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2012年10月27日

BOOT-009:AIN'T SHE SWEET

In the Beginning And His Blue Caps


 m:Milton Ager、w:Jack Yellen

 録音:1961年6月24日、1969年7月24日
 初出:1964年4月 シングル発売 ポリドール(西ドイツ) NH 52-317 (1961年版)

 1995年11月20日発売 (「ANTHOLOGY 1」 disc1-11) アップル (1961年版)
 1996年10月28日発売 (「ANTHOLOGY 3」 disc2-19) アップル (1969年版)


ビートルズは、あくまでもトニー・シェリダンのバック・バンドとしてレコーディングを行いました。但し、其れは現存する音源としては「ビートルズが初めて正式録音した」と云う価値があります。前述の通り、ビートルズ(ジョン、ポール、ジョージ、ピート)は「9曲」を演奏しました。でも、バック・バンドであり、主役はトニー・シェリダンなのだ。其れなのに、何故か分かりませんが「2曲」のビートルズだけの録音もしていたのでございます。其の内の一曲が、ジョンがドスがきき捲くりな声で歌う「AIN'T SHE SWEET」です。何じゃ、こりゃ!ですよ。邦題は「いい娘じゃないか」で、これまた何じゃらホイ!です。でもですね、しつこく云いますが、コレはトニー・シェリダンのレコーディングだったのよさ。ゆえに、ビートルズ(ビート・ブラザーズと名付けられていた)だけの演奏なんて、端からレコード化する気がなかったのでしょう。何となく「頑張っているから、二曲くらい好きにやらしてやろう」って軽い気持ちで録音しちゃったのでしょう。

ところが、録音して二年くらい経ったらビートルズが売れちゃって、慌てて1964年に「THE BEATLES' FIRST」なんてアルバムを出してしまうのです。録音が1961年ですから、まだビートルズがEMIと契約前だったんですよね。本当に、ビートルズだけの録音を二曲だけとは云えやっといて好かったですね。其の後、何度もジャケットやタイトルを変えて再発を繰り返し、デラックス・エディションとかコムプリート・エディションとか、挙句はDVDとか出し捲くって稼ぎました。ポリドールは、デッカよりは賢かったって事なのかしらん。でも、ビートルズが全く関わっていない音源も加えてでっちあげた「THE BEATLES' FIRST」は詐欺ですよね。参加した曲でも、結局はビートルズだけでの二曲だけが売りなんだもん。今では二曲共「ANTHOLOGY 1」で聴けますので、無駄な出費はせずに済みます。

「AIN'T SHE SWEET」は1927年に書かれた曲で、ジョンがカヴァーするのは不思議な気がします。でも「ジーン・ヴィンセントと彼のブルー・キャップス」が1956年にロック・ヴァージョンでカヴァーしておりますので、間違いなくジョンはジーン・ヴィンセントのカヴァーをマネしたのでしょう。ジョンもポールも、ジーン・ヴィンセントに思いっ切り影響を受けていますからね。そして、「AIN'T SHE SWEET」は1969年の「ABBEY ROAD」セッションでも演奏されているのです。「ジョンは、ジーン・ヴィンセントがどんだけ好きなんだよ」と云いたくなる様なメドレー即興演奏で、「AIN'T SHE SWEET」は「ANTHOLOGY 3」に収録されています。同じ曲のカヴァーを、1961年と1969年のヴァージョンで聴けるのですから堪りませんナァ。ジョンは後にカヴァーの大傑作アルバム「ROCK'N'ROLL」の一曲目でも、ジーン・ヴィンセントの「BE-BOP-A-LULA」をやらかしています。歌い方も間奏のギターも、ハッキリ云ってコピーです。リハーサルでは「AIN'T SHE SWEET」もチラリンコと披露。本当に、大好きなのね。


(小島藺子)



posted by 栗 at 00:27| FAB4 | 更新情報をチェックする