
![Concert for George [DVD] [Import]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51iBkzIG5yL._SL160_.jpg)

w & m:HARRISON
P:ジョージ・マーティン('69-1/25、3/10)、マルコム・デイヴィス('70-2/28)、
フィル・スペクター('70-3/25)
E:グリン・ジョンズ('69-1/25、3/10)、ピーター・ボーン('70-2/28、3/25)
2E:アラン・パーソンズ('69-1/25)、リチャード・ランガム('70-2/28)、ロジャー・フェリス('70-3/25)
録音:1969年1月25日(「George's Blues」)(アルバム「GET BACK」に収録)
1970年1月8日(take 6 に SI 「歌」)(アルバム「LET IT BE」に収録)
STEREO MIX:1969年3月10日、1970年2月28日、3月25日(take 6 より 1&2-8、1&5 を編集し 1)
1970年5月8日 アルバム発売 (「LET IT BE」 B-4)
アップル(パーロフォン) PCS 7066(ステレオ)
ジョージ・ハリスンが書いたブルース風の楽曲で、1969年1月に行われた「THE GET BACK SESSIONS」をまとめたアルバム「GET BACK」には当初は此の曲しかジョージの作品は収録されていません。後に改訂版「GET BACK」から「I ME MINE」もラインナップに加わりますが、前述の通り「I ME MINE」は「THE GET BACK SESSIONS」では正式レコーディングされておらず、1970年1月に録音されました。1969年1月の「THE GET BACK SESSIONS」の時期に、ジョージ・ハリスンはソングライターとしてのピークを迎えました。毎日、湯水の様に曲が出来てしまい、それは「FOR YOU BLUE」と「I ME MINE」だけではなく、「SOMETHING」、「OLD BROWN SHOE」、「LET IT DOWN」、「ALL THINGS MUST PASS」、「ISN'T IT A PITY」、「HEAR ME LOAD」、などなどでした。
ところが、あくまでも「レノン・マッカートニー」体制であったビートルズでは、ジョージの出番は極端に少なかった。正式レコーディングで採用されたのは、「FOR YOU BLUE」のたった一曲のみ!クライマックスの「ルーフトップ・コンサート」でも一曲も採用されず、当然乍らアルバム収録予定は「FOR YOU BLUE」だけ。挙句に、イントロでギターをトチるトコまで入れられてしまいます。堪りに堪ったジョージの鬱憤が、三枚組アルバム「ALL THINGS MUST PASS」で爆発するわけですが、発表が1970年11月と云う事実だけでもお分かりの通り、収録された名曲の数々のほとんど全ては「ビートルズ時代に書いてボツにされた」楽曲でした。ジョージが生前に最後に手掛けたのは「ALL THINGS MUST PASS」のリマスター最新盤でしたが、発表当時に大絶賛され「ビートルズが解散して、最も得した男」と称賛された事がジョージにとって如何に嬉しかったのかを思わされます。「それ見たことか!ポール、ざまーみろっ」てな気分だったのでしょう。
此の楽曲は、当時のビートルズに於けるジョージの立場を象徴するが如く、1969年1月25日のセッションだけで完成されています。映画「LET IT BE」でも演奏シーンが観れまして、ジョージ・ハリスン(歌、アコースティック・ギター)、ジョン・レノン(ラップ・スティール・ギター)、ポール・マッカートニー(ピアノ)、リンゴ・スター(ドラムス)のビートルズ四人による演奏です。ジョージは、チャッカリと1970年1月8日にヴォーカルを録音し直しており、アルバム「LET IT BE」では差し替えたヴォーカル・ヴァージョンが収録されています。もう既にアルバム「GET BACK」改訂版が1970年1月5日に完成していましたので、1月8日に新たなヴォーカルを録音した時点でジョージには「他の誰かにプロデュースを任せたい」との思惑があったのでしょう。そんな時にジョン・レノンから「新曲のインスタント・カーマをさっさと録音して発売したいから、協力しろ!」と云われたジョージは「だったら、フィル・スペクターにプロデュースさせたらどうかな?」と持ちかけるわけですよ。
ジョージ・ハリスン、実は「食えない男」でございます。
「FOR YOU BLUE」は、アメリカと日本では「THE LONG AND WINDING ROAD」とのカップリングでシングル・カットされました。特に日本では、英国仕様のシングルでの「SOMETHING」、「OLD BROWN SHOE」の他に、「WHILE MY GUITAR GENTLY WEEPS」、「HERE COMES THE SUN」、そして「FOR YOU BLUE」と、なな、なんと、後期シングル那奈作中で五作にジョージの作品が収録されています。どんだけ、日本人はジョージ・ハリスンが好きなのでありましょうかしらん。さて、「ビートルズ公式レコーディング全213曲解説」も此の「Because You're Sweet and Lovely」と云う仮題もあったジョージ・ハリスン作品で最後となりました。別にジョージが「片瀬那奈ちゃんは可愛いナ」と歌っているわけではない事は分かり切っておられるでしょうが、イチオー「のっぽのサリー」しておきましてですね、それでは皆さん、レコスケ声でアレを御唱和下さい。
「ジョージ、愛してる」
(小島藺子/姫川未亜/鳴海ルナ)
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