

w & m:LENNON / McCARTNEY
録音:1962年1月1日(デッカ・オーディション)
(シラ・ブラック盤:1963年9月27日発売 パーロフォン R5065)
デッカ・オーディションで演奏された「15曲」で唯一公式発売されていないのが、此のポール・マッカートニーが書いて歌っている「LOVE OF THE LOVED」です。とは云え、デッカ・オーディション音源は大昔から出回っておりますので、此の曲も簡単に聴けます。では、なにゆえ「ANTHOLOGY 1」に未収録となったのでしょうかしらん。デッカ・オーディションで演奏された「レノン・マッカートニー」によるオリジナルは「3曲」で、他の「LIKE DREAMERS DO」と「HELLO LITTLE GIRL」は収められたのに、「LOVE OF THE LOVED」は弾かれてしまったのだ。えっとですね、簡潔に申し上げますと、余りにも酷いヘッポコ曲だからなのだ。何じゃ、こりゃ?としか思えない、ポールの天然バカボン節が炸裂した「駄曲」であります。曲も酷けりゃ演奏もテキトーで、悦に入って歌うポールに、ジョージかジョンか分かりませんけど♪てんけてんけてんけてん♪と合いの手を入れるギターが、これまたマヌケです。
そんなわけで、ビートルズは公式レコーディングしなかった「クズ曲」です。ところが、チャッカリとブライアン・エプスタインがビートルズの妹分としてデビューさせるシラ・ブラックに提供曲として採用してしまいます。勿論、プロデューサーはジョージ・マーティンでございます。いきなりだナァと、ラッパが♪ぱぱ、ぱぱ、ぱぁ〜♪と呑気に奏でるイントロから、ヘナヘナと腰砕けになります。デビュー曲で張り切ったシラ・ブラックの歌は好いけれど、兎も角、楽曲が酷過ぎるのでどーにもなりません。何とか「全英35位」と、シラ・ブラックにとっては「ほろ苦いデビュー曲」となってしまいました。シラ・ブラックは、二枚目のシングル「ANYONE WHO HAD A HEART」(バート・バカラック&ハル・デヴィット作品で、ディオンヌ・ワーイックのカヴァー)で見事に全英首位を獲得するわけです。えっとですね、勿論、二枚目も「マネジャーはブライアン・エプスタインで、プロデューサーはジョージ・マーティン」なのよさ。
もっと云えば、シラ・ブラックの三枚目のシングル「YOU'RE MY WORLD」も「マネジャーはブライアン・エプスタインで、プロデューサーはジョージ・マーティン」で「全英首位!」を獲得しています。ところが、四枚目の「IT'S FOR YOU」は「マネジャーはブライアン・エプスタインで、プロデューサーはジョージ・マーティン」なのに「全英那奈位」と伸び悩んだのです。そして、其の「IT'S FOR YOU」とは「レノン・マッカートニー」作品で、実質的にはポール・マッカートニーが単独で書いた楽曲なのだ。「IT'S FOR YOU」に関しては後に詳しく語りますが、よーするに「LOVE OF THE LOVED」が「ヘッポコ曲」だったから売れなかったのですよ。本当に、酷い楽曲です。ポールは平気でこーゆー駄曲も書いて、大抵はエラソーに後輩への提供曲にしてしまうのです。
(小島藺子)
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