w & m:LENNON / McCARTNEY
P:ジョージ・マーティン('69-1/28、29、30、2/5)、フィル・スペクター('70-3/23)
E:グリン・ジョンズ('69-1/28、29、30、2/5)、ピーター・ボーン('70-3/23)
2E:アラン・パーソンズ('69-1/28、29、30、2/5)、ロジャー・フェリス('70-3/23)
録音:1969年1月28日、
1月29日、
1月30日(アルバム「GET BACK」、「LET IT BE」に収録)
STEREO MIX:1969年2月5日、1970年3月23日(1/30 のテイクより 1-3)
1970年5月8日 アルバム発売 (「LET IT BE」 B-2)
アップル(パーロフォン) PCS 7066(ステレオ)
ジョン・レノンとポール・マッカートニーの合作で真の「レノン・マッカートニー」楽曲と思われる「ONE AFTER 909」は、既に1960年には曲が出来ておりスチュアート・サトクリフがベースを担当していた時代の音源も遺っています。1963年3月5日の「FROM ME TO YOU」と「THANK YOU GIRL」が録音されたセッションでも取り上げられていました。ジョンは「俺様が書いた」と云い、ポールは「ジョンと二人で10代の頃に書いた初期の合作さ」と云っておりますが、おそらくポールが主張する通りの合作なのでしょう。映画「LET IT BE」に、ポールが「昔の曲をやろう」と云って此の曲をアカペラで歌う場面がありますし、本番となった「ルーフトップ・コンサート」でもジョンとポールが二人でハモっています。
幻のアルバム「GET BACK」では、初版も改訂版もA面の一曲目が此の「ONE AFTER 909」でした。アルバム「GET BACK」に採用予定だった「ルーフトップ・コンサート」音源は此の曲だけです。フィル・スペクターも映画に合わせて当然乍ら「ルーフトップ・コンサート」を採用し、一切オーヴァー・ダビングは行っていません。更に「LET IT BE...NAKED」でも同じ「ルーフトップ・コンサート」を珍しく切り張りのリミックスはせずに収録しています。「ONE AFTER 909」は「ルーフトップ・コンサート」で一回しか演奏されなかったので、切り張りのしようがなかったのでしょう。1960年頃の最初期ヴァージョンは映像版「アンソロジー」でチラリと聴けますし、1963年ヴァージョンも「アンソロジー 1」に収録されています。
其のボツになった1963年ヴァージョンを聴くと、明らかにジョージ・ハリスンのリード・ギターがヘッポコだったからダメだったのだと思わされます。約6年後の「ルーフトップ・コンサート」では見違える様なソロを弾いており、ジョージの成長を感じますね。「ONE AFTER 909」は、ジョンとポールの息が合ったデュエットが聴けるだけでも素晴らしいのです。「THE GET BACK SESSIONS」のハイライトは、1969年1月30日にアップル屋上で敢行された「公開ゲリラ・ライヴ・レコーディング」である「ルーフトップ・コンサート」です。其処には、当時の最悪最低な状況など感じさせない「天下無敵のビートルズ」が居ます。十年も前に書いた曲を活き活きと歌うジョンとポールの姿からは、解散危機など微塵も感じられません。然し、映画「LET IT BE」では舞台裏まで明かされてしまったのです。解散が決定的となったからこそ、映画「LET IT BE」は公開されたのでしょう。
(小島藺子)
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