語ると長くなるのだけど、やっぱり「鉄腕アトム」は名作です。例えば「地上最大のロボットの巻」と云うエピソードがあります。御存知の通り、浦沢直樹さんがリメイクして「PLUTO」となった作品でありまして、片瀬那奈ちゃんも「浦沢さんの「プルートゥ」は、手塚さんのアトムとはまた全然違って尚更面白くなってる。」と2006年に語られておりました。
でもですね、片瀬那奈ちゃんには悪いのだけど、「PLUTO」は長げぇし、原作の足元にも及ばない作品ですよ。「地上最大のロボットの巻」って、180頁くらいの物語なのです。単行本なら、壱冊に納まってしまいます。対してリメイク版の「PLUTO」は全八巻。つまり、其れだけの物語を、手塚先生は180頁で描いてしまったのだよ。
代表作のひとつである「ブラック・ジャック」は、毎回読み切りでたったの30頁前後で展開されるのですけど、其の現在では短い頁数で描かれるのは豊潤な映画の様な深い世界なのです。ところで、アトムって裸に黒いショートタイツなんだよね。正に、「ストロングスタイル」の元祖なのですよ。「こんなに云っても分からないのか!え〜い、コノ分からず屋めぇ〜っ!!」と云って敵役のロボットを10万馬力で粉砕するのは、猪木イズムの元ネタなのです。
(小島藺子)