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2013年08月26日

「プロレスラーは、リングに上がれ!」

前田日明デビュー35周年記念DVD−BOX


一昨日から昨日に掛けて、日テレちゃんで「24時間テレビ」を放送していたらしいのだけど、あたくしは「一分一秒」たりとも見ませんでした。いえ、其れはウソで、2回ほどザッピング中に合計して「数秒」は目にしてしまったと思います。真夜中に芸人さんがバカ騒ぎしていて、フィナーレの頃に「放送時間内にゴール出来ません!」とかアナウンサーが絶叫していました。大体、地上波なんて滅多に観ないので、深夜に偶発的に一瞬ザッピング中にチラリンコと見たのは、「仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦」を録画予約しようとして地上波に合わせ、うっかり「5」と「4」を間違えて押しちゃったからだし、最後の時も矢鱈と評判が好い「半沢直樹」を見ようと地上波に変えたら「シューイチ」で御馴染みのチャンネルなので「4」が映ってしまったのだよ。最近のあたくしは「CS>BS>地上波」となっておりまして、録画予約している「片瀬那奈ちゃんの御出演番組」を除いて、地上波放送なんぞ全く視聴対象外なのよさ。どーせ、次回に片瀬那奈ちゃんが生放送で司会を務められる「シューイチ」で、ウンザリする程に特集するんざんしょ?嗚呼、来年とかに愛する「かたちん」が司会とかやらかしたら、困っちゃうナァ。

そんな事よりも、今宵は午前1時から午前4時近くまで3時間「ワールドプロレスリング クラシックス」が3本立てで放送されるのが重要なのよさ。ラインナップも、「橋本 VS ベイダー」、「猪木 VS チョチョシビリ」、「藤原 VS ニールセン」、「前田 VS ニールセン」、「藤波 VS スティーブ・カーン」、「猪木 VS ハンセン」、と「食い物を小窓ちゃんから凝視する片瀬那奈ちゃん」の如く「涎が出るカード」ばかりなのです。どうせ徹夜を覚悟するなら、あたくしはこーゆーもんを観たいのだ。そりゃ、24時間お散歩したら壱千萬円も貰えるんだったら、痛い思いをしてプロレスをやってるのがバカバカしくなるかもしれません。カラダを張ってお笑い芸人をやっているよりも、ずっとラクチンにお金を稼げるのかもしれません。でも、何ゆえ本来の意味も形骸化してしまった「お散歩ランナー」として選ばれたのか?と考えれば、其れは本業である「プロレスラー」とか「お笑い芸人」としての「実績と知名度」ゆえではありませんかしらん。問題なのは「チャリティー番組」って事になっている事実なのよさ。何ゆえ、本業で汗水たらして営利目的で行うよりも、比べ物にならない「多額のギャラ」が支払われるのだ?其れは「集金パンダ」にしているって事じゃないのかしらん。募金したチビッ子の純真な気持ちは、どうなるのよさ。

それでも「24時間テレビ」のフィナーレは「30.5%」も取っちゃったらしいから、みんな大好きなのね。ゴール出来なくて延長となった「行列のできる法律相談所 」も「27.5%」も取りやがったではありませんか。こりゃ、日テレちゃんもウハウハでやめられませんナァ。大島さんの天狗の鼻も益々伸び捲くって、「お笑い界の女帝」となってしまうのかしらん。怖い、怖い。でも、「かたちん」は「森三中」とも仲好しみたいだから平気ね。ところが、裏に「お散歩ゴール」をぶつけられたにも関わらず、「半沢直樹」が余裕の「29.0%」って何じゃらホイ。「化け物ドラマ」と呼ばれた「家政婦のミタ」を、既に平均で上回ってしまって、裏が「お散歩ゴール」じゃなかったら確実に「30%」を軽々と超えていたと思われます。あたくしも、うっかり観ちゃったけどさ。「半沢直樹」がつまんないとは云わないけれど、そんなに面白い?日テレとTBSだけで「56.5%」って、みんなどんだけテレビが好きなのよさ。そんな大決戦の最中で、フジテレビはゴールデン・タイムで「2.4%」と云う俄かに信じられない数字を叩き出しておりました。嗚呼、コレじゃ「ドラマチック・サンデー」を打ち切った意味がありません。

と云うのは単なる枕で、本題は「ワールドプロレスリング クラシックス」です。1本目は、1989年4月24日の「格闘衛星闘強導夢」から、「橋本 VS ベイダー」と「猪木 VS チョチョシビリ」で、ブッチャーがコロリンコと負けるのは前座で、メインエベントは猪木でした。然し!ロープを外した円形リングと云う「明らかに柔道家のチョチョシビリに有利」な状況を作り、猪木はモノの見事に「チョチョシビリの裏投げ三連発を喰らい惨敗」するのでした。ピーター本によれば「佐川急便の体育館で入念にリハーサルした」らしいのだけど、プロレスに関しては「ど素人」であったチョチョシビリを相手に緊迫感がある異種格闘技戦を創り上げた猪木は、やはり「プロレスの天才」です。プロレス史上初となった東京ドーム興行のメインエベントで、アントニオ猪木が異種格闘技戦で初めての敗北を喫する!思えば、猪木は新日の旗揚げ興行でも師匠のカール・ゴッチに負けました。NWF戦でも、タイガー・ジェット・シンやスタン・ハンセンに敗れた事もあった。そして、IWGP決勝でもハルク・ホーガンのアックス・ボンバーで舌出し失神KO負けを喫したのでした。プロレスとは「単に勝ち負けだけで優劣が決まらない」と云う摩訶不思議な世界です。猪木は、負けても目立ち捲くってしまうのだよ。

藤波がドラゴン・スープレックス・ホールドでタッグながらフォールしようが、長州がリキラリアットを「後ろから前からどうぞ」と乱れ撃ちして勝とうが、主役は「敗れて魅せた猪木」でした。ところが、猪木が完膚無きまでに叩きのめされてしまった事があります。其れが、本日2本目に放送された「前田 VS ニールセン」です。放送順は盛り上げる為なのか、先に1988年7月29日の「藤原 VS ニールセン」となっていますが、1986年10月9日の「前田 VS ニールセン」が時系列的には先です。其の「1986年10月9日 INOKI 闘魂 LIVE」で、前田は直接には闘わずして猪木を倒してしまったのでした。猪木の為のお祭り興行なのですから、当然メインエベントは「猪木 VS スピンクス」でした。確かに、猪木は「ボクシング元・世界ヘビー級王者・スピンクス」に勝った。然し、観客は余りにも「しょっぱい試合」に激怒しました。そして、セミファイナル「前田 VS ニールセン」で緊張感がある接戦を制した前田を「新格闘王」と絶賛したのです。前田には相手の「ドン・中矢・ニールセン」に関する情報は一切知らせず、ニールセンには前田の攻略法を入念に指導したとも云われております。よーするに、前田を潰そうと云う思惑があったのでしょう。

ところが、そうした逆境こそが、逆に前田をスターへと押し上げてしまう結果となりました。不穏な空気を察したのか、レフェリーは山本小鉄で、前田のセコンドには藤原と高田が、そしてゴッチまでやって来た!試合前から物凄い殺気を放つ前田のゴンタ顔!当時は「コレって、ガチンコなんじゃねーの?」と本気で信じてしまった程に緊迫した試合展開で、生粋の「猪木信者」であるあたくしも負けを認めるしかなかった。だって、メインエベントの「猪木 VS スピンクス」は、レフェリーが「ガッツ石松」だったのですよ。いや、ガッツはホントはガチだから好いとしても、何故か「とんねるず」が猪木の激励に来て花束を渡したのよさ。いやいや、猪木のお祝いなんだから人気者がゲストに来るのも好いでしょう。よーするに、肝心の猪木がヘッポコな試合しか出来なかったから観客は怒り狂ったのよさ。そして、勇猛果敢に白熱した異種格闘技戦を演じた前田日明を支持するしかなかったのです。でも、本当に前田に未来を託したのならば、何ゆえ、興行が終わった後に、両国国技館の外にはチケットやパンフレットが破り捨てられていたのでありましょうかしらん。

確かに、みんな前田に熱狂した。其れでも、メインの猪木は「もっともっとスゴイもんを魅せてくれる!」と信じていたのです。前田は、あくまでもセミファイナルであり、期待以上の熱戦を演じてくれたから、「こりゃ、もう、メインエベントの猪木は何をやらかしてくれるのかしらん?」と、興奮度はマックスになっていたのよさ。だって、コレは「INOKI 闘魂 LIVE」と冠された「アントニオ猪木・レスラー生活25周年記念イベント」だったのですよ。みんな、猪木の為に集まったのです。相手が「ボクシング元・世界ヘビー級王者」なのだから、例え猪木が負けてしまったとしても、必ず感動的な試合を魅せてくれると信じていた。其れが裏切られたから、観客はやり場の無い怒りに震えてしまったのだ。プロレスを会場まで行って観るファンは、チケットの半券とかパンフレットとかグッズとかは「宝物」なのよさ。其れを破いて捨ててしまう程に、みんな悔しかったのだ。前田は試合内容で猪木に圧勝したけれど、観客に猪木を見捨てさせる事は出来なかった。プロレスで観客が暴動を起こした時を思い返せば、其れは全てが「猪木に対する怒り」が原因だった。其処まで熱狂させる何かが、確かに猪木にはありました。

3本目は、1980年2月8日の「藤波 VS スティーブ・カーン」と「猪木 VS ハンセン」ですけど、ドラちゃんの試合は軽く流して、「猪木 VS ハンセン」に注目です。当時の猪木は30代後半で、まだまだ元気です。ハンセンとは何度も戦ったのだけど、毎回パターンが違っていて魅せます。コレは、場外からエプロンに上がった猪木に、ハンセンがウエスタン・ラリアットをぶちかまして、リングアウト勝ちでNWF王座を奪った劇的な試合ではありませんか!後の「猪木 VS ホーガン」って、コレの焼き直しなのよさ。注目すべき点は、外人レスラーたちが勝ったハンセンを祝福する為にリングに雪崩れ込んで来るのだけど、「マサ斎藤」がチャッカリと外人組としてハンセンに抱きついて傍らに付き添っている場面です。コレって、マサさんは「長州が藤波からベルトを獲った時もやらかしていた」よね?「猪木 VS 藤原」もラストは「猪木 VS 大木」をアレンジした展開だったし、「猪木 VS チョチョシビリ」も「猪木 VS ルスカ」の立場を逆転させているのよさ。ま、其れは其れで「変奏曲」って感じで「過去の名勝負を思い起こさせながらも、新たな味も加えている」って旨味があるんですけどね。

ところで、最初にベイダーに寝てしまった橋本ですけど、元・奥さんの本を読んだら、「ある人に、プロレスって筋書きがあるって云われたんだけど、夫婦なんだから本当の事を教えて」と奥さんに訊かれた橋本が、「俺は命を張って闘っているんだぞ!ふざけんじゃない。もう二度と俺の前でそんな事を云ってくれるな」と涙を流しながら応えた逸話には、マジで感動しました。「破壊王」が愛妻の前で男泣きしてまで守った「プロレスの尊厳」を、あたくしは信じます。小川直也の「STO」を何発も喰らって、其れでも立ち上がろうとした橋本真也の姿が「演技だった」なんて、何度観ても、到底思えない。もしも「演技だった」としたなら、映画に出て「ヘッポコ演技しか出来なかった橋本」は何だったのよさ。橋本は「破天荒で無茶苦茶な野郎」だったけど、もしも其のプロレスが「嘘」だったなら、決して息子の大地はプロレスラーになんかなっていなかったはずです。「現在のプロレス界の現状を考えたならば、就職先としては如何なものか?」と思うしか無いのに、息子は「最後には家族を捨てた」と世間に喧伝された父の後を継ごうと決意したのだよ。三沢も「他はどうか知らないけど、ノアだけはガチだから」と、生涯貫いた。どんなに暴露本を読もうとも、明らかに「怪しい」と云う現場を何度も目撃しても、あたくしは、生涯、自信を持って主張いたします。

「プロレスは、真剣勝負なんだよ!」



(小島藺子)



posted by 栗 at 11:07| KINASAI | 更新情報をチェックする