

m:Harry Warren、w:Al Dubin
録音:1962年1月1日(デッカ・オーディション)
1982年9月10日発売 (「THE COMPLETE SILVER BEATLES」)
デッカ・オーディションでは、全「15曲」中「7曲」もポール・マッカートニーがリード・ヴォーカルを担当しています。ゆえに、後半の四曲はずっと「ポールの寝ぼけ節」が続きます。此の「SEPTEMBER IN THE RAIN」は1937年に発表されたジャズ・スタンダードで、オリジナルはジェームス・メルトンだそうです。ポールは父親の影響もあり、古いジャズやミュージカル・ナムバーも好んでいました。其の辺は、2012年に発表されたソロ・アルバム「Kisses on the Bottom」を聴いて頂ければお分かりでしょう。ポールは底抜けな音楽バカボンでありまして、気に入ったらジャンルなんか関係なしにパクリ捲くるのです。えっとですね、コレは褒めているのですよ。
デッカ・オーディションではブライアン・エプスタインの意向で「様々なタイプの曲を演奏する」となったので、ポールがお得意なハチャメチャな雑食性が活かされたのだと思われます。其れにしたって、ジャズ・スタンダードを演奏するロックンロール・バンドって、発想が「ぶっとんで」いますよ。どー考えても、ジョン・レノンの好みではなかったはずですが、しっかりとバックでサポートしています。「どんな曲でもロケンロールにしてやるぜ!」と云わんばかりのジョンに、ポールが「コレも出来る?」てな感じで色んな曲を紹介していたのでしょう。ポールの幅広い音楽嗜好がビートルズを成長させますが、其れを受け入れたジョンもスゴイのです。ジョンとポールが「10年以上も組んで居た」って事実は、凄すぎます。そもそも、英国の港町でジョンとポールが生まれ、16歳と15歳の時に出逢いバンドを組んだって、何なんだよ。そんなの、出来過ぎているだろ。でも、歴史的な事実なのです。
(小島藺子)
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