あたくしは「テキトーに聴くビートルズ」第24回で、「歌手・片瀬那奈」のルーツって「カイリー・ミノーグ」ではなくて「ドナ・サマー」だと、あたくしは思うのだけど、其れはまた別の記事で語ります。と予告して置きながら、十日間も放置しておりました。未亜たんは「片瀬那奈ちゃんとドナ・サマー?何も関係ないじゃん。また、姐御お得意の無理矢理なこじつけで丸め込もうって魂胆が見え見えだね!おら、フォーゼ先輩とチューしてハッピーだし騙されねえぞ」とぬかしておりますが、えっとですね、片瀬那奈ちゃんが桜井玲奈さんを演じ歌い踊られたドラマ「カエルの王女さま」で、ドナ・サマーの大ヒット曲のひとつである「Hot Stuff」が挿入歌として流れ、奇しくもドラマが放送中だった「2012年5月17日」にドナ・サマーが亡くなってしまった事実を、たったの一年余りでお忘れになられたのかしらん。すると、未亜たんに「だから、それが姐御のこじつけだって云っているべ?片瀬那奈ちゃんが出たドラマに楽曲が使われたら、全部「カタセカイ住人」なのか?洋楽アーティストは、片瀬那奈ちゃんのことを知らねえべ?オレ、まげね!」と罵られるかもしれません。
ならば、真面目に解説いたしましょう。「歌手・片瀬那奈」は、明らかに2002年当時に流行していた「洋楽ハウス」に影響されており、特に「カイリー・ミノーグ」の模倣ではないのか?と云われました。確かに、「歌手・片瀬那奈」は楽曲もPVも思いっ切り「カイリー・ミノーグ」風であり、「和製カイリー」とまで呼ばれたのです。されど、カイリーは明らかにマドンナの影響下にあったわけで、片瀬那奈も単純にカイリーをパクリンコしたのではありません。当時でも数千枚のCDやアナログを所有し、自ら「DJ・NANA」としても活動していた片瀬那奈の深い音楽試行は、簡単に「カイリーのマネッコ」なんぞで片付けられる様なチッポケなもんじゃないのよさ。何度となく繰り返し語ってまいりましたが「歌手・片瀬那奈」がやらかしたのは、其の後の日本音楽業界へ多大なる影響を与え続けている「革命」でした。同志・宇多丸が「いや、たとえセールス的には失敗と記録されようと、彼女の音楽は、10年20年経っても、必ずこの国のどこかのフロアで鳴り響いていることでしょう。あるいは心ある者たちの間で、脈々と語り継がれてゆくはずです。「片瀬那奈の曲はヤバイ」と.....」(「BUBKA」2005年5月号「宇多丸のマブ論」より引用)と渾身の想いで綴った未来は実現しました。
あたくしは、CSの洋楽専門チャンネルである「ミュージック・エア」がお気に入りで、特にハマッているのが「洋モノ」と「紙ジャケ天国!」と云う「テレビ紙芝居」みたいな番組です。結構それなりに洋楽者として色々と聴いて来た心算なのだけど、まだまだ「甘ちゃん」だったと痛感させられます。先日、「紙ジャケ天国!」で「ドナ・サマー篇」が放送されて、驚愕いたしました。いえ、流石にチビッ子の頃に「愛の誘惑」をラジオで聴いて衝撃を受け、ドキドキしながらレコード店に買いに行ったら、余りにもエロイ!ジャケットに怖気づいてしまい、とてもレジに持って行けなかった頃から、ドナ・サマーは知っています。ジョルジオ・モロダーのプロデュースで「ディスコ・クイーン」となり、グラミー賞を五回も受賞し、没後の今年(2013年)にはロックの殿堂入りも果たした「大スター」です。ジョルジオ・モロダーは1970年代からシンセサイザーを駆使して多くのアーティストをプロデュースした「ディスコ・ミュージック」や「エレクトロ・ポップ」の先駆者であり、アノ「YMO」も完全に影響を受け捲くっております。当たり前田の「試合後もニールセンを讃えて爽やか、でもニールセンは後に舞台裏を暴露してんじゃねーよ」ですが、「歌手・片瀬那奈」のルーツを探れば必然的に「ドナ・サマー」へと簡単に辿り着くのでした。
「紙ジャケ天国!ドナ・サマー篇」の最後には、なな、なんと、1977年の「I Feel Love」ライヴ映像が流れました。楽曲自体が完全なる「エレクトロ・ポップ」であり、コレがなければ、ブロンディもマドンナもカイリー・ミノーグもビヨンセもレディ・ガガも、存在しません。当然の事ですが「歌手・片瀬那奈」もいない世界となってしまいます。そして、エロエロ爆裂!で腰をクネクネさせ目を閉じて歌うドナ・サマーですけど、思いっ切りパントマイムの振り付けもやらかしておるのだよ。何だ?此のパフォーマンスはっ。伴奏はシンセサイザーによるカラオケ中心で、ドナはコーラスのおねえちゃんと被せアリ!の生歌を堂々と披露しております。片瀬那奈ちゃんが此の世界に誕生する以前に、もう「エレクトロ・ポップ」は完成されていたのです。「歌手・片瀬那奈」がやらかした音楽は、四半世紀も前に「ドナ・サマー」が行った余りにも革新的な世界に、ようやく追いついただけなのかもしれません。ドナ・サマーの影響は、日本の歌謡曲で「歌手・片瀬那奈」以前にも多く在った。されど、其の本質に迫ったのは「歌手・片瀬那奈」が最初です。でも「かたちん」は「エロエロ路線が苦手」なので、全く違ったもんになっちゃったんだけどね。片瀬那奈が再び歌い踊った時にドナ・サマーが流れていたのは、決して偶然なんかじゃありません。
「片瀬那奈がきこえる INDEX」
「THANX 4 宇多丸&姫川未亜」 (小島藺子)