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2012年10月11日

「SESSIONS」INDEX

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 プロデューサー:ジョージ・マーティン
 エンジニア:ノーマン・スミス、ジェフ・エマリック、他
 歌と演奏:ザ・ビートルズ

 (録音:1962年9月4日〜1969年1月29日)

 1985年 発売中止


ビートルズの編集盤で大儲けしたレコード会社は、当然CD化でまた儲けようと企んでおりました。然し、天下のビートルズですからテキトーにCD化するわけにも行かず、結構な時間が掛かります。そこで「だったら未発表音源を出そう!」と企画されたのが「SESSIONS」です。此の企画は随分と前から進行しておりまして、1981年からジョン・バレットがビートルズの録音テープを収集し整理しています。1983年には「The Beatles Live at Abbey Road」と云う未発表音源を公開するプレゼンも行われ、当然の如く海賊盤業者の餌食となりました。そうなれば「本物を出そうじゃないか!」となり、1985年にリリース予定と発表されジャケットまで制作されたのです。

ところが、ビートルズ(ポール、ジョージ、リンゴ、ジョンの代理人のヨーコ)は発売を認めず、「GET BACK」に続いて二作目の幻のアルバムとなってしまいました。特に断固として反対したのは、ポール・マッカートニーだったと云われています。結局、其の企画は十年後に「アンソロジー」として日の目を見る事となります。其の間に、何故かマスター・テープをコピーしたとしか思えない程に高音質のアウト・テイク集「Ultra Rare Trax」や「Unsurpassed Masters」などの海賊盤がぞくぞくと発売されてしまいます。アルバム「SESSIONS」に収録予定だった曲は、以下の通りです。


01. COME AND GET IT (McCARTNEY)
(ポール・マッカートニーがバッド・フィンガーの為に書いた曲で、アルバム「ABBY ROAD」制作中の1969年7月24日にたったの一時間で全ての演奏と歌をポールひとりで多重録音したデモです。プロデュースを務めたポールは「此の通りにコピーすれば売れるよ」と指示し、バッド・フィンガーがそっくりそのままマネして録音し、リンゴ・スターが出演した映画「マジック・クリスチャン」の主題歌にもなり大ヒットしました。ポールのヴァージョンは、後に「アンソロジー 3」に収録されています。)

02. LEAVE MY KITTEN ALONE (John / Turner / McDougal)
(オリジナルは1959年のリトル・ウィリー・ジョンで、1961年にジョニー・プレストンがカヴァーした此の楽曲は、1964年8月14日にアルバム「BEATLES FOR SALE」のセッションで録音されボツになった音源です。カヴァーの帝王であるジョン・レノンの熱唱が素晴らしく、何ゆえアルバムに収録されなかったのか理解に苦しみます。未発表となった此のアルバム「SESSIONS」からは此の曲がシングル・カットも予定され、B面はアルバム未収録の「OB-LA-DI, OB-LA-DA」別ヴァージョンとなるはずでした。「LEAVE MY KITTEN ALONE」は「アンソロジー 1」に、「OB-LA-DI, OB-LA-DA」は「アンソロジー 3」に、それぞれ収録されました。)

03. NOT GUILTY (HARRISON)
(ジョージ・ハリスンが1968年に「ホワイト・アルバム」用に書いた楽曲で、レコーディングは100テイク以上も行ったもののボツになってしまいました。ジョージは、1979年に発表したソロ・アルバム「慈愛の輝き」でリメイクして発表しています。時間を掛けてテイクを重ねた楽曲ですから、様々なテイク違いやミックス違いも存在し、海賊盤業者にとっては「おいしい楽曲」です。後に「アンソロジー 3」に収録されたのは、1984年にジェフ・エマリックが「SESSIONS」用に「take 102」からミックスした音源です。)

04. I'M LOOKING THROUGH YOU (LENNON / McCARTNEY)
(アルバム「RUBBER SOUL」に収録されたポール・マッカートニーが書いた楽曲の初期ヴァージョン(1965年10月24日録音の「take 1」)で、後に「アンソロジー 2」に収録されました。未だ中間部が出来ていない未完成状態であり、ポールとしては「完成版があるのに、今更どうしてこんなもんを出さなきゃいけないんだ?」との思いもあって発売に反対したのでしょう。1985年頃のポールは、まだまだ現役で「やる気まんまん!」だったわけですね。いや、ポールは2012年の現在でも「やる気まんまん!」だけどさ。)

05. WHAT'S THE NEW MARY JANE (LENNON / McCARTNEY)
(ジョン・レノン作で、1968年の「ホワイト・アルバム」用にレコーディングされたものの収録されず、1969年に「プラスティック・オノ・バンド」名義でシングル化しようとして却下され、未発表となった楽曲です。後に「アンソロジー 3」に編集されたヴァージョンが収録されました。此の楽曲は1969年11月26日にジョンとヨーコがオーヴァー・ダビングを行ったり、ミックスも何種も作られたので、多くの別ヴァージョンが存在します。内容は単調な曲で、ヨーコに影響されたジョンが「バカになった」としか思えない「出鱈目な代物」です。しかも「REVOLUTION 9」程には狂っていないので中途半端であり、「ホワイト・アルバム」から外されたのも納得の「ヘッポコ曲」です。)

06. HOW DO YOU DO IT (Mitch Murray)
(1962年9月4日に、ジョージ・マーティンがビートルズのデビュー・シングル曲として推薦し録音された音源です。ジョン・レノンが歌っておりますが、ビートルズは他人の曲でデビューするのを嫌い、わざとテキトーに演奏しました。「折角いい曲を見つけて来たのに、何て好い加減な演奏なんだ?分かったよ、もうキミたちがやりたい様にオリジナルでやろう」と折れたマーティンは、「HOW DO YOU DO IT」をジェリー&ザ・ペースメイカーズのデビュー・シングルにまわし、ガッツリとプロデュースして全英首位の大ヒット曲となります。マーティンの選曲センスが抜群でプロデューサーとしても一流だと証明されちゃうのだけど、ビートルズに相手にされなかったからマーティンがムキになって張り切ったのかもしれません。何にせよ、後に「アンソロジー 1」に収録された此のビートルズ・ヴァージョンは本人たちもやる気がない「完全なるボツ音源」です。)

07. BESAME MUCHO (Velázquez / Skylar)
(1962年6月6日にビートルズが初めてEMIで録音した音源のひとつです。ポールが歌っていて、1962年1月1日のデッカ・オーディションや、1969年1月29日の「THE GET BACK SESSIONS」でも演奏しています。ポールのお気に入りナムバーなのでしょうけど、ジョンは「つまらん!お前が選ぶ曲は、つまらん!」と大滝秀治声で云ったでしょう。此の時のドラマーは、ようやくデビューが決まった途端にクビにされた、哀れなハンサム・ボーイ「ピート・ベスト」です。「アンソロジー 1」に収録されていますが、よーするに、コレはEMIでのオーディション音源なのです。そんなもんまで、公式発売しなくたってええじゃまいか。)

08. ONE AFTER 909 (LENNON / McCARTNEY)
(1963年3月5日に「FROM ME TO YOU」と「THANK YOU GIRL」が録音されたセッションで取り上げられボツになった音源です。公式音源としては、1969年1月30日の「ルーフトップ・コンサート」で再演され、アルバム「LET IT BE」に収録されました。此の1963年ヴァージョンは「アンソロジー 1」に収録されましたので、お聴きになれば「何ゆえボツになったのか」がお分かりになると思います。)

09. IF YOU'VE GOT TROUBLE (LENNON / McCARTNEY)
(1965年2月18日に、後にアルバム「HELP !」となるセッションで録音された楽曲です。レノン・マッカートニーが「アルバムに一曲はリンゴにも歌わせよう」との温情で提供したのですが、「どーせ、リンゴ用だから」と手を抜いたのか出来が悪い曲の上に、リンゴの歌も酷い!結局、こんなんじゃアルバムに入れられないとなって、リンゴの歌はカヴァーの「ACT NATURALLY」に変更されたのです。「アンソロジー 2」にエラソーに収録されていますけど、こんな恥ずかしい「ボツ音源」を公開するのはイカンでしょ。)

10. THAT MEANS A LOT (LENNON / McCARTNEY)
(天然バカボンであるポール・マッカートニーが、1965年のアルバム「HELP !」セッションでしつこく何度も録音した挙句に「ボツ」になった「クズ音源」です。手をこまねいて、P.J.プロビーに丸投げしカヴァーさせましたが、最高24位と当時の「レノン・マッカートニー作品」としては信じられない結果となりました。よーするに、曲が酷いのだ。矢鱈と大仰でドラマティックな展開は、それこそフィル・スペクターにアレンジしてもらえばよかったんじゃまいか。てか、ポールは思いっきりライチャス・ブラザーズを意識して書いたんだろ?ホントはフィル・スペクターが好きなんだろ?「アンソロジー 2」に「take 1」が収録されています。)

11. WHILE MY GUITAR GENTLY WEEPS (HARRISON)
(「ホワイト・アルバム」に収録されたジョージ・ハリスンが書いた名曲の、1968年7月25日に録音された「take 1」です。後に「アンソロジー 3」に収録されたので聴く事が出来ますが、公式録音とは全く違ったアコースティック・ギターでの弾き語りを中心にしたシンプルなアレンジで、コレはコレで素晴らしい出来栄えとなっております。こーゆーのは、堂々と公式発売しても好いでしょう。)

12. MAILMAN, BRING ME NO MORE BLUES (Roberts / Katz / Clayton)
(1969年1月に行われた「THE GET BACK SESSIONS」では膨大な音源が残されましたが、ほとんどが正式発表できないクズばかりでした。此のバディ・ホリーのカヴァーも、ルーズな演奏でジョンがけだるく歌います。録音は1969年1月29日で、後に「アンソロジー 3」に収録されました。)

13. CHRISTMAS TIME(IS HERE AGAIN) (LENNON / McCARTNEY / HARRISON / STARR)
(ビートルズは1963年から1969年まで、毎年ファン・クラブ会員にクリスマス・レコードを送っていました。メッセージや即興寸劇など愉快なもので、毎年多忙なレコーディングの合間にキチンと正式レコーディグした心の篭った内容です。ファンを大切にしたビートルズらしいサービスで、ファンは毎年クリスマスが楽しみだったでしょう。1967年版は1967年11月28日に録音され、テーマ曲として書かれた「CHRISTMAS TIME(IS HERE AGAIN)」は正式な楽曲として6分を越える長尺ヴァージョンがレコーディングされました。クリスマス・レコードには断片しか収められなかったので、「SESSIONS」にはオリジナルを編集して収録予定でした。公式音源としては、「アンソロジー」のアルバムではなく、シングル「FREE AS A BIRD」のカップリング曲として短縮ヴァージョンが発表されました。)


上記の通り、現在ではアルバム「SESSIONS」に収録予定だった楽曲は公式盤「アンソロジー」で容易に聴けます。但し、あくまでも「未発表音源」なのです。こーゆーのは、所謂ひとつの「海賊盤でしか聴けない音源だったと云う事実」が、最早、2012年の世界では全く理解不能でしょう。何てったって、2011年にはビーチ・ボーイズの「SMiLE」が公式発売されてしまったのですからね。簡単に手に入ってしまうのが、幸福なのか不幸なのかは分かりません。「いつでも買えるから放っておこう」と思ったなら、其れは大したモンじゃないのです。ビートルズは、出逢った時からどこのレコード店に行っても沢山ありました。でも、あたくしは「今しかない!」と思って買いました。早く針を落として、聴きたかったのです。もっともっと、いっぱい、ビートルズが聴きたかった。其れは、今も変わらず同じ気持ちです。


(小島藺子)



posted by 栗 at 00:07| FAB4 | 更新情報をチェックする