではありません。ゆえに「小早川妙子」で片瀬那奈ちゃんは勝負に出るわけですけど、そのあいだに演じた「豊原みどり」を、あたくしは過小評価していたと再放送を観てモーレツに反省いたしました。言い訳させて頂きますとですね、未亜たんがDVDに落としたのは「豊原みどりヴァージョン」って代物で、あたくしは近年は其ればっか再見していたのよさ。

「ドラマ全篇はどーした?」と問い詰めたら、未亜たんは平然と「そんなの倉庫にキチンと当時の録画ヴィデオが保存してありますし、ラベルも貼ってあるからすぐに見つけられますよっ。ボキは片瀬那奈ちゃんが出ておられる場面さえ観ていればハッピーなので、わざわざ全篇をDVDに落としたりしません(キリリンコ)!大体、そのまんま落とした方がラクチンなのに、那奈ちゃんだけで編集したボキの努力を何だと思っているのですか?観たいなら、姐御ひとりで勝手に観ればいいじゃん!」と開き直ったのです。それで、倉庫を探したら余りにも膨大なヴィデオ・テープの山に愕然として、仕方なく「豊原みどりヴァージョンDVD」で再検証していたのよさ。ゆえに、昨日の再放送で久しぶりに第1話&第2話をまるっと全部通して観てですね、おいおい「かたちん」ったら、物凄く頑張っていたじゃないのよさ、と考えを改めたのです。やはり、ドラマも映画も作品は全篇を観なければ分からない。もう「主役である幸太郎(渡哲也さん)の顔芸」だけでも抱腹絶倒じゃまいか。トラブルが起きる度にアップになるのだけど、無言で驚愕する顔の背景に「ガーン!」と云う擬音が見えるが如き強烈な表情は、完璧にマンガです。第1話終盤のクライマックスであるホーム・パーティー場面は、消え物を引っくり返すから10分以上ずっと長回しのワンテイク撮りと思われますが、ピリピリとした緊張感が堪りませんナァ。だから、未亜たんもチキンと完全版も遺しなさいね。でも、「壇上さん」は編集しても好いわよ。ところで「満帆ブログ」の「壇上ヘアー」って「かたちん」じゃないんじゃないの?


「熟年離婚」INDEX


(小島藺子)



posted by 栗 at 02:57| ERENA | 更新情報をチェックする